ダイベストメントは「儲かる」-カナダ投資会社レポート

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化石燃料関連企業からのダイベストメント(投資引き揚げ)が投資パフォーマンスにプラスの影響をもたらすことが、カナダの独立系投資会社ジニアス・キャピタル・マネジメントが発表したレポートで明らかになった。

「2019ダイベストメント・レポート」によると、2013年5月から2019年7月の6年余の間に同社のFossil Free CanGlobe Equity Fund(カナダ株式35%、グローバル株式65%)への投資を通じてダイベストメントした投資家は、年率12.83%の利益を確保できた。同ファンドは、同社のベンチマークファンドやカナダ株式市場指数を運用成果も上回った。

サステナブル投資ファンドは6年間で約2.5倍に
同社のサステナブル投資担当パートナー・ディレクターのMike Thiessen氏は「同ファンドの運用成績は一貫して良好だが、カナダの投資家の指向は大きく変化した」とした上で、「気候変動に関する意識はかつてないほど高く、カナダの投資家は自らの投資行動を気候変動への対抗策としてどのように活かせるか自問している」と分析する。

同氏によると、同社のサステナブル投資ファンドは過去6年間で245%増え、カナダ人投資家の脱・化石燃料志向を考え合わせると、今後もこの傾向が続くことが予想されるという。

同社の脱・化石燃料関連ファンドの運用成績は、化石燃料関連企業の銘柄を外すことで好成績につながるという20年来の同社による調査結果を実証している。こうした調査は、化石燃料関連企業からのダイベストメントによって市場全体のパフォーマンスを下回るのではないかという懸念を和らげるものだ。

このほか、調査から分かったことは以下の通り。

・化石燃料の採掘、精製、輸送に関わる企業をポートフォリオに入れないファンドのほうが、大量のCO2を排出するエネルギー関連企業を入れているファンドよりも投資成績が良いことがある。ただし、運用収益差は一貫していない。

・化石燃料関連企業からのダイベストメントと、クリーンで効率的なエネルギー関連企業への慎重な再投資は、アクティブ運用と相まって、気候変動リスクを回避しながら投資を進めたいと考える投資家にとって理に適った戦略だ。

・化石燃料関連企業からのダイベストメントは、エネルギー業界から気候変動に配慮する業界への資産移転とともに、ポートフォリオ全体のリスク(エネルギー業界のボラティリティや不可避な資産リスク)を低減させる可能性を持つ。

【参考記事】New report proves divestment pays

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木村 麻紀

環境と健康を重視したライフスタイルを指すLOHAS(ロハス)について、ジャーナリストとしては初めて日本の媒体で本格的に取り上げて以来、地球環境の持続可能性を重視したビジネスやライフスタイルを分野横断的に取材し続けている。
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