独物流大手のドイツポストDHLグループ(ティッカーシンボル:DPW)は5月2日、傘下にて航空・海上輸送サービスを手掛けるDHLグローバルフォワーディングが、2021年1月以降、すべての小口混載貨物(LCL)の海上輸送でカーボンニュートラルを実現していると発表した(*1)。
認証に適合した持続可能な船舶用燃料(SMF)を利用することで、DHLはすべてのLCL海上輸送でTank to Wheel(#1)の二酸化炭素(CO2)排出量を36,300トン超削減した。また、直近1年間でWell to Wheel(#2)のCO2排出量52,800トンをオフセットしたという。
DHLグローバルフォワーディングの海上輸送部門グローバルヘッドを務めるドミニク・フォン・オレリ氏は、「すべてのLCL海上輸送の脱炭素化に向けた取り組みを開始して以来、370,599件の貨物輸送でSMFを活用している」と述べた(*1)。
また、現在では2,500社を超える顧客に対し、追加費用なしでLCL GoGreen Plus(#3)サービスを提供し、炭素排出目標の達成をサポートしてきたという。オレリ氏は、「この取り組みは海上部門の気候保護に貢献する持続可能なロジスティクスサービスが順調に進捗していることを示すものだ」と付け加えた。
GoGreen Plusを推進することは、燃料需要の少なくとも30%を持続可能な燃料でまかなうという目標の達成につながる。22年からは、航空およびフルコンテナ輸送(FCL)を含む海上輸送で同サービスを利用できるようになった。
ドイツポストDHLグループは50年までのネットゼロエミッション(実質排出ゼロ)の達成を目指す。ロジスティクス業界の中でも海上輸送は温室効果ガス(GHG)が急速に増加している排出源のひとつとなるなか、同業界全体の脱炭素化に向けてサステナブルなロジスティクソリューションの提供と持続可能な燃料へのアクセスにコミットしている。地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」に沿ってCO2排出量を削減するために、30年までに持続可能な燃料とクリーンテクノロジーに70億ドルを投じる計画だ。
脱炭素化に向けた取り組みを推進するドイツポストDHLグループは、傘下にて郵便物や小包の配送事業を手がけるドイツポストが、顧客の追加負担なしで郵便業務において発生するCO2のすべてを自動的にオフセットするサービス「GoGreen」も展開している(*2)。
(#1)Tank to Wheel…船舶運航による直接排出。
(#2)Well to Wheel…燃料の製造や輸送などを含む直接・間接排出。
(#3)GoGreen Plus…SMFおよび持続可能な航空燃料(SAF)の使用やCO2削減に係る認証取得などを通じ、サプライチェーンの脱炭素化の実現をサポートするためにDHLが提供するサービス。
【参照記事】*1 ドイツポストDHL「DHL Global Forwarding Decarbonizes 100% of Its Global LCL Ocean Freight Shipments」
【参照記事】*2 ドイツポストDHL、顧客負担無しで郵便業務から生じるCO2をオフセット

HEDGE GUIDE編集部 ESG投資チーム

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