ケンブリッジ大学発SaaSプラットフォームNutreeno、シード期に75億円調達。スコープ3の脱炭素化支援

脱炭素に資するB2B(企業向け)SaaSプラットフォームを開発するNeutreenoは10月2日、シード期(創業前または創業後間もない企業が行う資金調達)に500万ドル(約75億円)を調達したと発表した(*1)。

今回の投資ラウンドは、米ベンチャーキャピタルのRegeneration.VCが主導した。サーキュラーエコノミー(循環経済)を対象とする米投資会社クローズド・ループ・パートナーズや、スウェーデン商用車大手スカニアのコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)であるスカニア・インベストなども参加した。

Neutreenoは、ケンブリッジ大学からスピンアウトしたディープテック分野のスタートアップ企業だ。同社を創業したスペンサー・ブレナン博士は、20年以上にわたり複雑なサプライチェーンにおけるサーキュラリティと資源効率の概念を先駆けて開拓し、国際的な気候政策に貢献してきた科学者チームを結成した。

Neutreenoは独自のプロセスネットワークとエンジニアリングモデルを活用し、排出源を特定して排除する。炭素会計のみならず、スコープ3排出量の脱炭素化に向けた断固とした行動を取る先進企業と提携する。

企業は平均的にバリューチェーン(スコープ3)が排出量の90%以上を占めており、2030年までに排出削減ペースを倍増させない限り、93%の企業がネットゼロを達成できない。これは、バリューチェーンに関連した一次データの不足、サプライヤーに影響を及ぼすことができないこと、脱炭素化のコストが高いことなどにより、困難な課題となっている。

Neutreenoの独自プロセスネットワークを活用することで、物質とエネルギーの流れの研究に基づいており、サプライヤーが一次データを収集する負担を大幅に軽減する。企業が既存ツールよりも迅速かつ正確に、製品ライン全体およびサプライチェーン全体の温室効果ガス(GHG)排出量の測定を行える。

使いやすく手頃な価格のデジタルシステムは、1,000社を超えるサプライヤーの排出量とコストを削減するソリューションを自動的に特定する。例えば、わずか4週間で、あるサプライヤーのスコープ1~3にわたる排出量削減の可能性を35%とし、新製品の設計、調達変更、大幅な排出量削減につながる行動を自動的に特定した。

Neutreenoの顧客はアジア、ヨーロッパ、北米に広がり、様々な業界のS&P 500およびFTSE 250を構成する企業、および幅広い中小企業が含まれる。

【参照記事】*1 PR Newswire「Cambridge Scientists Secure $5M from Leading Global Venture Capital Funds and Corporations to Transform Scope 3 Decarbonization

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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