トヨタ自動車の投資部門Toyota Venturesが、DeFiレンディングプロトコルTellerに出資したことが2月24日にわかった。なお、出資額は明かされていない。
Tellerは、イーサリアム上で有担保融資と無担保融資の両方を提供するDeFiプロトコルだ。銀行口座やFortune Teller NFTと接続することができ、NFT(非代替性トークン)をステーキングすることもできる。
現在、多くのDeFiのエコシステムでは、基本的にクレジット(信用)の概念がないため、常に担保資産が必要であり、かつ過剰担保を前提にしている。一般的に、DeFiでローンの借り入れをしているユーザーは、借入金額に対しておおよそ150%-300%の担保資産を差し入れる必要があるため、資金効率が悪いことが課題視されてきた。
このようなDeFiの現状に対して、Teller ProtocolはTeller自体がクレジットリスクを計算することで無担保融資を可能にしている点が特徴だ。Toyota Venturesのマネージング・ディレクターJim Adler氏は今回のTellerへの出資にあたって、自身のブログでこの特徴について綴っている。
Jim Adler氏によると、過剰担保をユーザーに強いていることがDeFiローンの発展を阻害しているという。この問題に対しTellerプロトコルでは、ユーザーの信用リスクを評価する仕組みによって、無担保融資を可能にしていることが画期的であると考えているようだ。
それに加え、信用度を判断するために確立されたスコアリングシステムの使用を容易にすることで、従来の金融と分散型金融(DeFi)の間のインフラを構築していることが評価すべき点であるとの見解も示した。
今回の資金調達はBlockchain Capitalがリードし、Toyota Venturesの他にも米決済大手PayPalなどが参加している。Blockchain Capitalの共同創設者Bart Stephens氏は、「Tellerは、従来の金融における貸し手と暗号資産ネイティブの貸し手が、プライバシーを守り分散型流動性プールを利用しながら、最高の信用スコアリング技術を使用することを可能にする」とコメント。Tellerが、銀行などが構築する伝統的な金融とDeFiの橋渡しになっている点を評価しているようだ。
今回のTellerへの投資は、Toyota Ventures Frontier Fundの一部であり、同社にとっては初めてのフィンテック分野への投資となった。Adler氏は「リードインベスターのBlockchain Capitalをはじめ、Franklin Templeton、Bessemer Venture Partners、Upstart Network、Signum Capital、United Overseas Bankとともに戦略ラウンドに参加し、Tellerのチームとともにこの新しい領域を開拓できることを嬉しく思っている」としてブログを締めくくっている。
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