三菱UFJ銀行は3月2日、NFT(非代替性トークン)などのデジタル資産事業に参入することを明らかにした。香港のWeb3.0企業大手Animoca Brandsと協業し、NFTの発行支援や電子市場の運営など幅広い事業を検討するという。日本の銀行がNFT関連事業に参入するのは初とみられ、早ければ年内にもサービスを開始する。
NFTは、アニメやアート作品などのコンテンツを改ざんできない形でデジタル化できる技術だ。コンテンツをもつ企業や個人が独自のNFTを発行しているほか、利用者同士が売買できるマーケットプレイスも提供されている。
三菱UFJ銀行はこういった状況を踏まえ、金融機関としての経験や知識を活かせると判断した。NFT売買時の本人確認(KYC)や資産の保管などの事業も視野に入れているという。
先月には、グループ会社の三菱UFJ信託銀行が2023年春頃に独自のデジタル通貨「プログマコイン」を発行することを明らかにするなど、デジタル通貨事業への参入も表明している。プログマコインとは、1プログマコイン=1円で交換できる日本円連動型のステーブルコインのことだ。同社はデジタル通貨による決済により、デジタル証券の普及を促進すると共に証券取引の利便性を高めたい狙いがある。
今回三菱UFJ銀行と協業するAnimoca Brandsは、ブロックチェーンやNFTに関連したゲーム、メタバース、DeFi(分散型金融)、暗号資産ウォレットなど、様々な分野で独自のエコシステムを手掛けている企業である。昨年5月には、約97億円の資金調達を実施しユニコーン企業となっていた。
主な投資先およびプロジェクトには、NFTマーケットプレイス大手OpenSeaやメタバース大手The Sandboxなどがあげられる。また、主に新興国で急速に普及したAxie Infinityや、ソラナ(SOL)基盤のStar Atlas、コレクティブルで一世を風靡したNBA Top Shotなど、人気・知名度ともに高いNFTゲームにも積極的に投資してきた。提携するブランドには、ディズニーやFormula 1®、Doraemonなどがあげられる。
2021年10月には、日本市場を見据えた戦略的子会社として「Animoca Brands株式会社」を設立している。
【参照記事】三菱UFJ銀行、「NFT」などデジタル資産事業に参入: 日本経済新聞
株式会社techtec リサーチチーム
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