【仮想通貨取引所の元トレーダーが解説】Coinbase上場によってどのように影響するか

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今回は、Coinbase上場の影響について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. Coinbaseとは?
  2. Coinbase上場が市場に与える影響について
  3. まとめ

アメリカ最大の仮想通貨取引所であるCoinbaseが2021年4月14日にNASDAQに上場しました。今回はCoinbaseの上場が仮想通貨市場や業界に与える影響について解説します。

①Coinbaseとは?

2012年に元AirbnbエンジニアのBrian Armstrong氏が設立したCoinbase Global, Incは、アメリカ・サンフランシスコに拠点を置くアメリカ最大の仮想通貨取引所です。取引所としては世界最大のビットコインの保有量を誇り、仮想通貨業界で大きな影響力を持っています。

Coinbaseの事業内容

Coinbaseはアメリカを中心に32カ国で仮想通貨の取引所サービスと190か国で使用できるウォレットを展開しています。

Coinbaseの販売所は「Coinbase」という名称で、ビットコイン、ビットコインキャッシュ、イーサリアム、イーサリアムクラシック、ライトコイン等の購入ができます。

そして、Coinbaseの取引所は「Coinbase Pro」という名称で、板取引ができるプラットフォームで、より多くの仮想通貨を取り扱っています。Coinbaseの収益の約60%がビットコイン取引の手数料となっています。

仮想通貨の販売・取引以外の事業には、「Coinbase card」という仮想通貨ベースのVISAデビットカードや、「Coinbaseコマース」というマーチャント向けの支払いサービスを提供しています。機関投資家向けには、「Coinbaseプライム」という専用プラットフォームと「Coinbase Custody」という保管サービスを提供しています。

Coinbaseの口座数は21年4月現在で5,600万口座、アクティブユーザー数は610万人と、圧倒的なユーザー数を誇っています。

Coinbaseの今後の展望

現在のCoinbaseの事業は仮想通貨取引がメインですが、今後は仮想通貨の販売所・取引所という枠を超えた展開が期待されます。同社はDeFiやNFT分野への本格的な進出を予定しており、3月にはインドにオフィスを新設し、エンジニアリングやソフトウェア開発、カスタマーサポート業務などを開始すると発表しました。

CoinbaseのNASDAQ上場

NASDAQへの上場初日、Coinbaseの株価は参考価格250ドルから最高値429ドルに達した後、328ドルで取引を終了しました。時価総額は650億ドル(約7兆円)となりました。日本の株式市場に例えると第15位に当たる規模となります。今回の上場に関して、NASDAQの上場前の推定価値が470億ドルとされていたため、上場は成功と言えるでしょう。

しかし、同日にCoinbaseの役員が同社の株を売却した事が伝えられており、Coinbase株の下落に伴ってビットコイン価格も下落するなど、波紋を呼ぶ結果となりました。

※編集部注釈:Coinbaseの上場では、一般的なIPOとは違い直接上場となっているため新規で株式は発行されていない。そのため、上場による資金調達は行われておらず、既存株主が保有する株式を売却する形での株式公開となっている。

②Coinbase上場が市場に与える影響について

Coinbase上場が仮想通貨市場にどのような影響を与えるのでしょうか?

Coinbaseプレミアムの影響力の増加

Coinbaseプレミアムとは、Coinbase Proのビットコイン価格とBINANCEのビットコイン価格の差のことです。Coinbaseでのビットコインの買い圧力が高まるとCoinbaseプレミアムはプラスとなり、これは短期的にサポートが機能する前兆とされます。逆にプレミアムが縮小、あるいはネガティブになると売り圧力が高まっていると見なされます。

Coinbaseプレミアムは特に大口の動向をいち早く知れる指標としてトレーダーを中心に注目されています。Coinbaseでの大口の注文は機関投資家のOTC取引需要とされ、トレンドを測る指標となります。

今回のNASDAQ上場で世界的にもCoinbaseの注目が集まり、Coinbaseプレミアを手がかりとした売買が加速することが予測されます。

CoinbaseのBTC価格をインデックスとした裁定機会

裁定機会とはアービトラージの事で、流動性などの違いから取引所によりビットコイン価格に差が生まれ、そうした価格差を利用した取引の事です。

FXや仮想通貨では、単に通貨の売買をするだけではなくアービトラージで利益を挙げるトレーダーも多くいます。

Coinbaseはビットコインの保有残高が多く、株式上場で社会的な信用度もアップしたので、Coinbaseのビットコイン価格を手がかりとしたアービトラージ取引も増えると予想されます。

また、今後は仮想通貨市場にもETFが誕生する見込みが高く、そのインデックスにCoinbaseのBTC価格が採用されてくると思います。

Coinbaseの事業拡大に伴う市場変化

Coinbaseは今後取り扱い通貨を増やす方針を打ち出しています。Coinbaseが新規取り扱いを発表するとその通貨が高騰する傾向があり、「Coinbase効果」と呼ばれています。つまり、Coinbaseに上場される通貨は値上がりが期待できます。

Coinbaseが取り扱い通貨を増やすことで、ビットコインからアルトコインへの資金流入だけではなく、仮想通貨市場の外部からの資金流入を呼び込むこととなれば、業界全体への影響も非常に大きくなると予想されます。

Coinbaseはまた、決済機能などに関連するビジネスも拡大していくと予想されます。Coinbaseのウォレットはすでに世界190か国で利用可能で、アメリカでは去年の秋から仮想通貨建てのデビットカードサービスも展開しています。また、マーチャント向けの支払いサービスも行なっていますので、そのような基盤の上でブロックチェーン技術を用いたスマートコントラクトなどDeFi分野での展開は確実に力を入れていくと思われます。

さらにNFTマーケットへの参入も示唆されており、マーケットプレイスの展開や、ブロックチェーンゲームへの進出なども考えられます。その際には5,600万人の顧客基盤をベースに一気にマーケットが盛り上がる可能性もあります。さらに、そのNFTサービスの基盤となるブロックチェーンのトークンは、高い確率で上昇することが予想できます。

どのようなビジネスをする際にも莫大な顧客基盤は新しい取り組みを一気に成長させるポテンシャルとなります。実現すれば仮想通貨取引所の枠を超えて、新たな金融機関としての地位を確立する可能性も非常に高いと言えます。

③まとめ

今回のCoinbaseのNASDAQ上場は仮想通貨業界にとってエポックメイキングな出来事でした。現在の株式時価総額もさることながら社会的信用と圧倒的な会員基盤をうまく活かすことができればCoinbaseが第2のMicrosoftやAppleのような企業へと成長する可能性も高いのではないでしょうか。

今後もCoinbaseの動きには注目しつつ仮想通貨市場の盛り上がりを見ていくと仮想通貨ファンとしては楽しみが膨らむことでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12