独物流大手ドイツポストDHLグループ(ティッカーシンボル:DPW)は10月4日、傘下の陸上輸送部門DHLフライトが「GoGreen Plus」サービスを導入すると発表した(*1)。陸上輸送での二酸化炭素(CO2)の排出削減を進める。
「GoGreen Plus」は、サプライチェーン全体を通じて、物流に関わるCO2排出量や、その他の環境への影響を最小限に抑えるための一連のソリューションのこと。先進的なバイオ燃料を使用した海上・航空輸送、電気自動車(EV)、バイオLNG(有機廃棄物から作られた天然ガス)を燃料とするトラックなどを活用する。
同サービスの下では、カーボンインセットによりCO2をはじめとする温室効果ガス(GHG)の削減を図る。カーボンインセットでは、陸上輸送の脱炭素化に寄与するグリーンテクノロジーや、バイオガス、水素化植物油(廃棄油や余剰の野菜などから作られたバイオ燃料、HVO)といったグリーン燃料に投資する。
GHG排出抑制手段として知られるカーボンオフセットは、自社で削減が困難な部分の排出量を、他の場所で実現した排出削減・吸収量など(クレジット)を購入することで、排出量の全部もしくは一部を埋め合わせる仕組みである。一方、カーボンインセットは、自社のサプライチェーンのなかで脱炭素化につながるプロジェクトに投資する。
DHLフライトは18年以来、スウェーデンでのカーボンインセットサービス「Skicka Grönt」など、複数のグリーン陸上輸送プロジェクトを推進。「Skicka Grönt」では電動、バイオLNG、HVOトラックを導入し、炭素排出の削減に大いにつなげている。
「GoGreen Plus」サービスは、50年までにネットゼロエミッションを達成するというドイツポストDHLグループのサステナビリティ目標の一環である。同サービスは、より多くの顧客がサービスを予約し、より多くの代替燃料もしくはクリーンテクノロジーを利用することで、日々の物流をグリーン化する仕組みだ。
サステナビリティ戦略および50年までの物流のネットゼロエミッション目標に沿い、ドイツポストDHLグループは全部門の全製品・サービスでグリーンな代替ソリューションの提供を目指す。すでに、傘下のドイツポストに加え、航空・海上輸送部門DHLグローバルフォワーディングなどにおいても「GoGreen Plus」サービスの提供を行っている(*2)。
気候変動の国際的な枠組み「パリ協定」に則ってCO2削減を推進すべく、30年までに70億ユーロ(約1兆円)を持続可能な燃料やクリーンテクノロジーに投じる計画がある。
【参照記事】*1 ドイツポストDHLグループ「DHL Freight Introduces GoGreen Plus Service to Decarbonize Road Transportation」
【関連記事】*2 ドイツポストDHL、LCL海上輸送でカーボンニュートラルを実現

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