インドで暗号資産取引を禁止する法案の可決が検討されていることが明らかとなった。1月29日に開始された下院議会における予算セッションで、「The Cryptocurrency and Regulation of Official Digital Currency Bill, 2021」と題した法案が提出されている。
今回提出された法案では、「インド国内における暗号資産取引は禁止すべきであるが、基盤システムとなるブロックチェーンやその他の分散台帳技術を利用する際には例外を認める場合もある」といった内容が記載されている。
また、インド準備銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)を発行するための枠組みについても言及された。詳細は明らかとなっていないものの、各国のCBDCに関する情勢を受けて積極的な姿勢を伺わせている。
なお、本法案は2021年4月8日までに議会の承認を受ける予定だという。インド国内最大手取引所CoinDCXでCEOを務めるSumit Gupta氏は、今回の件に関するCoinDeskの取材で次のように述べている。
「政府は決定を下す前に必ず全てのステークホルダーの意見に耳を傾けると確信しています。我々は他のステークホルダーとも話し合いを続けており、どのようにして我々が一体となってエコシステムを拡大できるか継続してアピールしていきます。」
インドでは、2018年4月に中央銀行であるインド準備銀行によって民間における暗号資産取引が禁止されていた。その後、最高裁によって2020年3月に禁止が棄却されるなど、暗号資産に対する方針を明確化できていない背景がある。
また2020年末には、インド財務省の管轄下にある中央経済情報局(CEIB)が、国内におけるビットコイン取引に18%を課税する法案を提出したばかりだった。インドでは年間約55億ドルのビットコイン取引が発生しているため、18%の課税により約10億ドルもの税収を得ることが想定されていた。
インドには13億人を超える人々が生活している。暗号資産は他の金融資産と比べて少額投資が可能なため、世界共通で若年層に受け入れられているのが特徴だ。インドの成長産業は暗号資産市場にとっても重要な意味を持つことため、今回の法案には多くの注目が集まっている。
【参照記事】The Cryptocurrency and Regulation of Official Digital Currency Bill, 2021
【参照記事】India Would Ban Private Cryptocurrencies Under Proposed Legislation
株式会社techtec リサーチチーム
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