ナスダックへの直接上場を間近に控える米大手暗号資産取引所Coinbaseが、出来高を水増しするために過去に不正な自動取引を行なっていたことが3月19日に明らかとなった。再発防止のために、米商品先物取引委員会(CFTC)より650万ドルの罰金が科されている。
CFTCによると、Coinbaseは2015年1月から2018年9月の期間内で、ビットコイン取引の出来高を不正に水増ししていたという。具体的には、自社で提供する自動取引サービスHedgerとReplicatorが作成した取引注文をこの2つ同士でマッチさせていた。
一般利用者からすると、出来高(流動性)の増加は市場の盛り上がりと見受けられるため、取引の判断をする際の誤解を招く要因となる。
HedgerとReplicatorはGDAXと呼ばれる自動取引プラットフォームを構成する機能の一部であり、現在はCoinbase Proに名称が切り替わっている。なお、Hedgerの利用は当時COOを務めていたAsiff Hirji氏の判断により、2018年9月以降は使用が停止されている。
他にも、CFTCはCoinbaseの元従業員が2016年8月にウォッシュトレードを行なっていたことを指摘した。ビットコインとライトコインの取引ペアにおいて、ウォッシュトレード(取引を意図的に約定させる行為)を行いライトコインの出来高をこちらも水増ししたとしている。
CFTCは、当該人物の名前を公表していないものの、この責任についてもCoinbaseが負うべきだと主張した。米暗号資産メディアDecryptは、当時Coinbaseに在籍していたライトコインの創業者であるCharlie Lee氏である可能性を指摘している。
今回の一件が影響しているかは定かではないが、Coinbaseの株式公開のタイミングが当初予定されていた3月中から4月にずれ込むことをBloombergが報じた。
上場を控えるCoinbaseとしては、初値に影響しかねないタイミングでの罰金となり痛手となってしまったが、Coinbaseの上場は引き続きの注目トピックと言えるだろう。なお、同社の証券コードは「COIN」になるという。
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