ESGに配慮した株主優待銘柄は?5社のESG活動と優待内容、利回りも

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最近ではESG(環境・社会・ガバナンス)が重視されるようになり、投資においてもESG投資が注目されるようになりました。ESGに配慮した経営を行い、株主優待にも社会貢献を意識した内容を盛り込んでいる企業への投資は、投資家にも長期的なメリットがあると考えられます。

この記事ではESGへの取り組みを行っている企業のうち、株主優待がある銘柄を紹介します。ESG投資や長期投資を検討している人は参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※この記事は2022年11月21日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 北の達人コーポレーション(2930)
    1-1.北の達人コーポレーションのESGの取り組み
  2. バロックジャパン(3548)
    2-1.バロックジャパンのESGの取り組み
  3. VTホールディングス(7593)
    3-1.VTホールディングスのESGの取り組み
  4. カワチ薬品(2664)
    4-1.カワチ薬品のESGの取り組み
  5. WOWOW(4839)
    5-1.WOWOWのESGの取り組み
  6. ESG投資のメリット・デメリット
    6-1.ESG投資のメリット
    6-2.ESG投資のデメリット
  7. まとめ

1.北の達人コーポレーション(2930)

株価 303円
時価総額 427.45億円
年間配当金(予想) 1.5円
配当利回り(予想) 0.50%
上場日 2012年5月29日
PER 50.50倍
PBR 6.67倍
株主優待利回り 16.0%
株主優待内容 100株以上で4,864円相当の自社商品(まぶた専用美容ジェル「リッドキララ」)
市場 東証プライム

北の達人コーポレーションは化粧品や健康食品のネット通販会社で、小ジワ対策のヒアルロン酸化粧品や目元クリームが主力商品です。

1-1.北の達人コーポレーションのESGの取り組み

北の達人コーポレーションのESGの取り組みは以下のとおりです。

環境への取り組み

  • 顧客に送付する全ての商品のパッケージや配送箱等についてFSC®認証紙の採用推進
  • 全商品でマイクロプラスチックビーズを不使用で海洋汚染の防止

社会への取り組み

  • 性別や年齢、国籍等にかかわらず、多様な従業員の活躍を支援し、能力を最大限に発揮できる環境づくりの推進(女性従業員の割合は67%、女性管理職の割合は57%(2022年9月現在)で、外国籍従業員も増加中)
  • 全社員にバランスの取れた食材を用いた昼食無料制度を導入
  • 在宅勤務・テレワークを導入し、出産や育児中の社員に柔軟な働き方ができる環境を整備
  • 動物実験を行わない方針で化粧品(医薬部外品を含む)の開発の推進
  • 「ワールド・ビジョン・ジャパン」のチャイルドスポンサーシップ活動を通じて災害、紛争等で苦しむ子どもたちを支援
  • ペットボトルのキャップを本体とは別に回収して「NPO法人エコキャップ推進協会」に送付する「エコキャップ運動」を展開

2.バロックジャパン(3548)

株価 793円
時価総額 290億円
年間配当金(予想) 38円
配当利回り(予想) 4.79%
上場日 2016年11月1日
PER 16.10倍
PBR 1.47倍
株主優待利回り 5.04%
株主優待内容 店舗、通販サイトで利用可能なクーポン
100株以上で上期1枚・下期1枚(年間 4,000円相当)
市場 東証プライム

バロックジャパンは若い女性向けの衣料・服飾雑貨の製造小売業で、多品種小ロット、小規模店で販売しています。環境・社会面で積極的に取り組んでおり、株主優待利回り・配当利回りともに高い水準です。

2-1.バロックジャパンのESGの取り組み

バロックジャパンのESGの取り組みは以下のとおりです。

環境への取り組み

  • 品番数・SKU数の削減、QRなどを活用した適量な商品調達を行うことで生産量を抑制
  • 販売が終了した商品の新たな活用方法を見出し、廃棄ゼロ、焼却ゼロの実現を目指す
  • 環境に配慮したコットンやセルロース繊維、リサイクル繊維などを積極的に活用
  • 商品を環境への負荷低減、少エネルギーの推進、資源の有効活用などに取り組む国内外の仕入先から調達
  • アクセサリ類への再生素材の利用の切り替え推進
  • 店舗内装の環境配慮素材の使用推進
  • プラ素材のショッピングバックから環境に配慮した素材へ順次切り替え
  • カートンの再利用推進など物流関連でも環境に配慮した取り組みを推進
  • リアルファー(毛皮)を使用した商品(衣類・雑貨)の毛皮の製造・買付・販売を禁止
  • 安全・品質管理の基準を定め、基準の遵守を徹底
  • 安全管理基準に合格した仕入れ先のみと取引

社会への取り組み

  • 販売を終了した商品を新たにリメイク (再構築)した商品の販売
  • 「ボランティアベンダー」自動販売機で飢餓と貧困撲滅に貢献(飲料を購入すると寄付する仕組み)
  • 障がい者雇用の促進

3.VTホールディングス(7593)

株価 496円
時価総額 592億円
年間配当金(予想) 23円
配当利回り(予想) 4.64%
上場日 1998年9月10日
PER 7.67倍
PBR 0.99倍
株主優待利回り
株主優待内容 100株以上で優待券1冊
3万円相当の新車・中古車購入時利用優待券、1万円相当の車検時利用優待券、「Jネットレンタカー」利用割引券(5回利用可)、「キーパーラボ」サービス利用20%割引券各1枚
※自社グループ店舗・自社提携店舗で利用可
有効期間:1年間
市場 東証プライム

VTホールディングスは国内大手自動車ディーラーとして様々な車種を販売しています。中古車販売や、新興国への進出を図っています。

優待内容は、新車・中古車購入時利用優待券で車検費用に充てられ、レンタカーサービスでは20%割引になります。車をよく利用する方にとっては有益な優待内容です。

3-1.VTホールディングスのESGの取り組み

VTホールディングスのESGの取り組みは以下のとおりです。

環境への取り組み

  • 電気自動車普及のための活動・設備投資、環境に配慮した建築物の設計・利用、温室効果ガス排出量の削減、レジリエンス強化

社会への取り組み

  • 非常用電源としてのEV等の提供
  • 長野地域9市町村との「電気自動車を活用した脱炭素社会の実現と災害対応力強化に係る連携協定」の締結
  • 地元大学・高校との産学連携プロジェクト
  • 自動車整備士としてベトナムからの技能実習生を受け入れ、技術指導等の実施

コンプライアンスの取り組み

  • グループ社員が、職場の法令違反・社内規則違反などについて外部法律事務所に相談できる窓口を設置

4.カワチ薬品(2664)

株価 2,153円
時価総額 529億円
年間配当金(予想) 50.00円
配当利回り(予想) 2.32%
上場日 2000年9月21日
PER 10.45倍
PBR 0.45倍
株主優待利回り 2.32%
株主優待内容 100株以上で5,000円相当の買い物優待券
おこめ券5枚との交換または社会貢献活動団体への寄付選択可
市場 東証プライム

カワチ薬品は北関東を地盤とし、関東・東北・甲信越地方に店舗を展開するドラッグストア大手です。売り場面積1,300㎡以上の超大型店が特徴で、ドラッグストアの中では食品比率が高めです。薬剤師スタッフを配置した調剤併設型店舗を増やしています。

株主優待では買い物優待券やおこめ券以外に寄付が選択でき、社会への意識がうかがえます。

4-1.カワチ薬品のESGの取り組み

カワチ薬品のESGの取り組みは以下のとおりです。

環境への取り組み

  • マイバッグ運動推進
  • 店舗照明にLED、省電力タイプの空調設備導入
  • 本社屋や店舗に太陽光発電設置
  • 店舗から出る古紙をトイレットペーパーにリサイクル
  • 「とちぎの元気な森づくり基金」へ寄付

社会への取り組み

  • 無料健康セミナーの開催
  • 「健康長寿とちぎ応援企業」登録企業として、健康づくりに関する啓発資材の提供や講演会の開催等で県民の健康づくりを応援
  • 栃木県民の健康づくりを応援する「とちまる健康ポイント事業」への協賛
  • 栄養士による「育児栄養相談会」を各店で開催
  • 各店舗において子育て世代への支援サービスを実施
  • 栃木サッカークラブ(栃木SC)のオフィシャルスポンサー
  • 栃木県内の小学生を対象とした全日本ドッジボール選手権栃木県大会(カワチカップ)を開催
  • 栃木県において「美と健康」をテーマに「カワチ薬品ティータイムトーク」を開催
  • 各店駐車場に定期的に日本赤十字社の献血車を受け入れ、献血活動を支援
  • 栃木県地域福祉基金に寄付
  • 「そらぷちキッズキャンプ」の募金活動実施
  • 障がい者などのための「おもいやり駐車スペース」の設置を推進
  • 店舗に補助犬同伴可能
  • 店舗に多目的トイレの設置
  • 子どもを保護し、安全を確保する場所として、店舗を「こども110番の店」に登録
  • 各地方自治体と連携し、災害救援物資の供給に関する防災協定を締結
  • 災害時における被災者支援を目的に、災害義援金、支援物資の提供

5.WOWOW(4839)

株価 1,262円
時価総額 364億円
年間配当金(予想) 50.00円
配当利回り(予想) 3.96%
上場日 2001年4月20
PER 22.62倍
PBR 0.54倍
株主優待利回り 1.58%
株主優待内容 100株以上で「WOWOW」視聴料3カ月分無料または2,000円相当の自社オリジナル・クオカード
優待品に代えて社会貢献活動団体への寄付選択可
市場 東証プライム

WOWOWは日本初の民間衛星放送会社で、BS・CSに有料番組提供をし、スポーツ、音楽、ドラマ自社制作に注力する会社です。2021年から「WOWOWオンデマンド」を提供しています。

ESGの取り組み内容は少なめですが、CO2削減で結果を出している点は評価できます。視聴料3カ月分無料の優待はユーザーにとっては嬉しく、寄付を選択できる点もメリットです。

5-1.WOWOWのESGの取り組み

WOWOWのESGの取り組みは以下のとおりです。

環境への取り組み

  • 辰巳放送センターでは、2015年に太陽光発電設備を設置し、電力の供給に貢献(CO2削減効果年間約46トン)
  • 店舗照明にLED、省電力タイプの空調設備導入

社会への取り組み

  • 2012年より、赤坂本社近隣の赤坂中学校と辰巳放送センター近隣の辰巳中学校の生徒たちにキャリア教育の授業を実施

6.ESG投資のメリット・デメリット

ESG投資とは、ESGの観点から企業を評価し、「環境課題や社会課題の解決に取り組む企業に投資」をすることです。投資家の立場でのESG投資のメリット・デメリットを解説します。

6-1.ESG投資のメリット

企業経営にはさまざまなリスクが伴い、短期的には業績が悪化するケースもあります。ESG経営に取り組む企業は経済変動や法改正などの外部要因への対応力が高いと考えられます。そのため、短期的な業績の浮き沈みはあっても、長期では成長が期待できるのです。

また、ESG経営に取り組む企業への投資は課題解決を支援することであり、投資家による社会貢献といえます。

6-2.ESG投資のデメリット

一般的にESG投資の対象企業は大手企業が多く、短期で値上がり益を狙う投資スタイルには向きません。長期的には成長が見込めますが、短期的な値動きは控えめな特徴があります。

また、企業が発信しているESG情報と、実際の現場で行われている活動や意思決定などに大きな乖離がある場合は、「ESGウォッシュ」とみなされて社会から批判されたり株価が下落するリスクもあります。

ESG投資をする場合は、投資前に企業について自分自身でも納得いくまでよく調べ、長く付き合える会社かどうかを見極めるようにすることも大切です。

まとめ

ESG経営に力を入れている会社は長期的な成長が期待できるため、株式を長期保有して配当や優待を受けるのに適しています。優待内容は自社製品やサービスにかかわる内容が多いので、利用者にとってはメリットがあるでしょう。

一方で、企業が発信しているESG情報が現場レベルでもきちんと行われているか、ESG活動に関して一貫性のある言動をしているかどうかといった点にも注意をして、ESG投資を検討していきましょう。

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松田 聡子

明治大学法学部卒。金融系ソフトウェア開発、国内生保を経て2007年に独立系FPとして開業。企業型確定拠出年金の講師、個人向け相談全般に従事。現在はFP業務に加え、金融ライターとしても活動中。 保有資格:日本FP協会認定CFP・DCアドバイザー・証券外務員2種 運営サイト : 経営体質改善のヒント