ドイツ銀行、炭素集約型産業向けのネットゼロ目標公表。50年までに融資先の排出量90~100%減目指す

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ドイツ銀行(ティッカーシンボル:DBK)は10月21日、炭素集約型の石油・ガス、電力自動車、鉄鋼産業のネットゼロ達成に向けた2030年および50年の目標を発表した(*1)。

同目標はドイツ銀行のサステナビリティ戦略の中核を成す。また、ネットゼロを目指す金融機関の有志連合「グラスゴー金融同盟(GFANZ)」傘下の銀行団体「ネットゼロ・バンキング・アライアンス」の創設メンバーとして、ドイツ銀行のコミットメントを示すものだ。

ドイツ銀行の2,500億ユーロにのぼるコーポレートローンにおいて、新たに目標を策定した4産業は融資先の排出量で大きな割合を占めるほか、顧客のスコープ3(#1)の排出量においても主な排出源となる。そのため、それらの産業のカーボンフットプリント削減を後押しする方針だ。

石油・ガス(上流部門)では、スコープ3の排出量を30年までに23%、50年までに90%削減する。電力では、物理的原単位でスコープ1(#1)の排出量を30年までに69%、50年までに100%削減する。自動車(乗用車)では、テールパイプ排出量を30年までに59%、50年までにゼロにする。鉄鋼では、物理的原単位でスコープ1と2(#1)の排出量を30年までに33%、50年までに90%削減する。

ドイツ銀行はトランジション・ファイナンス(#2)やエネルギー移行に向けたアドバイザリーサービスの提供を通じ、これらの目標の達成を目指す。同行の目標は国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)やGFANZの原則およびガイドラインに沿うものである。

また、科学的根拠に基づく排出削減目標は、国際エネルギー機関(IEA)のネットゼロ・エミッション・シナリオを活用する。同シナリオでは、企業が最大限、削減に努力しても残ってしまう排出量(残余排出量)に対処する方法として、炭素回収・貯留技術のようなネガティブエミッション技術の活用を想定する。

自動車、電力、鉄鋼セクター向けには、投融資ポートフォリオのGHG排出量計測ツールPACTAを今後も利用する。23年中に、他の炭素集約型産業においてもネットゼロ目標の策定を行う計画だ。

多くのグローバル金融機関が、50年ネットゼロ社会の実現に向け、高排出産業向けの取り組みを推進している。最近では、英銀大手ロイズ・バンキング・グループ(LLOY)が、新規の石油・ガス田開発へのプロジェクトファイナンスおよびリザーブ・ベース・レンディング(石油・ガスの埋蔵量を担保とした融資)を行わない方針を発表した。独ミュンヘン再保険(MUV2)も新たに石油・ガス業界向けの投資、保険引き受け方針を公表している。

(#1)スコープ1…事業者みずからによるGHGの直接排出。
スコープ2…他社から供給された電気や熱などを使用して発生する間接排出。
スコープ3…事業者の活動に関連する取引先の排出。

(#2)トランジション・ファイナンス…脱炭素社会の実現に向けて長期的な戦略に則り、着実なGHG削減の取組を行う企業に対し、その取組を支援することを目的とした新しいファイナンス手法。

【参照記事】*1 ドイツ銀行「Deutsche Bank publishes targets for carbon footprint reduction

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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