ダイドーのESG・サステナビリティの取り組み実績と今後の方針は?株主優待や配当推移も

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ダイドーといえばコーヒーや自動販売機を思い浮かべる通り、国内を代表する飲料メーカーの一つです。最近は、ESGやサステナビリティにも積極的に取り組んでおり、持続可能な社会に貢献する事業活動を行っています。

この記事では、ダイドーのESG・サステナビリティの取り組み実績と今後の方針、また株主優待や配当推移など株主還元に関する情報について詳しく解説しています。ESG投資やダイドーに関心のある方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年2月9日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. ダイドーの特徴
  2. ダイドーのESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.E(環境)
    2-2.S(社会)
    2-3.G(ガバナンス)
  3. ダイドーの業績・株価動向
    3-1.ダイドーの業績
    3-2.ダイドーの株価動向
  4. ダイドーの株主優待
  5. ダイドーの配当推移
  6. まとめ

1 ダイドーの特徴

ダイドーは、コーヒー飲料や自動販売機による飲料販売に強みを持つ会社です。元々は日本独自の薬の販売システムである「置き薬」と呼ばれる個人事業から始まった企業であり、現在のダイドーの主な事業は、以下4つのセグメントから構成されています。

  • 国内飲料事業
  • 海外飲料事業
  • 医薬品関連事業
  • 食品事業

国内飲料事業とは、自販機で飲料を販売する事業です。中でもコーヒー飲料の販売比率が高く、自販機の販売約80%のうち、コーヒー飲料の売上高は約50%を占めています。販売している缶コーヒーは香料無添加にこだわっており、5種類以上の豆をブレンドした商品作りを基本としています。また、自販機をひとつの店舗と見なして運営することで、1台あたりの売上高を拡大していく事業戦略を採用しているのも特徴です。

一方、海外飲料事業では、自販機の販売ではなく一般飲料メーカーとして事業を行っています。トルコの現地企業を買収することで開始された事業であり、トルコの飲料メーカーのひとつとして存在感を高めています。主力商品は、炭酸飲料の「Camlica」やミネラルウォーターの「Saka」などで、ブランド認知度の向上に繋がっています。

このほか、医薬品関連事業では、ダイドーの設立母体である大同薬品工業が医薬品メーカーや化粧品メーカーからブランドの製造を受託したり、食品事業では、ドライゼリー市場で圧倒的なシェアを持つ「たらみ」を傘下に置き、美味しいゼリーを作る技術を他の事業分野に生かしたりしています。このようにダイドーは自販機でこだわりの缶コーヒーを販売しながら、様々な分野で独自の強みを生かした事業を展開しています。

2 ダイドーのESG・サステナビリティの取り組み

ダイドーは、持続可能な社会に向けたサステナビリティ経営を推進するにあたり、以下の取り組みを積極的に行っています。それぞれ具体的に見ていきましょう。

2-1 E(環境)

ダイドーは、環境配慮に向けた取り組みとして脱炭素社会と循環型社会への貢献を掲げています。例えば、脱炭素社会の実現に対して、CO2排出量の削減目標を掲げ、国内飲料事業におけるCO2の自社排出量や、自販機ビジネスにおける電力消費の削減に努めることで、カーボンニュートラルの実現を目指しています。

また、資源循環社会への貢献に向けた取り組みとして、空き容器回収率を100%達成させることや、プラスチック容器を植物由来の素材やリサイクル素材などを用いたサステナブル化を60%以上実現させること、自販機の平均寿命を15年に延ばす取り組みを実施中です。

その結果、自販機の環境付加低減における取り組みでは、2000年から22年間で年間消費電力を79.5%削減していることに加え、稼働している自販機の消費電力量を2015年から7年間で30.0%削減することに成功しています。

さらに、空き容器の自主回収率は2021年度で93%を達成するとともに、容器の製造で使用される原料を容器を薄型化することで、50%の使用量削減を実現しています。そのほかにも、自販機を管理運営するルートカーの年間使用燃料を削減したり、年間走行距離を短縮したりするなど、環境付加の低減に向けた取り組みを積極的に行っています。

2-2 S(社会)

ダイドーは、人と人のつながりを作ることや次世代に向けた新たな価値を生み出すことに向けた取り組みも実施中です。例えば、多様な人材の活躍を推進することを目的として、意欲ある女性を積極的に採用しているほか、高齢者の活躍を支援したり障がい者の雇用を推進したりしています。さらに、イノベーション人材を育成するための新たな働き方として、テレワークやフレックス勤務の推進、副業制度を設けるなど柔軟に働ける環境を整えています。

また、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。主力事業である国内飲料事業では訪日外国人に対応した多言語対応のインバウンド自販機を設けることで、自販機を通じた「おもてなし」を行っています。

その他にも、自販機を通じた募金活動として、自販機の収益の一部を募金として寄付する取り組みや、災害発生時には自販機の在庫商品を無償で提供することを約束した災害支援協定を地方自治体と締結するなど、ダイドーならではの自販機を活用した社会貢献を積極的に行っています。

2-3 G(ガバナンス)

コーポレートガバナンスの強化では、ダイドーグループを横断したガバナンス体制の構築を検討するとともに、グループ会社間での連携を強化しており、国内における主要な子会社の代表を持株会社の執行役員に登用しています。

また、資本効率を重視した経営管理の意識を向上させたり、経営の改善に向けたKPIの設定と、その具体的な取り組みについて力を入れたりもしています。例えば、中長期的な企業価値の向上実現として、資本生産性指標のひとつであるROICにおいて2030年1月期で8%以上とすることを目指しています。

3 ダイドーの業績・株価動向

ダイドーの業績や株価動向について、詳しく見ていきましょう。

3-1 ダイドーの業績

ダイドーの業績は、厳しい状況下にあります。2023年11月28日に発表された2023年1月期第3四半期決算は、通期業績予想に対する進捗率を大きく上回っているものの、経常利益ベースでは前年同期と比べて56.6%減と業績が落ち込んでいます。

コーヒー豆をはじめとする原材料価格が高騰していることや、商品の製造に必要なエネルギーコストが増加しているのが主な原因です。加えて、急激な円安の進行がコスト高に追い打ちをかけている状況が続いています。

直近の業績実績と今期の業績予想は、以下の通りです。

各年度 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2019年1月実績 1,715億円 6,071億円 5,998億円 3,856億円
2020年1月実績 1,682億円 2,893億円 2,857億円 1,778億円
2021年1月実績 1,582億円 5,602億円 5,727億円 3,204億円
2022年1月実績 1,626億円 4,581億円 5,651億円 3,974億円
2023年1月予想 1,655億円 7億円 9.5億円 −6億円

2022年1月実績までは好業績だったものの、以降は大きく状況が変化しています。2023年1月期の通期業績予想は達成する見込みではありますが、今後の業績は資源価格や為替の動向に引き続き左右される展開が続く可能性があります。

3-2 ダイドーの株価動向

ダイドーの株価動向は堅調です。2023年2月9日時点の株価は4,760円であり、価格帯は4,500円〜5,000円の範囲内に収まっています。

しかし、過去10年間のスパンで見ると上昇トレンドと下落トレンドを繰り返しながら、株価は大きく変動しています。例えば、2013年〜2018年までの6年間は安値を少しづつ切り上げながら、上昇トレンドが継続していました。好業績が評価されていたため、2018年1月期の売上高は1,726億8,000万円で過去最高の売上高を記録し、2018年3月にダイドーの株価は上場来高値である7,120円を付けています。

その後、株価は下落トレンドに入ったことで2020年3月13日に年初来安値となる2,761円を付けるまで値下がりを続けますが、コロナショックからの反発によって、株価は一時6,000円台に乗せる水準まで回復しています。そこからは目立ったトレンドはなく、株価は横ばいの展開が続いています。

4 ダイドーの株主優待

ダイドーの株主優待は、毎年1月20日時点の割当基準日に100株以上の株式を保有している株主に対して、株式の保有期間に応じて6,000円相当の株主優待品やオリジナル記念品の贈呈があります。

6,000円相当の株主優待品とは、飲料やゼリーなどダイドーグループが製造販売している商品の詰め合わせセットです。この株主優待品を受け取るためには、半年以上の期間について継続して株式を保有しており、前年7月20日において株式を100株以上保有していることや、同一の株主番号が連続して記録されている必要があります。

一方、オリジナル記念品の贈呈は、保有年数が5年を超えている株主を対象とした優待品です。同じ株主番号にて株主名簿に11回以上記載されている株主のみが受け取れます。なお、優待品の受け取りは4月中旬に予定されています。

また、株式の保有期間によらず、全ての株主に対してダイドーのグループ企業であるダイドードリンコや、「たらみ」の商品を優待価格で購入できる株主優待を設けています。優待価格で購入する方法は、株主になると受け取れる「DyDo Challenge通信」でも確認可能です。

5 ダイドーの配当推移

ダイドーは、配当方針について連結業績や事業見通し、配当性向などを総合的に考慮した上で決めることを掲げており、継続的に配当することを目指しています。例えば、2017年度〜2021年度までの配当金の推移は、次の通りです。

各年度 中間配当 期末配当 年間配当金
2017年 30円 30円 60円
2018年 30円 30円 60円
2019年 30円 30円 60円
2020年 30円 30円 60円
2021年 30円 30円 60円

まとめ

ダイドーは、持続可能な社会に向けたサステナビリティ経営を推進しており、環境・社会・ガバナンスについて具体的な数値目標を掲げて取り組んでいます。中でも、環境負荷の低減に関しては、自販機による飲料販売を事業活動の中核に据えているため、CO2排出量や消費電力の削減に積極的です。

また、株主優待や配当金の支払いなど、株主還元策も充実しており、株主になることで配当金やダイドーグループの関連商品を受け取れるのも大きな特徴です。

ダイドーのESGやサステナビリティの内容に関心のある方は、この記事を参考にご自身でも調査を進めてみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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