ステラルーメン(XLM)の現状と今後の注目点

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今回は、ステラルーメン(XLM)の現状と今後について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. ステラルーメン(XLM)の概要
  2. ステラルーメン(XLM)の特徴
  3. ステラルーメン(XLM)の現状
  4. Stellarブロックチェーンの今後
  5. ウクライナ政府によるCBDCの基板採用
  6. BVDHによるEUROベースのステーブルコインの発行
  7. その他の展開
  8. まとめ

仮想通貨ステラルーメン(XLM)の基盤となるStellarブロックチェーンは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)の発行基盤として採用されるなど今後の発展が期待されています。今回は、Stellarブロックチェーン及び仮想通貨ステラルーメン(XLM)の現状と今後について解説します。

①ステラルーメン(XLM)の概要

ステラルーメン(XLM)は2014年にリップル(XRP)の元開発者であるジェド・マケーレブ氏が主導する非営利団体Stellar Development Foundation(SDF:ステラ・ディベロップメント・ファンデーション)により発行されました。

ステラ・ルーメンのコンセンサスアルゴリズムはSCP(ステラ・コンセンサス・プロトコル)と呼ばれる、リップルの仕組みから派生した独自のアルゴリズムを使用しています。リップルの場合、トランザクションの承認にはバリデーター(承認者)の80%以上の合意が必要とされます。ステラの場合は3分の2(66.6%)のノードが同意した取引データが承認されていく仕組みとなっています。そのためリップルより幾分、処理速度が早くなっています。

ステラ・ルーメンの発行量は2021年6月時点で50,001,806,812 XLMとなっており、追加発行は停止されています。公開市場で23,005,670,695XLM(全体の約46%)が流通しています。

②ステラ・ルーメン(XLM)の特徴

ステラルーメンの特徴は、ビットコインなどの明確な管理者のいないネットワークではなく、リップルのように中央管理者としてSDF(Stellar Development Foundation)が存在する点です。バーン完了後もSDFは300億XLMを保持しており、今後数年間をかけて開発・エコシステム拡大・マーケティングなどに使用しながら、公開市場に流入する計画です。

Stellarブロックチェーンの特徴としては、送金速度の早さと手数料の安さです。SCPによりスケーラビリティ問題の解決を図り、送金時間が2~5秒、手数料は$0.000001とほぼ無料とも言える安さを実現しています。

③ステラルーメン(XLM)の現状

次にステラルーメンの現状に関するトピックスの中から今後に大きな影響を与える重要性の高いものについて解説します。

スイスの21Sharesによる投信商品の上場

2021年4月にスイスの仮想通貨の投資信託を運営する21Shares(21シェアーズ)がステラルーメン(XLM)の上場投資商品(ETP)をスイス証券取引に上場しました。21Sharesによると、XLMの価格上昇に伴い投資家からの需要が高まってきているため、今回のETPを組成し上場したとの事です。

日本国内の取扱い状況

2021年5月現在、国内で6ヵ所の仮想通貨取引所がステラ・ルーメン(XLM)を取り扱っています。Coincheckでは販売所でステラルーメン(XLM)を購入できるだけでなく、「ステーキング」や「自動積立」サービスでも利用できます。

ステーキングというのは、ユーザーが保有している資産を貸し出して最大年利5%の賃借料を得られるサービスです。「Coincheckつみたて」は、毎月最低1万円から自動積立を行うことができるサービスです。

Coincheck(コインチェック)の口コミ・評判・口座開設

GMOコインは販売所でステラルーメン(XLM)の現物取引に対応している他、仮想通貨FXでレバレッジ取引も可能です。レバレッジ取引はショート(空売り)もできるため、資産価値の下落から利益を得ることも可能です。また、GMOコインも最大年利3%のレンディングサービスを提供しており、XLMにも対応しています。

GMOコインの口コミ・評判・口座開設

④Stellarブロックチェーンの今後

以前からIBMなど大手企業との提携が進んでいたStellarですが、今年に入り更にStellarの将来を後押しする状況になってきています。

1.ウクライナ政府によるCBDCの基板採用

2021年1月に東欧のウクライナ政府が中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発基盤として、Stellarブロックチェーンを使用すると発表しました。

ウクライナ国立銀行(NBU)は2017年からCBDCの研究を進めてきましたが、デジタルトランスフォーメーション省とSDFがパートナーシップを提携しウクライナのCBDCの基盤としてStellarブロックチェーンが採用される事になりました。

SDFのデネル・ディクソンCEOは、現在複数の政府とCBDCの開発に関する協議を進めていると述べており、Stellarの基盤がさらに強化される可能性があります。

2.BVDHによるEUROベースのステーブルコインの発行

ドイツの老舗銀行の一つで260年以上の歴史があるBankhaus von der Heydt(BVDH)が、
Stellarブロックチェーンを使って、ユーロ(EURO)に連動するステーブルコインを発行する計画をしています。

BVDHの提携先企業のビットボンド(​Bitbond)はすでに、SDFや決済ネットワークのTempoと連携し、トークン化された債券をStellarブロックチェーンで発行する認可をドイツの連邦金融監督庁から受けています。

ドイツの銀行は、信用面で課題があるUSDTや、米企業が発行するUSDCのような既存のステーブルコインは好まず、独自発行を考えています。BVDHのステーブルコインは銀行法に基づく厳格な規制とKYC(身分確認)要件があるため、仮想通貨取引所では取引されない方針です。

実用面において、銀行発行のステーブルコインは送金・決済手段のユーティリティトークンとしての利用になりそうです。広く一般社会にも受け入れられることが予想されるため、今回のプロジェクトが成功すると世界各国の大手銀行でもステーブルコインの発行が相次ぐ可能性もあります。

また、銀行にとっても送金の効率化とコスト削減にも繋がるため、世界の銀行がこのプロジェクトに注目しています。現在の国際送金の標準的なシステムであるSWIFTを代替することになれば、ステラの実用性と信頼度を証明する事例となりそうです。

その他の展開

Stellarブロックチェーンの展開はCBDCや銀行発行のステーブルコインに限らず、複数の大規模プロジェクトが同時進行しています。

2018年から始まったIBM国際送金プロジェクト「IBM Blockchain WorldWire」やデロイトとの提携、ドイツでデジタル債券のベースブロックチェーンとしての採用、メッセージアプリSignalでの仮想通貨決済の基盤としてのテスト運用、アフリカでのデジタル通貨圏の基盤採用など、非常に勢いがあります。

⑤まとめ

ウクライナでのCBDC開発や銀行発行ステーブルコインの基盤としての採用は、Stellarブロックチェーンにとって非常に大きな意味を持ちます。仮想通貨ステラルーメン(XLM)にもポジティブな影響をもたらすかもしれません。Stellarのエコシステム全体の将来性に期待する方は、長期投資を考えてみても良いでしょう。

ステラルーメン(Stellar Lumens)とは?特徴・仕組み・購入方法

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12