米小売り大手のウォルマート(ティッカーシンボル:WMT)は4月6日、2030年までに全米の同社店舗および会員制卸売店サムズ・クラブの数千店に電気自動車(EV)の急速充電器を設置する計画を発表した(*1)。米バイデン政権がEV充電施設拡充に向けた助成金を交付すると発表する中、各社がインフラ網の構築を進めている状況だ。
現在、ウォルマートは店舗を始めとする280以上の施設で約1,300基のEVステーションを運営している。新たに導入する充電器についても、自社で保有・運営し、各店舗で平均4基を設置する計画である。同社はこれまで、EV充電器のサプライヤーであるEVゴー(EVGO)および独自動車大手フォルクスワーゲン(VOW)傘下で充電インフラを提供する米子会社エレクトリファイ・アメリカと提携し、過去2年で急速に充電網を拡大させている。
ウォルマートによると、米国人の9割が、同社の合計5,300超の店舗およびサムズ・クラブから10マイル(約16キロメートル)圏内に住んでいるという。同社のエネルギー・トランスフォーメーション部門シニアバイスプレジデントを務めるビシャル・カパディア氏は「出先で容易にアクセスできる充電環境は、必要な時に、清潔で、明るく、安全な充電ロケーションを見つけられるかという不安を抱き、EVの購入をためらう運転手の方にとってゲームチェンジャーになる」と述べた(*1)。
ウォルマートは、店舗機能の強化や顧客の利便性向上に資する取り組みを推進している。22年5月には、ドローンを活用した宅配サービスを6州の400万世帯に拡大すると発表した(*2)。荷物を消費者宅まで届ける「ライトワンマイル」配送を強化する。新型コロナ下においては、ワクチン接種および検査会場としても機能している。
米バイデン政権は30年までに50万基のEV充電器の設置を目指す。21年に成立した1兆ドルのインフラ投資法の一環として、75億ドルをEV充電網の構築に割り当てた。これにより、1月の米新車販売台数で7%を占めたEV販売の拡大が見込まれている。そのような中、各社がインフラ網の構築を進めている状況だ。
ドイツ自動車大手メルセデス・ベンツグループ(MBG)は23年1月、27年までに北米の400ヵ所で2,500基超のEV急速充電器を設置すると発表した(*3)。同年2月には、テスラ(TSLA)が自社のEV充電器を他社製のEVにも開放することが明らかになった。24年末までに少なくとも7,500基を利用できるようにする方針である。
【参照記事】*1 ウォルマート「Walmart Announces Plan To Expand Electric Vehicle Charging Network」
【関連記事】*2 ウォルマート、ドローン宅配を400万世帯に拡大。ラストワンマイル強化
【参照記事】*3 メルセデス・ベンツグループ「Mercedes-Benz Reveals New Charging Network and Tech Updates at CES 2023」
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