ブリティッシュ・アメリカン・タバコ 50年ネットゼロ達成に向けたロードマップ公表

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ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(ティッカーシンボル:BATS、以下BAT)は10月4日、低炭素移行計画を発表した(*1)。2030年までにバリューチェーン(#1)全体の温室効果ガス(GHG)絶対排出量を20年比で半減させるとともに、遅くとも50年までにバリューチェーン全体でネットゼロ(GHG排出量の実質ゼロ)達成を目指す。

BATはリスク評価分析とシナリオ・プランニングを用い、バリューチェーン全体におけるリスクおよび機会を特定した。同計画の目標およびアクションは、22年7月にSBT(#2)イニシアチブにより認定されたBATの1.5℃目標に沿って設定。国際的な環境評価NPOの英CDPによると、BATのバリューチェーンからの間接排出であるスコープ3への取り組みは、BATのカーボンフットプリント全体の大部分を占め、同社が属するセクターにとって最も重要かつ困難な課題であるという。

BATは30年までにGHG排出量を20年比で50%削減することにコミットする。その目標の達成に向けた取り組みとして、①とくに排出量の多いサプライヤーとの連携、②製品を航空輸送する場合に低炭素排出の輸送手段である海上輸送へ徐々に移行、③たばこ葉のカーボンスマート農業などのプロジェクトにおいて農家と連携、④研究開発を通じた循環型社会の醸成、製品ライフサイクル終了プロセスの設計、エコデザイン原則を推進する。

BATはアルコール、ギャンブル、兵器といった「罪ある株式(sin stock)」と呼ばれる銘柄だ。近年は、世界最大級の政府系ファンド「ノルウェー政府年金基金(GPFG)」などのアセットオーナーを中心に、これらの製品を製造する企業への投資から撤退(ダイベスト)する動きが広がっている(*2)。

そのようななか、BATはサステナビリティの取り組みを強化。炭素強度の低減に成功したことにより、英フィナンシャルタイムズ紙から「2022 Climate Leader」に選出されたほか、S&Pグローバルの「Sustainability Yearbook 2021」では最高ランクのゴールドクラスを獲得。さらに、2021年に20年連続でダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス(DJSI)の構成銘柄に組み入れられたほか、同年には、たばこ会社として唯一DJSI「ワールド・インデックス」にも選定された。

(#1)バリューチェーン…企業の事業活動(原材料調達から製造、流通、販売、アフターサービスまで)を価値創造のための一連の流れとしてとらえ、付加価値を分析するツール。

(#2)SBT…SBT(Science Based Targets):パリ協定に準拠した科学的根拠に基づいた企業の温室効果ガス排出削減目標。国連グローバル・コンパクト(UNGC)、CDP(旧カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)による気候変動に関する共同イニシアチブ「SBTイニシアチブ」が目標を認定する。

【参照記事】*1 ブリティッシュ・アメリカン・タバコ「British American Tobacco – BAT publishes ambitious roadmap to reach Net Zero by 2050
【関連記事】*2 世界で急速に進むダイベストメント(投資撤退)、具体的な判断基準や投資除外企業は?

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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