今回は、国内外のNFTプラットフォームについて、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- 代表的なNFTプラットフォームの一覧・比較
1-1.国内NFTプラットフォーム
1-2.海外の代表的なNFTプラットフォーム
1-3.国内外のプラットフォームの特徴まとめ - 利用時に注意すべきこと
2-1.パブリックチェーンに対応しているか確認すること
2-2.売買契約の内容 - 国内で購入したNFTを海外マーケットプレイスで再販するには
- まとめ
2021年に米プロ・バスケットボール選手のプレー動画をNFT化して販売するプラットフォーム「NBA Top Shot」が短期間で約240億円を売り上げたことをきっかけに、NFT(非代替性トークン)を利用するユーザーが増えました。それに伴い、多くのNFTプラットフォームが生まれています。
そこで今回は、「国内外のNFTプラットフォームにはどのような違いがあるのか」、「取引時に注意すべきかことは何か」、「国内プラットフォームで購入したNFTを海外のプラットフォームで再販できるか」について解説します。
国内外のNFTプラットフォームの特徴を挙げるとともに、取り扱う場合の注意点について解説していきます。
①代表的なNFTプラットフォームの一覧・比較
1-1. 国内NFTプラットフォーム
①Coincheck NFT(β版)
国内有数の仮想通貨取引所Coincheckが運営しているNFTプラットフォームという事もあり、リリース1週間でユーザー数が1万人を超えた人気の国内NFTプラットフォームです。取り扱いコンテンツは、NFTゲーム内で利用できるゲームアセットやトレーディングカードです。
Coincheck NFTはイーサリアムネットワークに対応しており、プラットフォーム内でNFTの販売ができます。Coincheck NFTの主な特徴は下記の通りです。
- 購入時にネットワーク手数料が発生しない
Coincheck NFTでは、ブロックチェーンに取引が記録されないオフチェーンが利用されています。そのため、購入時に手数料が発生しないようになっています。しかし、購入したNFTを外部へ出庫する場合は手数料(0.01ETHから0.16ETH)が発生します。 - 決済に使用できる仮想通貨が豊富
ビットコインやイーサリアム、リップルなどを含む16種類の仮想通貨に対応しています。クレジットカードでの決済は対応していません。
②SBINFT Market
SBIグループ下のSBINFT株式会社が運営するNFTプラットフォームです。取り扱いコンテンツはデジタルアートやデジタルミュージック、写真などを販売することが可能になっています。
SBINFT Marketでは2次販売が可能であり、また利用時にはMetamaskなどが必要です。SBINFT Marketの主な特徴は下記の通りです。
- 信頼性の高いNFTが揃っている
公認アーティストと提携パートナーのみがNFTを出品できるようになっているためと言えるでしょう。NFTを誰でも出品可能なNFTプラットフォームの場合、偽物が出品される可能性があります。しかし、SBINFT Marketでは審査に通ったアーティストと提携パートナーのみが出品できるため、ユーザーは安心してNFTを購入出来ます。 - イーサリアムとポリゴンネットワークに対応
購入者は、イーサリアムとポリゴンで決済をすることができます。また購入者はポリゴンを使用しているため、イーサリアムよりも手数料を抑えて購入することができます。 - 決済手段が豊富
SBINFT Marketでは、イーサリアムやポリゴンだけでなく、クレジットカード決済が可能になっています。このため仮想通貨を保有していない人も購入可能となっています。 - 複数言語に対応可能
SBINFT Marketでは日本語、英語、韓国語と中国語に対応しています。
③AdambyGMO(β版)
GMOインターネットグループ傘下のGMOアダム株式会社が2021年にリリースしたNFTプラットフォームです。取り扱いコンテンツはデジタルアートです。
Adam byGMOはイーサリアムネットワークに対応しており、2次流通機能を備えています。Adam byGMOの主な特徴は下記の通りです。
- 日本円決済が可能
クレジットカードだけでなく、銀行振込から決済することも可能になっています。 - 保有者限定コンテンツがある
保有者限定コンテンツとは、購入した後、該当するNFTを保有するユーザーのみが視聴出来るコンテンツとなっています。その保有者がそのNFTを2次販売した後は確認できない仕様となっています。
1-2. 海外の代表的なNFTプラットフォーム
①OpenSea(オープンシー)
2017年にリリースされた老舗NFTプラットフォームです。利用者数は2022年6月時点で、約180万人にのぼり、取引量がすべてのNFTプラットフォームの中で最も大きな金額になっています。また平均売買価格は約6万円となっています。
OpenSeaは2次流通機能を備えており、利用時にはMetamaskなどが必要です。OpenSeaの主な特徴は下記の通りです。
- 取り扱っているコンテンツの豊富さ
デジタルアート、ゲームアセット、トレーディングカード、デジタルミュージック、そして仮想通貨の取引時に使用される複雑なウォレットアドレスを分かりやすい文字列に変換したブロックチェーンドメインのNFTを扱っています。 - 4つのパブリックチェーンに対応している
OpenSeaは、イーサリアム、ポリゴン、クレイトン、ソラナの4つのブロックチェーンに対応しています。このため、手数料が高騰しているイーサリアムネットワークの使用を避け、その他のネットワークを利用することで、コストを低下させることができます。 - ユーザーが自由にNFT作成可能
一般ユーザーはNFTを作成し、審査なく出品が出来ます。 - 2回目の出品以降は手数料が無料
OpenSeaで初めてNFTを出品する時は手数料が発生しますが、2回目以降は手数料が発生しない仕組みになっています。また、ポリゴンを利用して出品した場合、1回目の手数料を節約することが可能です。 - 決済手段が豊富
OpenSeaが取り扱っている仮想通貨は、イーサリアム、ソラナ、DAI、USDCです。またOpenSeaでは、NFT購入時に別のNFTと仮想通貨で決済することが可能です。例えば、10ETH相当のNFTをOpenSeaで購入する際、保有する5ETHと5ETHに相当するNFTを組み合わせて支払うことができます。
②Rarible(ラリブル)
2020年からサービスをリリースしているNFTプラットフォームです。利用者数は2022年6月時点で約10万人にのぼり、取引量はNFTマーケットランキング15位になっています。また平均売買価格は約5万円前後となっています。取り扱いコンテンツは、デジタルアート、デジタルミュージック、写真、デジタルアセットです。
2次流通機能を備えており、利用時にはMetamaskなどが必要です。Raribleの主な特徴は下記の通りです。
- 独自通貨RARI(ラリ)を発行している
Raribleで売買すると、RARIを受け取ることができます。この仮想通貨を使用することで、Raribleの運営に参加することができるようになります。 - ユーザーが自由にNFT作成可能
一般ユーザーはNFTを作成し、審査なく出品が出来ます。 - 出品手数料が無料
2021年に実装された機能「Lazy minting」を利用することで、無料で作成できます。 - ロイヤリティーの設定が可能
ロイヤリティーとは、転売された時に制作者に支払われる報酬金です。Raribleでは、10%や15%などに自由に設定することができます。 - 決済手段の豊富さ
Raibleでは、イーサリアム、テゾス、フロー、ポリゴンとクレジットカードでの決済が可能となっています。
③Magic Eden(マジックエデン)
ソラナベースのNFTプラットフォームです。利用者数は急増しており、2022年6月時点で約78万人にのぼります。取引量はOpenSeaには届かないものの、取引件数は5月に一時期上回っていました。取り扱いコンテンツは、デジタルアートとデジタルアセットです。
対応しているネットワークはソラナのみとなっています。この為、利用時にはPhantom(ファントム)やTorus(トーラス)などソラナ基盤のウォレットが必要となっています。Magic Edenの主な特徴は下記の通りです。
- 取引手数料が2%のみ
OpenSeaとRaribleでは、取引ごとに2.5%の手数料が発生しますが、Magic Edenを利用した場合、2%しかかかりません。 - ソラナNFT市場で最大
2022年6月時点で、NFTプラットフォームの総取引額は6位に入るほどの規模になっています。ソラナ上に開発されたゲーム数が増えてきており、またソラナは資金調達に成功したことから、Magic Edenの取引量がさらに増えていくでしょう。
1-3. 国内外のプラットフォームの特徴まとめ
今回挙げた国内のNFTプラットフォームでは、取り扱っているコンテンツの種類は少ないものの、公認アーティストや提携パートナーのみが出品出来る仕組みになっています。そのためユーザーが安心して購入することが可能です。
一方で海外のNFTプラットフォームは、取り扱いコンテンツの豊富さであり、ユーザーが気軽に出品できます。国内のNFTプラットフォームより取引が活発に行われているため、出品者・販売者が稼ぎやすい環境になっています。
②取引時に注意すべきこと
2-1. パブリックチェーンに対応しているか確認すること
先に挙げたNFTプラットフォームが採用しているチェーンは、パブリックチェーンと言われる物です。パブリックチェーンに対応していれば、運営企業が倒産しても購入したNFTを継続保有が可能です。企業によってデータが管理されるということは、サービスの停止等のリスクがあるという意味でもあるのです。
例えば、SBINFT Marketがメンテナンスのためにサービスを停止したとしても、保有しているNFTはイーサリアムやポリゴンネットワークに持って行くことができるため、取引機会を失うことはありません。他にも、パブリックチェーンでは、そのネットワークに参加するあらゆる人がすべての取引を見る事ができるため、ウォレットアドレスを辿ってNFTコンテンツの保有者履歴をより詳細に追跡することもできます。
プライベートチェーンベースのNFTプラットフォームには、KYC(身元確認)や取引をスピーディーに行えるなどのメリットがありますが、企業による管理体制を信頼する必要があります。
2-2. 売買契約の内容
NFT市場は現在、急成長している市場であるため、様々な人が集まってきています。そのため、購入者は売買契約を結ぶ際に、転売の条件や禁止事項などをよく確認するようにしましょう。
デジタルデータに対する所有権は現在、定められていません。そのため出品者は何を譲渡し、何を渡さないのか、どのような条件であれば転売可能なのかを明確に記載しておく必要があります。NFT市場に関する法律は充分に整備されていません。取引する際はトラブルに巻き込まれないように、これらの点に注意しましょう。
③国内で購入したNFTを海外マーケットプレイスで再販するには
ユニマは2021年にリリースされた国内NFTプラットフォームです。東証プライム上場の株式会社モバイルファクトリーが株主となっている、株式会社ビットファクトリーが運営しています。最大の特徴は仮想通貨不要ですべての取引を日本円で決済できる点です。またアートや写真、動画などをNFT化し、販売することができます。
購入したNFTは通常、Metamaskなどで管理されますが、ユニマでは独自のウォレットが自動生成され、管理されるようになっています。
ユニマからOpenSeaへの再販方法
- ユニマで生成された独自ウォレットの秘密鍵を確認
- ユニマ上のウォレットの秘密鍵をMetamaskにインポート
- OpenSeaで出品
ユニマ上のウォレットの秘密鍵をMetamaskにインポート
ユニマで生成された秘密鍵をMetamaskにインポートするには、Metamaskを開き「アカウントのインポート」を選びます。Metamaskの準備方法は、こちらの記事をご確認ください。
【関連記事】:MetaMaskのウォレット作成方法、OpenSeaへの連携方法について解説【NFTマーケットプレイス導入準備】
秘密鍵をインポートする画面を確認できた後、「形式の選択」を秘密鍵に変更し、秘密鍵をペーストします。
OpenSeaで出品
OpenSeaで出品するには、まずMetamaskを選択した状態でOpenSeaにログインします。そうすることで、ユニマで購入したNFTがOpenSeaの「Profile」に表示されます。最後に画面に見える「売る」を選択し、価格を設定後に出品が完了します。
④まとめ
NFT市場は今後、大きく成長すると言われているマーケットですが、まだまだ未成熟な市場のため、NFTで利益を出すことは簡単ではありません。NFTは今後成長が期待される市場であることは間違いないため、この機会に国内Coincheck等の取引所と連携したNFTプラットフォームで、NFTの世界に触れて見てはいかがでしょうか。
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中島 翔
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