金融庁が2021年度の金融行政方針について説明した資料を8月31日に公開した。金融行政における重点課題および金融行政に取り組む上での方針と称している。
全体のテーマとしては、「コロナを乗り越え、力強い経済回復を後押しする」「活力ある経済社会を実現する金融システムを構築する」「金融行政をさらに進化させる」を重要課題にあげ、新たな金融システムを構築すると掲げた。
暗号資産に関しては、マネロン・テロ資金供与・拡散金融対策の強化をテーマに、FATFにおける国際議論で主導的な役割を果たすとしている。その上で、新規の暗号資産交換業の登録申請者に対して、審査プロセスの透明性を維持しつつ、より迅速に登録審査を進めると宣言した。
金融庁によると、無登録事業者に関する利用者相談が多数寄せられているといい、こういった無登録事業者に対して厳正に対応する姿勢を出していくという。
また、デジタル技術の進展や暗号資産交換業者による新たなビジネスの展開が活況になってきたことを踏まえ、あるべきモニタリングの枠組みについても検討を行うとした。具体的には、NFTやIEOといった領域に言及されている。
資料では、分散型金融(DeFi)やCBDCといった金融領域の最新動向についても触れられた。金融庁は、7月に「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」を設置しており、送金手段や証券商品などのデジタル化への対応のあり方を検討してきている。
CBDCについては、「日本銀行において現在実施している基本機能に関する概念実証に続き、 2022年度中までに周辺機能に関する概念実証を行うこととしており、財務省とも連携しつつ、 引き続きこの検討に貢献していく」と方針を示した。
なお、CBDCに関する昨年度の実績としては、次のように整理している。
- 2020年10月:日本銀行がCBDCへの取り組み方針を公表
- 2021年3月:日本銀行と財務省・金融庁及び民間事業者からなる連絡協議会を設置し、技術的検証の内容や今後の進め方等について意見交換を実施
- 2021年4月:基本機能に関する実証実験(概念実証フェーズ1)に着手
【参照記事】2021事務年度 金融行政方針について:金融庁
株式会社techtec リサーチチーム
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