現在仮想通貨取引所でトレーダーを行っており日々他社の動向や機能、そして仮想通貨の市況をチェックしています。前月9月の市況分析を行いましたが、今回も10月のアップデートを行いたいと思います。
筆者は前職で3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、マーケットサイドで長年携わってきました。トレーディングの視点も盛り込みながら、役に立つ初心者でもわかりやすい相場解説を行うよう心がけて記載していきます。
目次
- ビットコインの定期市況分析
1-1.9月のビットコイン相場の振り返り
1-2.10月のビットコイン相場展望 - XRPの定期市況分析
2-1.9月のXRP相場の振り返り
2-2.10月のXRP相場展望 - イーサリアムの定期市況分析
3-1.9月のイーサリアム相場の振り返り
3-2.10月のイーサリアム相場展望 - まとめ
ビットコインの定期市況分析
9月のビットコイン相場の振り返り
最初に9月の相場から振り返りたいと思います。下記が9月のチャートとなります。
こちらのチャートは本当に値動きと重要なポイントのみ記載したためイベントやニュースが少ないように見えますがポイントだけに限定しているためこのようなコメントとなっていることをご理解ください。
9月のビットコイン相場は先月のビットコイン一強の動きが継続。百万円よりも少し上のラインで推移しており、100万円をサポートラインとして米中貿易摩擦が再度怪しい雰囲気に包まれ始めたあたりからビットコインにフローが一部流れたのか一時上昇する動きも見られました。しかし機関投資家の話題から期待されていたbakktが思った以上に取引が伸びず、大台の100万円を割れ込んだことから、ストップロスを巻き込み84万円付近まで急落する場面も見られました。その後反発するも80万円台後半で推移する動きとなっています。
初心者の方にわかりやすくするために今月の値動きのポイントを一つだけピックアップして解説したいと思います。それはbakktの期待と100万円の大台割れの動きが今月一番チェックすべき動きでしょう。
まずbakktとは何かからご説明しますBakkt(バックト)とは、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の親会社であるインターコンチネンタル取引所(ICE)が設立した新事業であり、ビットコイン先物取引や仮想通貨の購入、販売、保管、使用などを行うことができるプラットフォームを提供しています。
つまり機関投資家の参入が期待されていたことから、このbakktの期待というのもこれまでのビットコインの価格の動きに織り込んでいたと考えるのが自然でしょう。しかしその期待が思った位置ではなかった場合は当然ながらポジションは解消する方向に向かいます。その動きがトランプ大統領の弾劾のタイミングの動きに現れていると言えるでしょう。ここで重要なのは「100万円という重要な節目を割れていること」です。つまり100万円は割れてこないと考えてロングポジションを構築している投資家も多かったものの、予想に反して下落した場合どこかでポジションは閉じないといけません。損切りをどこでするかというと100万円を割れた位置に注文を置いていると想像できます。そのストップロスの注文はロングポジションの解消であるため、売り注文となるため、その注文がまとまって入っていると、自動的に発動することから一気に相場が動くということです。
これはビットコインだけでなくどの相場の商品でもよくある動きなのでこのようにイベント後にストップロスを巻き込んで値幅が大きくなるということは初心者の方は知らない人も多いのでこれを機会に覚えておくといいでしょう。
ストップロスがなぜ多いのか?と判断した理由はチャートの時間軸を変更するととてもよくわかります。下記は日足チャートになり、赤色のラインが100万円の重要なラインとなります。
このチャートから視覚的になんども100万円の位置で下値が抑えられていたことがわかるでしょう。そして水色の丸印のラインでこの位置を割れて一気に相場が下落方向に走ったことがわかると思います。
ポイントとしては200日移動平均線で下落が一旦ストップしており、下落の動きで低下したハッシュレートも回復していることや、BITMEXのロングポジションも1万枚程度まで減少していたことから、ある程度投げ売り圧力は低下したと言えるでしょう。
10月のビットコイン相場展望
次にビットコインの10月の相場展望を解説したいと思います。まずドミナンスの動きが変化してきたのでご覧ください。
9月以降のドミナンスはビットコインが低下する中アルトコインが上昇する動きを見せています。今年はビットコイン一強時代でしたが、ここにきてやっと落ち着いてきたということかもしれませんが、まだ調整と言っても小さい範囲なので、ビットコインが強い地合いはすぐに変化はしないでしょう。
次に10月から12月の四半期というのはどこかでビットコインが一旦急上昇しやすい時期です。2018年よりも前は3年連続でこの四半期毎月ビットコインは上昇するというアノマリーがあります。当然仮想通貨マーケット自体の歴史が浅いためアノマリーも当たるかわかりませんが、このような動きが出やすいのは頭に入れておきましょう。
次にチャートのポイントをご説明します。
前回の相場の展望の時には青色のレジスタンスラインと赤色の大台であった100万円のラインで三角保ち合いが形成されておりここがポイントとなると説明していましたが、今月bakktの話題から割れており、MACDも下落トレンドに転じています。究極のオシレーターやRSIは少し反転の兆しもあり、200日移動平均線で止まっていることから一旦下落は止まりやすい位置にいると言えるでしょう。
これはハッシュレートの動きを示しています。ハッシュレートとハは、ビットコインのマイニング(採掘)をする際の難易度、つまり速度を示した数値です。マイニングをするコンピュータの計算力などを示す数値としても利用されていることやビットコインの価格を予想する指標の一つとしても利用されることがあります。
このちょうど9月23日ビットコインが急落したタイミングで一時的にハッシュレートが低下しておりそのまま低下する動きになるかと思いきやきちんと戻ってきているため、これも底堅く推移しやすい1材料と言えるでしょう。
そのため四半期の季節性、テクニカル的な位置や、ハッシュレートの回復から見ると下げ止まったと考えて夏場からの上昇トレンドの押し目と考えて上方向で見るといいと思っています。注意すべき点は大台の節目を割れているため100万円を回復してからついていくという方針でもいいかもしれません。
また海外では機関投資家のフローは引き続き現象はしておらず、日本と海外で仮想通貨に対しての雰囲気が大きく違うことも頭に入れておきましょう。10月は84万円を大きく割れず再度100万を超えてくる展開を目指すと予想します。
XRPの定期市況分析
9月のXRP相場の振り返り
次にXRPについて解説していきたいと思います。下記はXRPの9月のチャートになります。
9月のXRP相場は8月の流れを引き継ぎ上旬は上値の重たい展開が継続しました。9月上旬にはリップルネットが40カ国に拡大する等XRPの普及が意識されるようなニュースが出ていましたが、8月と同様にリップル社から売り圧力と呼ばれている口座から引き続き300億円以上の送金されていることも意識され上値は重い展開。中旬にはアルトコインの回復も重なり上昇トレンドに回帰しつつある様子にも見えましたが、再度失速し上値の重たさを物語っている状況です。引き続き投資家のリップル社のフローという点が意識されているとも言えるでしょう。9月の出来高も低調で、今年の1月以来の低い取引量となっています。今後は取引量の拡大も取引判断で必要な材料と言えるでしょう。
次は日足チャートをチェックしましょう。
青色のラインで8月の最安値を一度割ってしまいましたが、このように下ヒゲをつけている場合は一旦売り圧力はなくなったと考えるのが自然と感じています。現在一度反発しているものの、再度この青のラインまで下落する可能性はあります。まずはここをサポートラインとして意識されることになりそうです。
10月のXRPの相場展望
先月のXRPの相場展望は予想通り上値の重い展開が継続している状況でしたが、少しずつアルトコインの回復に伴ってXRP相場も短期的な上昇局面に入る可能性があると考えています。まずはチャートからチェックしましょう。
XRPは7月の安値、8月の安値、9月の安値を3回更新しています。ダウ理論でもよく説明されているものですが、3回最安値か最高値を更新すると止まりやすいという法則があります。これはある程度ロングポジションを持っている人間が耐えきれずに投げているような下ひげが何度もついており、3回程度繰り返されると、ポジションは解消されていると判断できます。オシレーターをチェックするとMACDと究極のオシレーター、RSI全てダイバージェンスを形成し反転の兆しが近い動きが出ています。
そのため青色のラインをサポートラインとしてその水準で止まり、10月以降は一旦反転するタイミングに入ると想定しています。またビットコインのドミナンスが低下していることもBTC売りからのアルトコイン買いというフローも出てくると想定されるため、下落トレンドの予想を一旦ここでクローズし変更することとします。
イーサリアムの定期市況分析
9月のイーサリアム相場の振り返り
最後にイーサリアムについて解説したいと思います。
9月のイーサリアム相場は様々なニュースが出てくるなか、中旬までのETHガス代の上昇や、bitpayのETH対応が可能になったこと等好材料が相場を後押しして上昇トレンドが継続していたものの、ビットコインやライトコインの急落に連れ安となり、中旬にかけての上昇分を吐き出す展開となっています。
日足チャートで見ると7月に天井をつけた38,000円付近の位置から半値の位置の19,000円付近まで下落してきています。直近の24,000円から19,000円の急落がチャートの形を悪くしていますが、現在の水準で泊まるかどうかが正念場となるでしょう。
7月以降取引量が増える場面はあまりなく低迷している点は注意した方がいいでしょう。
10月のイーサリアム相場の展望
10月のイーサリアムの相場展望を行います。現在20,000円割れで推移しているイーサリアムですが、チャートからは引き続き上値の重い展開が予想されます。
チャートの内容はXRPと似たようになっています。3回の安値更新後、一瞬4度目更新するも反発をしています。直近の急落がチャートの形を悪くしているためここから横ばいの展開が続くと再度下落の可能性もあるという状況です。MACDもデットクロスしており、移動平均線もデットクロスしているため相場展開としては上値が重いような動きになっています。
オシレーターを見るとXRPと同様にダイバージェンスを形成しているため下落圧力は足元弱まっていると言えるでしょう。しかし上記の下落材料も顕在化している状況なことから両サイド意識しておくべき状況と考えています。そのため17,000円を割れるとショート方向でポジションを構築し、直近の高音である24,000円の超えてくるようであればロングポジションで攻めるのがセオリーな手法とチャートから言えるでしょう。
まとめ
このように方向感が読みにくい場合は無駄にトレードをせずにチャンスがくることをゆっくり待っておくことが重要です。「休むも相場」という格言があるように無駄な取引は無駄なコストを発生させ、無駄な損失を生むことは明白なので、勝てるときに淡々とエントリーすることをお勧めします。
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中島 翔
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