綿半HDのESG・サステナビリティの取組実績と今後の方針は?株主優待や配当推移も

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綿半は、スーパーセンター事業、建設事業、貿易事業を中心とした400年以上の歴史ある企業です。力を合わせ、分かち合い、響き合う「合才の精神」で、地域社会の活性化と人々のよりよい生活環境構築のために進むことを宣言しており、ESG投資の重要性が高まる中、時代の流れに適した事業に取り組むことで多様性のある企業グループへと発展しています。

そこで今回の記事では、綿半HDのESGやサステナビリティの取り組み内容について、実績、今後の方針のほか、株主優待や配当推移も詳しく解説していきます。綿半HDの銘柄を検討している方や、ESG・サステナビリティの取り組み内容について詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年3月15日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 綿半HDの特徴
  2. 綿半HDのESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.環境への配慮
    2-2.緑豊かな環境づくり
    2-3.自然災害に対応した商品開発
    2-4.子どもたちへの教育支援
    2-5.社会福祉サービスの提供
    2-6.地域資源の活用
    2-7.品質・技術力向上
    2-8.従業員の働き方
    2-9.ガバナンス
  3. 綿半HDのESG・サステナビリティに関する外部評価
  4. 綿半HDの業績・株価動向
  5. 綿半HDの株主優待・配当推移
  6. まとめ

1 綿半HDの特徴

綿半HDは、綿半企業グループに属する各企業を統括する国内の持株会社です。主な事業は、綿半企業グループ全体の経営戦略・新事業の企画や統括管理であり、会社の登記上の本店所在地は長野県飯田市ですが、本社の所在地は東京都新宿区になります。

綿半企業グループ全体で行っている事業は、「小売事業」「建設事業」「貿易事業」が中心です。小売事業では、スーパーセンター、ホームセンター、食品スーパー、ネット通販など多種多様な事業を展開しています。

建設事業では、自走式立体駐車場、工場の屋根改修、緑化・内外装工事、木造住宅などの分野で事業を展開しています。貿易事業では、天然由来の医薬品・化成品の輸入販売、不妊治療薬の原料製造のほか、食品分野にも進出しています。

2 綿半HDのESG・サステナビリティの取り組み

綿半HDは、環境、社会、ガバナンスの各方面でESG・サステナビリティの取り組みを行っています。「地域の発展のために子どもの成長が不可欠である」との考えに基づき、1953年に開始した奨学金制度などの子どもの教育支援を行ったり、地域活性化の実現を目指したりしながら、日々事業活動を行っています。

綿半HDは、今後も子どもの成長のため、持続可能な社会の実現を目指しながら、ESG・サステナビリティの取り組みを行う方針を宣言しています。

それでは、綿半HDの環境、社会、ガバナンスの各方面におけるこれまでのESG・サステナビリティの取り組みの実績を確認していきましょう。

2-1 環境への配慮

綿半は、環境面における具体的な取り組みとして、「プラスチック使用量の削減」「低炭素化社会の実現」「資源の有効活用」「天然資源の調達配慮」を行っています。例えば、「プラスチック使用量の削減」では、店舗で使用するレジ袋削減に取り組んでおり、利用客が持参しやすいマイバックを提供するべく、オリジナルエコバッグを開発しています。

「低炭素化社会の実現」に向けては、店舗や工場などの屋根に太陽光発電を設置し、再生可能エネルギーの利用に取り組んでいるほか、店舗に「綿半リサイクルステーション」を設置したり、間伐材やリサイクル資源を活用した環境にやさしい商品開発を行ったりして、「資源の有効活用」にも取り組んでいます。

一方、「天然資源の調達配慮」は、植物資源の調達による自然環境やコミュニティーへの配慮という形で行っています。

2-2 緑豊かな環境づくり

綿半HDのグループ傘下にある綿半ソリューションズの緑化部門では、緑豊かな環境づくりを目的として、造園工事や維持管理などを通じ、緑を創ったり、守ったりする取り組みを行っています。また、施設の緑地や植栽を活用して、緑を楽しむ企画を立てたり、イベントを開催したりしています。

2-3 自然災害に対応した商品開発

綿半HDは、立体駐車場の柱の中に水を貯めることができる「雨水貯留柱」を開発しており、自然災害時にも一定量の水を確保することが可能で、清掃用の水まきにも利用できるほか、商業施設の立体駐車場にも採用されています。

2-4 子どもたちへの教育支援

社会面における取り組みでは、子どもたちへの教育支援として、「奨学金支援の実施」「入学祝いの学用品の贈呈」「絵画コンクールの開催」「サッカー・ラグビーの普及活動」「寺子屋の開催」「社会科見学や職場体験の受入実施」に取り組んでいます。

1953年より、飯田下伊那地域出身学生を支援する目的で、「龍峡育英会奨学資金」という奨学金制度を継続しており、1957年からは、長野県内・東海地区の一部市町村にある小学校・中学校に毎春入学する生活保護家庭の子どもへ入学祝いの学用品の贈呈を実施しています。

また、子どもの成長した姿や魅力を伝える目的で、綿半HDは2008年より、小学生・中学生を対象に「ふる里自慢こども絵画美術館」という絵画コンクールを毎年開催しており、応募した小学生・中学生の描いた絵画は、ふる里自慢として展示されています。

さらに、スポーツ活動も子どもの成長過程を見ることができるため、綿半HDは、子どもたちへの教育支援の一環として、サッカーやラグビーの普及活動を行っています。長野県に本拠地を置くプロサッカークラブの「松本山雅FC」「AC長野パルセイロ」のスポンサーとなり、地元の小学生・中学生を対象にサッカーの普及活動をしています。ラグビーの普及活動では、NPO法人であるラグビークラブ「南信州クラブ」を支援する形で行われています。

その他、従業員が小学生・中学生の先生となって、勉強を見たり、観賞用植物標本の手作り体験教室「寺子屋」を開催したりしています。地域の小学生・中学生を対象に社会科見学や職場体験を受け入れ、厨房見学ツアー、セルフレジお買い物体験を実施したり、品出し、ラッピング練習などの実際の仕事体験をさせたりしています。

2-5 社会福祉サービスの提供

1979年以降、社会福祉法人の綿半野原積善会や、特別養護老人ホーム、居宅介護支援センター、デイサービスセンターなどによる総合的な福祉サービスの提供を行っています。

2-6 地域資源の活用

地域資源の活用を目的として、地域生産者と消費者をマッチングさせる「地場産直コーナー」を店舗に設け、地元農家が作った新鮮な野菜や果物、ジャムなどの加工食品の販売を行っています。また、綿半HDの100%子会社であるサイエンスホームを通じて、全国の加盟店各地域で調達・加工した地場産の木材を使用した家づくりをしています。

2-7 品質・技術力向上

品質向上の目的として、食品添加物につき、国の基準よりも厳しく設定した綿半HDの基準を満たした商品のみを販売し、子どもにも安心な食の提供を目指しています。

技術力向上の目的としては、岐阜技術センターにおいて、実寸大の立体駐車場を設けて、構造実験や壁面緑化の生育試験などの研究開発を行っています。

また、将来の人材不足への対応と生産性向上を目的として、2019年より、綿半ソリューションズ鉄鋼工場で自動溶接ロボットが製造過程で活用されるようになりました。

2-8 従業員の働き方

綿半HDでは、個人のライフスタイルに合わせた多様な働き方ができるよう、企業グループの従業員全員が働きやすい職場環境づくりに取り組んでおり、「フレックス制度」「フリーアドレス制度」「テレワーク制度」「パパ産休制度」「次世代育成研修制度」を導入しています。

また、出産後の女性が働きやすい環境づくりに取り組む目的として、2017年に当企業グループ傘下にある綿半ホームエイドの本社内に「わたぴーらんど」という保育所も設けられています。

2-9 ガバナンス面

ガバナンス面においては、企業の組織統治を目的として、「内部統制、内部監査制度、内部通報制度の適切な運用」「リスク管理・コンプライアンスの統括」「法令社会規範遵守の徹底」、「情報セキュリティに対する体制整備」などに取り組んでいます。

また、株主、消費者、取引先、従業員、地域社会などのステークホルダーとの信頼関係を構築するため、適切な情報開示、IR活動、CSR活動などに取り組んでいます。

3 綿半HDのESG・サステナビリティに関する外部評価

綿半HDは、長野県が設けている「長野県SDGs推進企業」に登録されています。長野県SDGs推進企業とは、企業が経営戦略として、環境・社会・ガバナンス面におけるESG・サステナビリティの取り組みをすることを促進し、企業の価値向上や競争力の強化を図ることを目的として長野県が設けた登録制度です。

長野県SDGs推進企業への登録によって、綿半HDは事業活動の中でESG・サステナビリティや持続可能な開発目標の達成に意欲的に取り組む県内の企業として、長野県から認められました。

4 綿半HDの業績・株価動向

綿半HDの2019年3月期から2022年3月期までの業績は、以下の通りです。売上高は、2019年3月~2020年3月期にかけて増加しましたが、2021年3月期と2022年3月期は2期連続で微減となっています。経常利益は、2019年3月期~2021年3月期までは増加傾向にありましたが、2022年3月期は前年度より減少しています。親会社株主に帰属する当期純利益は、2019年3月期~2020年3月期は減少しましたが、その後は2期連続で増加しています。

項目 売上高
(百万円)
経常利益
(百万円)
親会社株主に帰属する当期純利益
(百万円)
2019年3月期 106,462 2,506 1,612
2020年3月期 120,187 2,813 1,519
2021年3月期 114,790 3,527 1,919
2022年3月期 114,500 2,936 2,204

綿半HDの株価は、2022年3月9日からの1年間は横ばいで推移しています。2022年8月29日~2022年度末日までの期間は下落傾向が続いていましたが、2023年に入ってから株価が反転して急上昇し、2023年3月15日時点で1,418円となっています。

小売事業と貿易事業において、出店コストの発生、電力値上げ、円安相場の為替相場などの影響で2022年度の利益面では減益となっており、株価へのマイナスの影響が懸念されます。一方、建設事業においては、資材価格高騰の影響を受けましたが、前期末の受注分の工事が順調に進んで増益となっており、株価へのプラス材料となる見込みです。

5 綿半HDの株主優待・配当推移

綿半HDの株主優待の対象となった株主は、綿半オリジナル信州特産品の贈呈を受けられます。株主優待の対象条件は、綿半HDの株式を継続して100株以上保有していることです(毎年3月31日と9月30日に連続して同一の株主番号で株主名簿に記載されていることが必要です)。

また、贈呈を受けられる優待品の数も保有株式数によって異なり、以下の通りです。

保有株式数 贈呈を受けられる優待品の数
100株以上300株未満の継続保有の株主 1点
300株以上の継続保有の株主 2点

一方、綿半HDの2018年3月期から2022年3月期までの1株当たりの配当額の推移は、以下の通りです。

年度 1株当たりの年間配当金額
2018年3月期 16円
2019年3月期 16.5円
2020年3月期 17円
2021年3月期 20円
2022年3月期 21円

綿半HDの1株当たりの配当金額は、年々上昇傾向にあります。また、2023年3月期の1株当たりの年間配当金額は22円の予想で、前年期よりも1円多くなる見込みです。

まとめ

綿半HDは、子どもの教育支援を特に力を入れながら、環境・社会・ガバナンスの各方面でESG・サステナビリティの取り組みを行っています。業績は、年度によって増減していて横ばい状態ですが、親会社株主に帰属する当期純利益は2期連続で増加するなど上向き傾向です。また、株価も2023年に入ってから上昇傾向にあり、1株当たりの配当金も年々増加しています。

なお、投資にはリスクも伴うので、リスクを十分に理解した上で、慎重に検討することが大切です。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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