アスクルのESG・サステナビリティの取り組みや将来性は?株価推移、配当・優待情報も

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国連でSDGsが採択されたこともあり、ESGやサステナビリティを重視する流れは強まっています。企業も自社の利益追求のみならず、環境や人権など幅広い課題の解決に貢献するよう求められています。

アスクルは事務用品を中心とする通信販売会社であり、ESGでも積極的な取り組みを行っています。今回はアスクルのサステナビリティの取り組み、株価推移や業績について解説します。アスクルへの投資を検討している方、ESGに関心のある方は参考にしてください。

※2023年4月24日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. アスクルの概要
  2. アスクルのESGに関する取り組み
    2-1.脱炭素社会を実現するためのCO2削減
    2-2.資源循環プラットフォームの構築
    2-3.環境配慮商品の拡充
    2-4.LOHACOの商品廃棄ロス削減の取組み「Go Ethical」
  3. アスクルの10年間の株価推移と業績
    3-1.10年間の株価推移
    3-2.業績
  4. アスクルの将来性
  5. アスクルの配当・優待情報
  6. まとめ

1.アスクルの概要

銘柄 アスクル
証券コード 2678
株価 1,841円
PER(会社予想) 19.05倍
PBR(実績) 2.92倍
配当利回り(会社予想) 1.74%

※2023年4月24日のデータ(株価は17日終値)

アスクルは事務用品・オフィス用品を中心とした通信販売の事業で知られている企業です。1993年に創業し、1997年にはインターネットによる受注を開始しました。物流の強化を図りながら事業を拡大し、2004年には東証一部(現在はプライム市場)への上場を達成しました。

BtoB事業を推進してきましたが、2012年にはBtoCオンライン通販事業の立ち上げを目的に、ヤフー株式会社と業務資本提携契約を締結。同年にインターネット通販サービスの「LOHACO」の提供を開始しました。このような沿革で、現在はソフトバンクグループ傘下のZホールディングスのグループ会社となっています。

アスクルは現在、主に以下5つのサービスを展開しています。

ASKUL 中小の事務所向けのオフィス用品などの通販サービス
SOLOEL ARENA 大企業向けのオフィス用品などの一括購買サービス
ビズらく 中小企業のIT導入・運用をサポートするソリューションサービス
SOLOEL 大企業グループ向けの間接材の購買ソリューションサービス
LOHACO 個人向けのデイリーユース品の通販サービス

お勤めの企業がASKULなどを導入しているという方も多いのではないでしょうか。個人向けサービスの「LOHACO」も知名度のある通販サービスで、食品や日用雑貨などを取り扱っています。

2.アスクルのESGに関する取り組み

アスクルはESG・サステナビリティ関連の取り組みも積極的に行っています。ここでは同社の取り組みの中で、環境関連のものを紹介します。

2-1.脱炭素社会を実現するためのCO2削減

アスクルの構想するエコプラットフォームでは、サプライチェーン全体でCO2削減に取り組みます。脱炭素社会を実現するため、再生可能エネルギー100%を目指す「RE100」と電気自動車100%を目指す「EV100」に加盟しています。

同社は2030年までに、事業活動に直接関連するCO2排出量をゼロにすることを宣言しました。グループ全体の排出量をゼロにするため、事業所や物流センターで使用する電力を100%再生可能エネルギー由来のものへの切り替えを推進しています。また、アスクルグループの配送車両を100%電気自動車に切り替え、物流センターから商品のデリバリーまで、CO2を排出しない事業に変えていく方針です。

2-2.資源循環プラットフォームの構築

2010年から「1 box for 2 trees」プロジェクトを継続的に実施しています。インドネシア製コピー用紙1箱の売上が、コピー用紙の原材料であるユーカリなど木2本分の植樹になる取り組みです。木を植えて育てて収穫するサイクルを続けることで、持続可能な森林資源を実現し、責任ある原材料調達を推進します。

資源循環に関する別の取り組みとして、使用済みのクリアホルダーを全国の事業所などから集めて、再資源化・再製品化しています。これは「アスクル資源循環プラットフォーム」と呼ばれており、廃棄物の削減や限りある資源の有効活用に繋がっています。

2-3.環境配慮商品の拡充

アスクルのオリジナル商品には、色々な環境配慮がなされています。環境配慮型商品を拡充していくことにより、商品の持つ付加価値をお客様に提供する方針です。

アスクルでは「グリーン購入法適合商品」「エコマーク認定商品」「GPNエコ商品ねっと掲載商品」に該当する商品に対し、カタログやWebサイトにて「グリーン商品リスト掲載品」マークを付けています。マークがあることで、お客様が環境配慮型商品を購入しやすくなる仕組みです。

また、森林認証製品の開発・取り扱いにも注力しています。紙製品や木材製品を取り扱う販売事業者として、森林認証製品の拡大によって「責任ある調達」を推進しています。現在は、コピー用紙や伝票などの紙製品、主要な木製家具において、森林認証製品の品揃えを実現しています。

2-4.LOHACO の商品廃棄ロス削減の取組み「Go Ethical」

「Go Ethical」は、従来は廃棄処分していた商品を販売する独自の取り組みで、作り手のメーカーと協力しながら、品質に問題ない商品を有効活用しています。「Go Ethical」に賛同・協力している企業には、アース製薬、江崎グリコ、花王グループカスタマーマーケティング、スリーエム ジャパン、森永製菓、ユニリーバ・ジャパンなどがあります。

商品の廃棄ロスを削減すると同時に、リーズナブルな価格で販売することにより、新たな顧客の獲得も目指す施策です。ECサイト上では商品の販売理由、販売による廃棄削減できた数量が示されています。

顧客が商品を購入することで廃棄削減に貢献できたことを実感できる点などが評価され、「令和4年度消費者志向経営優良事例表彰」消費者庁長官表彰を受賞しました。

3.アスクルの10年間の株価推移と業績

ここからは、アスクルの10年間の株価推移や直近の業績について見ていきましょう。

3-1.10年間の株価推移

アスクルは、以前は比較的動きの激しい銘柄でした。2014年には900円台から1,800円台に急騰したり、2015年には1,000円台から一時2,700円以上に値上がりしたりしていました。

現在の株価は、1,600円~1,800円のレンジで推移しています。3月中旬頃から株価は上昇傾向にあり、直近4月17日には2022年9月以来の高値を見せています。

3-2.業績

直近5年間の業績推移は下記のとおりです。

項目 2018/5- 2019/5- 2020/5- 2021/5- 2022/5-
売上高 3,604 3,874 4,003 4,221 4,285
営業利益 41 45 88 139 143
経常利益 39 44 86 138 142
親会社株主に帰属する当期純利益 46 4 56 77 92

(単位:億円)

直近5年間の業績は好調に推移しており、売上・利益ともにほぼ右肩上がりです。2022年5月期は売上・利益ともに過去最高を更新しました。B to B分野はオフィス用品需要減少があったものの、注力分野でカバーすることに成功しました。物流効率化などのコストコントロールが功を奏し、利益は計画を上回る結果となりました。LOHACOも赤字ではあるものの、下期はほぼ計画通りの収益改善となりました。

2023年5月当期に関しても売上高は好調で、第3四半期は連結で過去最高を更新しました。利益面では、原価高騰や販売費投下などの要因で減益となりましたが、計画を上回る進捗です。主力商品の売価改定、原価低減活動などの施策により、通期での利益計画は達成圏内としています。

4.アスクルの将来性

投資先として見た場合のアスクルの将来性について、ESGと業績の両面から考察していきます。まずESGに関して、環境面を中心に積極的な取り組みをいくつも行っています。2030年までに事業に直接関連するCO2の排出量をゼロにするなど、意欲的な目標も掲げています。

LOHACOの「Go Ethical」プロジェクトが表彰されるなど、外部機関もアスクルの取り組みをプラス評価しています。今後もESG・サステナビリティに関して、周囲の期待以上に積極的に取り組み、成果を出していけるのではないでしょうか。

次に業績に関して、直近5年間はほぼ好調を維持しています。新型コロナによる影響はあったものの、売価の改定やコスト低減などの取り組みが功を奏し、売上・利益ともに拡大し続けています。今後はBtoB分野でのオリジナル商品の開発強化、LOHACOの黒字化などが成長の鍵になるでしょう。

5.アスクルの配当・優待情報

アスクルの配当金と株主優待情報を解説します。

1株あたり年間配当 2022年3月期実績:31円
2023年3月期予定:32円
主な株主優待 「LOHACO」2,000円分の割引クーポン(年2回)

株主優待では、100株以上の保有者を対象に、LOHACOで使える2,000円分(500円×4枚)の割引クーポンを贈呈しています。年2回受け取れるため、合計4,000円分の割引を受けられることになります。LOHACOは食品や雑貨など、日常で使えるアイテムが揃っているため、上手に使えば節約になりお得です。

1商品・1個あたりクーポン1枚(500円)を利用できます。なお、LOHACO Yahoo!店では利用できないことに注意しましょう。

まとめ

アスクルのESG関連の取り組み、株価推移や近年の業績について解説してきました。BtoBの事務用品・オフィス用品の通販の他、BtoCのLOHACOを展開しており、多くの方になじみのある企業です。

新型コロナの影響を受けたものの、売上・利益ともに伸ばしています。ESGでも環境面などで積極的な取り組みを行っており、今後もサステナビリティへの貢献が期待されます。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。