日本製紙のESG・サステナビリティの取り組みは?株主優待情報も【2022年10月】

印紙用紙生産で国内トップの日本製紙は、積極的にESGやサステナビリティの取り組みを行う企業の一つです。脱プラスチックが追い風になる中、ストロー要らずの学校給食用紙パックを開発するなど、環境に配慮した紙容器開発で先行しているため、注目している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、日本製紙の特徴、株価動向、ESG・サステナビリティの取り組みの詳細、株主優待情報について紹介していきます。日本製紙について興味のある方や、投資先として選びたいと考えている方は、参考にしてみてください。

※本記事は2022年10月1日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 日本製紙の特徴
  2. 日本製紙の株価動向
  3. 日本製紙のESG・サステナビリティの取り組み
    3-1.環境面での取り組み
    3-2.社会面での取り組み
    3-3.ガバナンス面での取り組み
  4. 日本製紙の株主優待内容
    4-1.株主優待の対象条件
    4-2.優待品
  5. まとめ

1 日本製紙の特徴

日本製紙は国内の大手製紙業会社で、「木材・建材」「紙」「紙パック」「ケミカル」などの製造販売事業、エネルギー事業、アグリ事業、レジャー施設運営事業などを手がけています。

「世界の人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献する」という企業理念の下、客のニーズに的確に応え、持続可能な社会構築に寄与することを目指しながら事業活動を行っているのが特徴で、グローバル競争に勝ち抜くためにアジア・オセアニア地域を中心として海外事業展開も行っています。

日本製紙は、木材の特性を活かした「持続可能な森林資源の循環」「技術力で多種多様に利用する木質資源の循環」「積極的な製品のリサイクル」という3つの循環を強化することで、「事業成長」と「循環型社会構築の寄与」の両立を実現するという成長戦略を掲げています。

この成長戦略により、事業利益の獲得とともに、循環型社会の形成に寄与する製品の提供を行い、豊かな暮らしと文化の発展に貢献する企業になることを目指しています。

2 日本製紙の株価動向

日本製紙の株価は、2022年10月1日時点前の直近3年は下落傾向が続いています。2013年時点の日本製紙の株価は1,500円前後を推移していましたが、その後は緩やかな上昇傾向を保ちながら、2019年4月まで1,500~2,300円の間で株価は推移していました。

2019年4月2日に2,364円を付けた後、日本製紙の株価推移のトレンドが下落傾向へと変わりました。2020年3月17日には、2013年6月時点の価格水準である1,263円まで下落しています。

2020年12月時点で一時的に株価が上昇に転じたものの、2021年4月以降、日本製紙の株価は再度下落トレンドに入り、12月27日には1,053円まで下がっています。さらに、2022年に入ってからも株価の下落トレンドが継続し、5月には株価が1,000円を割り込みました。2022年10月1日時点の株価は、900円前後で推移しています。

新型コロナウイルスの影響もあってテレワークやペーパーレス化が進んでいるため、紙パルプ産業の需要は減少しています。製紙事業の成長期待も限定的であるため、株価も長期下落トレンドの流れが継続する可能性があります。

3 日本製紙のESG・サステナビリティの取り組み

日本製紙は、様々な事業活動を行う上で、ESGやサステナビリティの取り組みを行っています。

資源、気候変動、人権など様々な問題が議論される中、企業側もESGやサステナビリティに配慮しながら事業を行うことが長期的な成長につながります。そのため、ESG・サステナビリティの取り組みをした上で事業活動を行うことは、企業にとっても重要な課題となっています。

それでは、日本製紙によるESG・サステナビリティの具体的な取り組み内容を確認していきましょう。

3-1 環境面での取り組み

日本製紙では、「環境目標2030」を策定し、気候変動などの環境問題へ対応することで、持続可能な社会の実現を目指す形でESGの取り組みを行っています。日本製紙が策定した環境目標2030の内容は、以下の3つに大きく分けられます。

  • 燃料転換と省エネルギー対策による温室効果ガスの削減
  • 資源の創出と循環利用の促進
  • 製造工程で発生する環境負荷の低減

温室効果ガスの削減目標において、直接排出量を2013年度と比較して45%削減する取り組みです。実際、温室効果ガスの排出量を2013年度より20%削減しているほか、燃料転換により、使用エネルギーにおける非化石エネルギーの比率を60%以上にする目標については、46%まで達成しています。

また、資源の創出と循環利用の促進目標の中で、国内外すべての自社林で持続可能な森林の利用と保護を図ろうとする「森林認証」も取得しています。使用するすべての木質バイオマス資源のトレーサビリティを確保し、持続可能性を確認する目標も、森林認証制度の活用によってその充実が図られています。

環境負荷の低減目標については、設備改善や省エネ対策に取り組み、2018年度との比較で、大気汚染物質および水質汚濁物質をその種類に応じて10~30%程度の削減を実現しています。国内生産拠点における産業廃棄物の最終処分量は2.1%で、目標の2%以下の数値に近づいています。

製品の製造・販売時などにおける環境配慮

日本製紙では、製品の製造・販売時などにおいても環境に配慮した取り組みを行っています。

例えば、製品を製造する際に使用する原材料も、持続可能性の社会実現のために環境配慮をしながら取り扱っており、調達する原材料は持続可能な森林から選択したり、製造段階においては地球温暖化や環境負荷の要因となる物質の排出を削減したり、省資源、省エネルギーの製品を販売しています。

また、製品の使用後は、リサイクル可能な製品を回収して再利用にあてたり、製品を破棄する際には、環境汚染物質の発生を抑えるために廃棄物の量を減らしたりするといった対応も行っています。資源の循環を促進するリサイクルシステムの構築も開始され、2022年10月内に日本製紙工場内に設置された再資源化設備が稼働予定となっています。

このほか、日本製紙で開発された独自素材として「セレンピア」というCNF(セルロースナノファイバー)があります。これは植物由来の最先端バイオマス素材で、製品の製造や破棄時の環境負荷の少なさに特徴があり、サステナビリティの取り組みが現れている開発品です。セレンピアは、どら焼きなどの食品や紙コップなど幅広い製品に使用されています。

3-2 社会面での取り組み

日本製紙では、社会貢献活動を継続的に行う形でESGの取り組みを行っています。日本製紙が行っている社会貢献活動には、「地域・社会に関するもの」「環境に関するもの」「教育に関するもの」など多岐にわたります。

「地域・社会に関するもの」では、例えば、子ども110番パトロール事業への協力や振り込め詐欺予防などの地域の安全・防災対策、事務所周辺の掃除による地域美化に貢献しています。また、自然災害時の義援金の拠出や、豪雨災害時に仮設住宅用地の貸与など、災害時の支援活動も行っています。

「環境に関するもの」では、紙コップの回収リサイクルや環境リスク説明の実施などの活動を行い、資源の節約に貢献したり、地域住民への責任を果たしたりしています。これに加え、外来植物の駆除、シマフクロウの繁殖条件改善などの活動を行い、生物多様性の保全にも貢献しています。

「教育に関するもの」では、工場見学やインターンシップの受け入れ、従業員による学校授業への協力、教育機関への自社商品提供などの活動を行っています。また、日本製紙の社有林を活用して、「森と紙のなかよし学校」という自然環境教室を開催するという形で教育面に貢献しています。

3-5 従業員教育・講演会の開催

日本製紙では、サステナビリティ経営の実現のために従業員教育を行ったり、講演会を開催したりしています。2021年度には、「サステナビリティと日本製紙の企業活動との関わりについて」「サステナビリティと日本製紙の製品・サービスとの関わりについて」などのテーマを題材に従業員教育が行われ、ともに4,500人以上の従業員が参加しました。

また、日本製紙の従業員のほか、取引先など外部関係者も参加できるサステナビリティのテーマを題材にした講演会が定期的に開催されています。2021年度は、「2050年カーボンニュートラルを目指して~森林が果たす役割」というテーマを題材にした講演会が開催され、約850人が参加しています。

3-3 ガバナンス面での取り組み

日本製紙では、ESGの取り組みのためにコーポレートガバナンス体制を整えています。コーポレートガバナンスとは、株主、顧客、従業員、地域社会などの立場を踏まえた上で、公平な意思決定を行うための仕組みのことです。コーポレートガバナンス体制によって、社外の者が経営を監視することになるため、企業の不祥事を防ぎ、健全な経営を実現することができます。

日本製紙では取締役会と監査役会の機関が設置されており、取締役会では、ESGの観点から持続可能性の社会実現への課題である環境問題の重要性を意識しながら、役員が話し合いを行っています。それとともに、株主、顧客、従業員、地域社会などのステークホルダーに配慮しながら問題解決に向けて積極的な取り組みを推進しています。

日本製紙の取締役会を構成する取締役には、担当業務の業績やマネジメント能力がある社内取締役と専門知識や経験が豊富な社外取締役で構成されています。また、日本製紙の取締役会長と代表取締役社長は、ESGやサステナビリティの知見や経験を持っている点も特徴的です。

日本製紙の監査役会は、定期的に代表取締役社長と会合を行って相互認識を図ったり、グループ会社の監査役と連携強化してグループ監査の充実に努めたりしています。また、監査役会を構成する各監査役は、取締役会などの重要会議に出席した上で取締役の業務執行について厳正な監視を行っています。なお、日本製紙の監査役会を構成する監査役は4名いますが、そのうちの2名は社外監査役です。

4 日本製紙の株主優待内容

日本製紙は、一定条件を満たした株主に対して、自社商品などの優待品をプレゼントする株主優待制度を設けています。日本製紙の株主優待の対象条件や優待品の内容も確認してみましょう。

4-1 株主優待の対象条件

日本製紙の株主優待を受けるには、権利確定日である3月31日時点で同社の株主名簿に100株以上の株式保有者である旨の登録がなされていなければなりません。そのため、日本製紙の株主優待の対象条件を満たすためには、3月31日の2営業日前までに株式を購入して保有株式を100株以上にしておく必要があります。

4-2 優待品

日本製紙の株主優待の対象となった場合、保有株式数に関係なく、日本製紙クレシアの製品である「家庭用品詰め合わせ」1セットのプレゼントを受けられます。優待品は3月31日時点の日本製紙の株主名簿に記録されている対象株主の住所宛に送付してもらう方法で受け取ることができます。

まとめ

デジタル化による紙の需要の減少や、足元ではウクライナ侵攻による材料費高騰などの影響もあって、日本製紙の株価は2019年4月以降下落トレンドが続いています。

一方、日本製紙ではESG・サステナビリティの取り組みを行うとともに、CNF(セルロースナノファイバー)という新素材の開発に取り組んでいます。CNFは、製紙業界において今後の成長期待が高い分野であり、日本製紙の開発したCNFが各製品に採用されることなどが期待されています。

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