カナダ政府は8月23日、独フォルクスワーゲン(VW、ティッカーシンボル:VOW)およびメルセデス・ベンツグループ(MBG)と提携したと発表した(*1)。両社との提携を通じ、電気自動車(EV)とバッテリー向けグリーンサプライヤーとしての地位確立をめざす。
フォルクスワーゲンとは、持続可能なバッテリーの製造、正極活物質の生産、クリティカルミネラル(重要鉱物)の供給などで関係強化をはかる。同社の電池セル事業をになう新会社「パワーコー(PowerCo)」のカナダオフィスの開設も計画する。
メルセデスとは、EV及びバッテリーのサプライチェーンでカナダ企業との協働をすすめる。ESG(環境・社会・ガバナンス)方針にもとづいた持続可能なクリティカルミネラルのサプライチェーン構築、共同研究開発、新規投資で関係深化をはかる。
フランソワ・フィリップ・シャンパーニュ・イノベーション・科学・産業相は「カナダは、よりクリーンでグリーンな未来への移行にともない、急速に主要な自動車メーカーが選択するグリーンサプライヤーとなりつつある。北米に強固で信頼性の高い自動車およびバッテリーのサプライチェーンを構築し、世界的な気候変動対策の目標達成をサポートすることにコミットする」と述べた(*1)。
カナダ政府は3月末、「2030年までの排出量削減計画」を発表した。同年までに温室効果ガス(GHG)の排出量を05年比ですくなくとも40%削減をめざす。35年までに販売される新車の完全ゼロエミッション車(ZEV)化をおしすすめることで、50年までのネットゼロエミッションの達成をサポートする。22年連邦予算案ではZEV向けのインセンティブを拡充するほか、同国初となるクリティカルミネラル戦略も公表した。
世界各国の主要な完成車メーカーがEVシフトをすすめる。フォルクスワーゲンは40年までに主要市場で新車のほぼ100%をゼロエミッション車にする計画だ。メルセデスはさらに野心的で、30年までに全販売車種をEVにする。
米自動車メーカーでは、ゼネラル・モーターズ(GM)が35年までにEVへの全面移行をめざすほか、フォード(F)は30年までに世界生産の半分以上をEVにする計画だ。
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