サーキュラーエコノミースタートアップResynergi、9億円調達。プラスチック・リサイクル技術の拡大目指す

サーキュラーエコノミー(循環経済)分野のスタートアップResynergiは1月10日、シリーズB(資金調達ラウンド)で640万ドル(約9億3,000万円)を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、プラスチック・リサイクル技術の拡大を目指す。

今回の投資ラウンドは、ディープテックスタートアップを支援するベンチャーキャピタル(VC)Transitions First (T1ST)とエネルギーソリューションプロバイダーLummus Technologyが共同主導した。

この資金調達により、Resynergiは、プラスチック廃棄物を従来の熱分解法の20倍の速度で再利用可能な材料に変換するモジュール式の連続マイクロ波アシスト熱分解(CMAP)技術の生産規模を拡大する。同社はまた、更なる成長を図り、プラスチックのサーキュラーエコノミー分野におけるリーダーとしての地位を更に強固なものにするため、経営陣を拡充する予定である。

今回の投資を受けて、Lummus Technologyのレオン・デ・ブルーイン社長兼最高経営責任者(CEO)と、T1STのマネージングパートナーを務めるマリアンヌ・アビブ=ペック氏がResynergiの取締役に就任する。マリアンヌ氏は、シェルの航空燃料部門シェル・アビエーションの元グローバル最高財務責任者(CFO)でもある。

Resynergiのブライアン・バウアーCEOは「今回の資金調達と取締役の増員は、リサイクルしにくいプラスチックを資源と見なし、リサイクル・プラスチックを組み込んだ製品に対する市場の大きな需要に応えるための取り組みだ。化石資源への依存を減らす持続可能な新素材を生み出しながら、地域社会がプラスチックのリサイクルの可能性を実現できるよう支援していく」と述べた(*1)。

2050年までにプラスチック廃棄物が70%増加すると推定される中、Resynergiのモジュール式CMAPは、社会と環境にポジティブインパクトをもたらし、廃棄物変換の規模を拡大させる注目技術だ。同社の高度なリサイクル技術は、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度PE(LDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)の廃プラスチックを利用することができる。これらプラスチック廃棄物をクリーンで高品質、環境に優しい再利用可能な素材に変換する。

ResynergiのCMAPはモジュール設計のため、迅速な展開と拡張性があり、高度なリサイクルをより手頃な価格で汎用性の高いものにする。リアクター(炉)の設置面積を10分の1に縮小し、地域の廃棄物管理や自治体が「リサイクルプラント」に求める一般的な面積要件をなくす。

またモジュール設計のため、数年ではなく数週間で設置して運用し始められ、石油精製のパートナー企業がケミカルリサイクルのために設定した基準を満たす石油製品を生み出せる。最大68%の二酸化炭素換算値(CO2e)削減を伴うクリーンな製品を作る環境フレンドリーなプロセスを構築する。

現在、Resynergiの実証済みとなる1トンのCMAPリアクターユニットは、事業者および消費者によるプラスチック廃棄物の両方を1日当たり1.25トン変換する。今後、4台のCMAPリアクターユニットを設置することで、1日当たり5トン変換し、同リアクターユニットの生産を全米に拡大する計画だ。

バウアーCEOは「多くの都市では、1日に50トン以上のプラスチックごみを回収するのは経済的に困難だ。私たちの技術は、1日あたり20~50トンの処理枠内で非常に効率的であり、地域社会にとってゲームチェンジャーになる」と述べた(*1)。

【参照記事】*1 PR Newswire「Resynergi Raises $6.4M in Series B Funding Co-led By Transitions First and Lummus Technology To Scale Plastic Recycling Technology

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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