キヤノンマーケティングジャパンのESGの取り組みや将来性は?株価推移、配当・優待情報も

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ESGやサステナビリティが投資家から重視されるようになり、新たなビジネスチャンスに繋がることからも注力する企業が増えています。

今回はキヤノンマーケティングジャパンのESG関連の取り組み、株価推移や近年の業績について紹介します。どのような会社か知りたい方、投資対象として興味のある方は参考にしてください。

※2023年1月30日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. キヤノンマーケティングジャパンの概要
  2. キヤノンマーケティングジャパンのESGに関する取り組み
    2-1.カーボンニュートラル実現の取り組み
    2-2.資源循環の実現への仕組み
    2-3.仕事と育児・介護の両立
  3. キヤノンマーケティングジャパンの10年間の株価推移と業績
    3-1.10年間の株価推移
    3-2.業績
  4. キヤノンマーケティングジャパンの将来性
  5. キヤノンマーケティングジャパンの配当・優待情報
  6. まとめ

1.キヤノンマーケティングジャパンの概要

銘柄 キヤノンマーケティングジャパン
証券コード 8060
株価 3,010円
PER(会社予想) 10.96倍
PBR(実績) 0.98倍
配当利回り(会社予想) 2.99%

※2023年1月30日のデータ

キヤノンマーケティングジャパンは、カメラや複合機などで知られるキヤノングループの一員であり、日本におけるマーケティングやソリューション提案を担う企業です。大手企業から中小企業、個人の顧客まで、それぞれに適したソリューションを提案しています。

たとえばオフィス向け複合機では、クラウド型拡張プラットフォームによって他社の財務会計ソフトと連携し、仕訳入力の効率化や業務のデジタル化を推進。他にもPCを介さない印刷システム、クラウド型AI-OCRソリューションなど、バックオフィス業務の効率化・DX化を支援するソリューションを提供しています。

近年はIT人材不足、社内システムの複雑化や属人化を背景に、ローコード開発のニーズが高まっています。ソースコードをできるだけ書かずにアプリやシステムの開発を行うことで、開発者のスキルに左右されない、標準化されたプログラムでシステム構築ができます。キヤノンマーケティングジャパンではローコード開発プラットフォームの「WebPerformer」により、システム開発の省力化と効率化に貢献しています。

またキヤノングループと言えば映像技術に強みがあり、映像デバイスや集積データの管理や分析ができるソフトウェアを活用した「映像ソリューション」も提供しています。その例として挙げられるのが、橋梁やトンネルなどのインフラ点検サービスです。国内のインフラ構造物の老朽化が問題となっている状況に対し、カメラ・レンズによる高精細画像の撮影、画像処理のノウハウ、AIを活用し、構造物の劣化の兆候を察知します。

2.キヤノンマーケティングジャパンのESGに関する取り組み

同社はサステナビリティやESGに注力する企業でもあります。数々の取り組みの中から、代表的なものをピックアップして紹介します。

2-1.カーボンニュートラル実現の取り組み

カーボンニュートラルを実現するためのCO2削減活動として、事業所ではオフィス設備、業務プロセスの改善の取り組みを行っています。具体的には省エネ複合機やLED証明の導入、社有車のカーシェアリング、ノー残業デーなどの取り組みです。

物流においては、エプソン販売株式会社との間で共同配送を実施。単独配送では困難であった積載率の向上、配送車両の削減に繋がっています。キヤノンとエプソンといえば複合機事業で本来は競合関係にありますが、地球環境のために物流で協力し合う関係に進化しています。

2-2.資源循環の実現への仕組み

キヤノングループも、紙文書などを通じて資源と関係深い業種です。環境負荷低減のため、紙文書の電子化やICカード認証によるミスプリント防止など、業務プロセス改善から省資源を実践しています。

廃棄物に関して、全国の物流センターにおいて回収された製品が処分される前の過程を追跡できる仕組みを導入し、不法投棄防止を推進しています。また配送資材を減容化してプラスチック原材料として売却することにより、廃棄物の削減も行っています。

回収した使用済みカートリッジやトナー容器などの製品は、キヤノングループのリサイクル拠点である「キヤノンエコテクノパーク」などでリサイクルを実施しています。使用済みカートリッジは「価値ある資源」と考え、埋立処理を行わず、資源として有効利用しています。

2-3.仕事と育児・介護の両立

ESGの「S.社会」に関して、多様な人材が活躍するため、職場環境や制度の整備を行っています。2021年には子育てサポートに関して優秀な企業として、厚生労働省から「プラチナくるみん認定」を受けました。

同社では育児・介護関連で、以下のような制度を設けています。

産前・産後休暇 産前は出産日前の6週間、産後は8週間
マタニティー休業制度・短時間勤務制度 妊娠判明時から産前休暇の前日まで、休業取得や時短勤務が認められる
育児休業制度 子どもが満3歳になる前日まで取得できる
育児短時間勤務制度 子どもが小学校3年生を修了するまで利用できる
介護休業制度 家族1人につき最大1年間取得できる
介護短時間勤務制度 家族の介護のため勤務時間の短縮が可能
時間単位休暇制度 育児や介護などを理由に30分単位で取得可能

キヤノンマーケティングジャパンは女性活躍に向けて積極的に取り組んでおり、厚生労働省の「女性の活躍推進企業データベース」にも掲載されています。2025年までに管理職に占める女性の割合を6.0%以上、管理職候補であるチーフ・課長代理に占める女性の割合を20.0%以上とすることを目標としています。

3.キヤノンマーケティングジャパンの10年間の株価推移と業績

ここからは、キヤノンマーケティングジャパンの株価の動きと近年の業績について解説します。

3-1.10年間の株価推移

10年間のトレンドを見ると、波を何回か形成しながら、緩やかに上昇していることが分かります。10年前に1,300円程度であった株価は、現在3,000円前後と2倍以上に成長しました。

近年で大きく上昇したのは、まず2017年から2018年にかけての1年間で、2,000円から3,100円以上になりました。その後2,000円台に戻ってからは小さな上昇と下落を繰り返し、ボックス圏の動きでしたが、2022年3月から大きく上昇。一時3,100円以上を記録した後は3,000円近辺で推移しています。

3-2.業績

直近5年間の業績推移は下記のとおりです。

項目 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
売上高 6,322 6,216 6,211 5,451 5,521
営業利益 304 289 324 313 397
経常利益 315 305 339 352 411

※単位:億円

売上高6,000億円前後で推移していましたが、2020・2021年は5,000億円台に減少しました。一方で営業利益・経常利益は伸ばしています。

4.キヤノンマーケティングジャパンの将来性

キヤノンマーケティングジャパンの将来性について、ESGと業績の両面から考察していきます。まずESGに関して、紙と関連の深い業種であることから資源に関する取り組みが活発に行われています。

同業他社であるエプソン販売株式会社と物流面で連携するなど、企業の垣根を超えた取り組みを行っていることにも要注目です。ESG・サステナビリティは一社だけでは課題解決ができないテーマがほとんどであることから、他社と共同で取り組むことは非常に重要です。今後も必要に応じて他社との協力が進むことが期待されます。

女性の活躍推進に積極的に取り組んでいる点も非常に重要です。女性が働きやすい企業は組織内の多様性と包摂性が高くなり、イノベーションの創出機会や採用ブランディングなどにも大きく影響します。結果として、ESG評価や株価などにも長期的にポジティブなインパクトが期待されます。

次に業績について、利益は増加している一方で売上高は伸び悩みを見せています。国内市場の伸び悩み、半導体不足などが影響しているのではないかと考えられます。国内市場で今後売上を伸ばすには、同社のDX関連のソリューションが鍵となるでしょう。

5.キヤノンマーケティングジャパンの配当・優待情報

1株あたり年間配当 2022年3月期実績:90円
2023年3月期予定:90円
主な株主優待 なし

過去10年間の年間配当は伸び続けており、10年前は24円でしたが、2022年は90円と3倍以上になりました。2023年も90円の配当を予定しています。

まとめ

キヤノンマーケティングジャパンのESG関連の取り組み、近年の業績について解説してきました。国内のマーケティングを担当するほか、カメラ・レンズ・複合機など、映像・画像の技術を生かしたソリューションを提供しています。

ESG関連ではカーボンニュートラルや省資源などのプロジェクトを実施しており、今後もさらなる加速が期待されます。業績について売上高は伸び悩むものの、利益は伸びており、株価も3,000円近辺で堅調に推移している状況です。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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