AML/CFT(マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策)のために設立された国際組織として知られる金融活動作業部会(FATF)は10月28日、暗号資産や暗号資産サービスプロバイダー(VASP)に関するガイダンスの改訂版を発表した。
今回リリースされたガイダンスは、もともと2019年に発表された内容を、パブリックコメントや、FATF内での議論をもとに修正したものだ。
FATFによると、公開された2021年版ガイダンスには、主に以下の6つの項目のアップデートが行われているという。
- 暗号資産及びVASPの定義の明確化
- ステーブルコインに関するFATFルールの適用について
- Peer-to-Peer取引に置けるAML/CFT対策について
- VASPのライセンス及び登録について
- 「トラベルルール」の実施に関するガイダンス
- VASP間における情報共有や協力の原則について
新ガイダンスにおいて注目すべき大きな変更点は3つだ。
1つ目は、VASPの定義の明確化だ。改訂版では「インターネットサービスなどの基礎となるソフトウェアや技術の開発・提供のみを行う参加者は、VASPとは見なされない」と記載されている。
一方で、「DeFiの開発者や運営者、またはDeFiの取り決めにおいて大きな影響力を持つクリエイターやオペレーターがいる場合、それらの人々はVASPの定義に該当する可能性がある」とFATFは見解を示した。
2つ目は、暗号資産取引への「トラベルルール」の適用範囲だ。「トラベルルール」とは、FATFが定める国際的な電信送金に関する規則のことで、VASPに対し取引参加者の情報を収集・交換し、その情報の正確性を保証することを求める。対象となる送金取引において、国際的な本人確認(KYC)ルールが適用されることになる。
改訂版ガイダンスによると「トラベルルール」はVASP間の送金には適用されるが、プライベートウォレットへの送金には含まれないという。
3つ目は、暗号資産の定義とNFTについてだ。FATFは「NFTは一般的には暗号資産に該当しない」としている。ただし「支払いや投資目的で使用される場合、暗号資産の定義に該当し、規制の対象となる可能性がある」と記されている。
今後は、このガイダンスをもとに、暗号資産に関する規制が各国で整備されていくことになる。
【参照記事】Documents – Financial Action Task Force
株式会社techtec リサーチチーム
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