国際決済銀行(BIS)が、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)およびステーブルコインに関する調査レポートを新たに公開した。特にステーブルコインについては、金融の安定性に与える影響が強いとして多くの中央銀行が調査に乗り出しているという。
国際決済銀行は、1930年に設立された中央銀行間の送金ブリッジとなる組織だ。金融システムの安定を目的に隔月で開催される中央銀行総裁会議などを取りまとめている。
三回目となる今回のBISレポートでは、調査対象となった計65の中央銀行のうち3分の2がステーブルコインに強い関心を持っていると説明された。また、全世界における人口の約5分の1をカバーする中央銀行が、今後3年以内に汎用的なCBDCを導入する予定であることも報告されている。その他の具体的な調査結については主に次の通りだ。
- 約86%の中央銀行CBDCの調査に積極的な姿勢を見せている
- 約60%の中央銀行がCBDCを含むデジタル通貨の実証実験を開始している(2019年の調査では42%)
- 約14%の中央銀行がデジタル通貨の開発やパイロットプログラムを進めている
調査レポートでは、CBDCに対する関心度が高い理由として「新型コロナウイルスの影響」「ステーブルコインの脅威」をあげている。新型コロナウイルスに関しては、決済のデジタル化が加速した点が考えられるだろう。ステーブルコインの脅威に関しては、FacebookのDiem(ディエム、旧Libra)や中国のDC/EP(Digital Currency Electronic Payment、中国版CBDC)によるインパクトが大きかったのではないか。
国際決済銀行は、1月23日にCBDCを含む「Innovation Network」をローンチすることを発表していた。これは、「SupTechとRegTech」「次世代金融インフラ」「CBDC」「オープンファイナンス」「グリーンファイナンス」「サイバーセキュリティ」の6つのテーマから構成される。
本取り組みは、技術革新を通して世界の金融システムを支える公共財を創出するために開始されるという。次世代金融インフラやCBDC、オープンファイナンスといったテーマからは、国際決済銀行におけるブロックチェーンへの高い関心度が伺えるだろう。
【参照記事】Ready, steady, go? – Results of the third BIS survey on central bank digital currency
株式会社techtec リサーチチーム
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