Microsoftは12日、ブロックチェーンをもとにした分散型のIDシステム(DID)のサポートを目指すことを発表した。同社はデジタルと現実の世界の境界線があいまいになりつつある今、新しいかたちのデジタルIDシステムが必要だとしている。
今日の世界で使用されているIDシステムとは異なり、DIDは政府機関や大手IT企業のような特定の第三者によって管理されない。そのため、DIDでは特定の企業に情報が集約することで発生するさまざまな個人情報の流出などのリスクを排除できる。このDIDの要素として、Microsoftでは7つの項目を挙げている。
- IDを自分で保有し管理できる
- 個人情報をはじめとするプライバシーが守られる
- 個人、コミュニティによる信頼性の構築
- よりユーザーに適合するサービスの提供が可能
- オープンで互換性のある基盤
- 世界規模のスケールに対応しうる
- 誰もが利用可能
Microsoftはこの説明の中で、ビットコインやイーサリアム、ライトコインを例に挙げ、レイヤー2を利用したパブリックブロックチェーンが世界規模のスケールに対応できるとした。オンチェーンでは秒間数百万のトランザクションを達成することは難しく、ブロックの拡大をしてまでオンチェーンにこだわったとしても分散化の強みを失わせるだけだと述べており、ビットコインキャッシュの思想を実質的に否定していることが特徴だ。
IDシステムは長年ブロックチェーン技術の利用ケースとして例えに挙げられており、Microsoftは「分散ストレージシステム、コンセンサスプロトコル、ブロックチェーンをはじめとするさまざまな新技術を検証した結果、ブロックチェーン技術とプロトコルがDIDに適していると考えるに至った。」とForbesに語っている。
ここ数年の間、IDシステムに関するブロックチェーンプロジェクトが立ち上がっている。だがMicrosoftはDIDに関する情報を公開しておらず、この時点で、DIDによって達成したい明確な未来もどのように実現していくかの過程も曖昧な部分が残る。
DIDは同社が買収したビジネス特化型SNSであるLinkedInに利用することが考えられるが、GoogleやFacebookのように大量のパーソナルデータをビジネスに活用するだけでなく、Microsoftがブロックチェーン企業として生まれ変わりたいという決意のあらわれかもしれない。
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【参考記事】Microsoft To Embrace Decentralized Identity Systems Built On Bitcoin And Other Blockchains
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HEDGE GUIDE 編集部 Web3・ブロックチェーンチーム

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