伊藤園のESG・サステナビリティの取り組みや将来性は?株価推移、配当・優待情報も

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伊藤園は東京都渋谷区に本社を構える清涼飲料メーカーで、「お~いお茶」「1日分の野菜」などの商品で知られています。同社はESG・サステナビリティも重視しており、食生活と健康への貢献、持続可能な国内農業への貢献などのテーマで取り組みを進めています。

この記事では伊藤園のESG・サステナビリティ関連の取り組み、近年の株価推移や業績について解説します。伊藤園への投資を検討している方、同社のESGの取り組みに興味のある方は参考にしてください。

※2023年3月27日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 伊藤園の概要
  2. 伊藤園のESGに関する取り組み
    2-1.健康価値や栄養に関する研究と製品開発
    2-2.持続可能な容器包装
  3. 伊藤園の10年間の株価推移と業績
    3-1.10年間の株価推移
    3-2.業績
  4. 伊藤園の将来性
  5. 伊藤園の配当・優待情報
  6. まとめ

1.伊藤園の概要

銘柄 伊藤園
証券コード 2593
株価 4,325円
PER(会社予想) 31.8倍
PBR(実績) 2.29倍
配当利回り(会社予想) 0.92%

※2023年3月27日のデータ

伊藤園は茶系飲料の市場で69%(2022年4月期・販売数量ベース)と圧倒的なシェアを獲得しているメーカーです(参照:伊藤園「直近の業績」)。同社を象徴するブランドは「お~いお茶」であり、全国のスーパー、ドラッグストア、コンビニなどで陳列されています。普段から飲んでいる方も多いのではないでしょうか。

また「健康ミネラル麦茶」も同社の主力ブランドです。2022年4月、「健康ミネラルむぎ茶 オーツ麦ブレンド」が発売されました。やわらかな香りと甘みが特長で、ミネラルも摂取できる飲料です。

同社において茶系飲料に次ぐ売上規模があるのは野菜飲料で、「1日分の野菜」のブランドを展開しています。2022年には同ブランドから「1日分の野菜 きっちり食物繊維」「同 緑の野菜ミックス」「同 1日分のビタミン12種」の新商品が販売されました。厚生労働省が推奨する1日に必要な野菜量350g分の主栄養成分を摂取できるとされています。

コーヒー飲料は8%程度のシェアですが、「TULLY’S COFFEE」を展開しています。こちらのブランドの主力商品はブラックボトル缶390mlで、豊かな香りとコクが特徴の無糖コーヒーです。有名チェーン店のTULLY’Sブランドが冠されていることもあり、手にしたことのある方もいるでしょう。

2.伊藤園のESGに関する取り組み

伊藤園で行っているESG・サステナビリティ関連の取り組みをいくつか紹介します。

2-1.健康価値や栄養に関する研究と製品開発

伊藤園の研究所では、お茶をはじめとした食品素材の健康性やメカニズムなどの基礎研究、食品摂取による健康への有効性などの応用研究に取り組んでいます。これらの研究を基に独自技術として仕上げています。

昨今では世界的に健康志向が高まっている一方、ビタミンやミネラルの摂取不足、脂肪・糖分・塩分の過剰摂取などの食生活における課題が浮上しています。伊藤園では体脂肪はコレステロールをケアしたい方に向けての特定保健用食品や機能性表示食品を多数販売しており、健康志向ニーズに対応しています。

またパッケージやホームページにおいて原材料や栄養成分を積極的に表示する方針です。茶葉などの原料産地を自主的に開示し、放射性物質の測定結果もホームページで確認できます。

2-2.持続可能な容器包装

飲料メーカーというと、ペットボトルなどのプラスチックごみにどう取り組んでいるのか気になる方も多いのではないでしょうか。伊藤園グループは、ペットボトルの軽量化、プラスチック使用量を削減する技術開発、環境配慮型の紙容器の導入などを行っています。「3R(リサイクル、リデュース、リプレイス&リユース)+クリーン(環境保全)」により、持続可能な社会の実現に貢献する方針です。

2030年までに、ペットボトルに利用する素材を100%リサイクル由来のものにすることを目指しています。すでに「お~いお茶600mlペットボトル」や「お~いお茶345mlホット対応ペットボトル」は100%リサイクルペットボトルに切り替えました。

容器包装の軽量化については、ボトル、キャップ、ラベルなど各資材の軽量化に加え、ラベルレスの製品の拡充により、プラスチック使用量の削減に取り組んでいます。「お~いお茶 緑茶」で実際にラベルなしのボトル製品を発売し、石油由来資源の使用量削減に取り組んでいます。インターネットなどで、ラベルレスの製品を見かけたことのある方もいるのではないでしょうか。

3.伊藤園の10年間の株価推移と業績

ここからは、伊藤園の直近10年の株価推移や近年の業績について紹介します。

3-1.10年間の株価推移

2020年の12月まで、同社の株価は好調に推移してきました。2013年の4月に2,300円前後だった株価は、2020年12月には一時期8,000円以上を記録しました。およそ7年半で3倍以上に成長したことになります。

しかし2021年12月からは下落傾向となり、現在は4,000円台で推移しています。依然として10年前よりは高い株価ですが、2017年頃の水準に下がっているのが気になる点です。

執筆時点で下落トレンドは1年以上続いており、今後も下を試す動きになるのか、横ばい・上昇に転換するのか注目されます。

3-2.業績

直近5年間の連結での業績推移は下記のとおりです。

項目 2018/4 2019/4 2020/4 2021/4 2022/4
売上高 4,947 5,041 4,833 4,462 4,007
営業利益 220 228 199 166 187
経常利益 214 232 194 170 199
当期純利益 125 144 77 70 129

(単位:億円)

業績は2019年4月期にピークとなり、売上高は5,000億円、営業利益や経常利益は200億円を突破しました。新型コロナに見舞われた2020年4月期以降は、業績が伸び悩んでいます。利益は一定水準を確保していますが、売上高は4,000億円程度に減少しています。

伊藤園だけの話ではなく、飲料市場全体が縮小しています。2022年4月期の通期決算説明会資料によると、2019年以前は4兆円近くあった市場は、コロナ後に3兆5,000万円程度に縮小しています。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う活動制限や在宅勤務の増加といったライフスタイルの変化に加え、夏場の天候不順の影響もあり、1年を通して厳しい状況が続きました。

直近の2023年4月期の第3四半期の進捗状況は堅調で、売上高は前年同期比で8.2%増、営業利益は12.5%増、経常利益は12.7%増となっています。リーフ・ドリンク事業、飲食関連事業とも前年増です。これまで苦戦が続いていましたが、2023年4月期は少し持ち直しているようです。

4.伊藤園の将来性

伊藤園を投資先として見た場合の将来性について、ESGと業績の両面から考察していきます。まずESGに関して、食生活の改善、プラスチック使用量の削減など、飲料メーカーで貢献が期待される領域に積極的に取り組んでいます。

特に近年はマイクロプラスチックごみなどの海洋への影響が深刻化していると言われています。プラスチックを大量に使用する飲料メーカーである同社についても、今後さらなる取り組みの加速が求められるでしょう。

業績について2019年4月期まで成長を続けていましたが、コロナ禍になった2020年4月期以降は苦戦が続いており、売上が伸び悩んでいます。新型コロナによるライフスタイルの変化の影響が大きく、飲料市場全体が以前より縮小した状態が続いています。

伊藤園は国内の売上が多く海外の比率が低いことも、成長性に関する課題です。海外比率を上げる取り組みも始めていますが、同社が今後も成長を続けるには、国内の飲料市場の需要を復活させることも不可欠でしょう。

5.伊藤園の配当・優待情報

伊藤園の配当金や株主優待の情報を紹介します。

1株あたり年間配当 2022年4月期実績:40円
2023年4月期予定:40円
主な株主優待 自社製品詰め合わせ

1株あたりの配当金は、昨年度と同じく40円を予定しています。伊藤園では株主への利益還元を経営上の最重要課題のひとつとして認識しており、安定的な利益配分を基本として配当を継続しています。

株主優待では、保有株式数に応じて以下のような商品を贈呈しています。

保有株式数 優待内容
100株以上 自社製品詰合せ 1,500円相当
伊藤園通信販売「健康体」のパンフレット(30%割引クーポン付)
1,000株以上 自社製品詰合せ 3,000円相当
伊藤園通信販売「健康体」のパンフレット(50%割引クーポン付)

伊藤園では公式通販サイトである「健康体」を運営しており、お茶や野菜飲料など、素材にこだわった商品を発売しています。株主になると「健康体」で利用できる割引クーポンをもらうことができます。

こちらのサイトのラインナップは、血圧、血糖値、骨密度、体脂肪などが気になる方への健康飲料が中心となっています。予約した方のみ購入できる「生の新茶」など、ここでしか購入できない商品も見られます。

まとめ

伊藤園の事業内容、ESG・サステナビリティ関連の取り組み、株価推移や近年の業績などについて解説してきました。日本を代表する清涼飲料メーカーの1つであり、緑茶や野菜飲料などで競争力のある有名なブランドを保有しています。

サステナビリティ関連でも積極的な取り組みを見せており、プラスチックのリサイクルや資材の軽量化など、地球環境への負荷を減らす取り組みなどを行っています。

近年の業績は国内市場の縮小もあり苦戦が続いていますが、飲料メーカーとしての技術力・研究開発力には定評がありますので、今後の巻き返しを期待したいところです。

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安藤 真一郎

マーケティング会社に勤務した後、ライター・コラムニストに転身。 さまざまなジャンルの執筆を行う途中でマネーリテラシーの重要性に気づき、現在はマネー・金融分野を中心に執筆活動を行う。投資、資産形成、年金、税制度、ローン、節約、キャッシュレス決済など多数の執筆実績あり。投資に関しては中長期での利益獲得を目指し、米国株式や先進国株式を中心とする投資スタイル。ファイナンシャルプランナー資格保有。