今月19日~20日にかけて、アルゼンチンでG20サミットが開催された。各国の財務大臣や中央銀行総裁などが一堂に会し、国際的な経済問題について話し合う同サミット。今年はそこで仮想通貨規制の枠組みについて議論されるとして関係者の注目を集めた。各国の規制状況がまちまちだからこそ足並みを揃えることが求められたわけだが、今のところ各国の対応にどの程度の違いがあるのだろうか。
主要国のなかで仮想通貨に対し最も厳しいスタンスをとっているのが中国だ。1年ほど前までは当局の資本規制をくぐり抜けるためにビットコインを保有する人が多く、利用者が中国に集中している状態だった。しかしその状況をよく思わなかった当局が昨年、ICOと仮想通貨取引を禁じたため、中国でビットコインを持つ人は激減した。さらに今年に入り、当局は国外の取引所へのアクセスにも規制措置を取り始めた。
Bloombergでは、ここの1年間のビットコイン取引の通貨別シェアを報じている。2017年1月の時点では全取引の93.2%を占めていた中国元だが、同年6月には9.7%まで減少。今年1月の時点では見る影もない。それとは対照的に、昨年1月の時点で5.0%の日本円、1.4%の米ドルがシェアを伸ばし、今年1月には日本円が44%、米ドルが42%と、ビットコイン取引を二分する通貨となった。
このグラフからも推測できるように、日本は相対的に見て仮想通貨に好意的な国だといえる。Bloombergによると、自国の取り締まりを逃れたい取引所の中には、日本に押し寄せて当局のお墨付きをもらうことを狙うケースもあるという。他国からすると規制が緩く、仮想通貨が盛り上がっているため、ぜひ参入したいところなのだろう。中国の金融時報によると、国内の取引所が閉鎖された後、「プラットフォームの移転先として一番よくあるのが日本と香港等」とのことだ。
他にもEUとして仮想通貨への投資に警鐘を鳴らしながらも、各国の対応には差が見られるヨーロッパ諸国など、足並みが完全に揃うまでの道のりは長そうだ。しかし、利用者保護を目的とした規制の強化という考え方はほぼ一致していることが示されたため、今後はより業界全体の安心感と信頼性が高まっていくのかもしれない。
【参考記事】On the G-20 Agenda: A Shared Desire to Calm Down Crypto
【参考記事】中国政府が仮想通貨取引規制強化へ 取引所海外拠点や仮想通貨間取引にも触手か
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木村つぐみ
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