イーサリアムのステーキングはハードウェアウォレット経由がおすすめな理由とは?

今回は、ハードウェアウォレットを通じてWeb3事業に取り組むLedger株式会社から寄稿いただいたコラムをご紹介します。

目次

  1. イーサリアム2.0の「ザ・マージ」とは?
  2. イーサリアムのステーキングとは?
  3. イーサリアムのステーキング、個人だとなぜ大変?
  4. Lidoとは
  5. Lidoを利用するメリット
  6. Ledgerを使ったイーサリアムのステーキング方法

イーサリアムの大型アップグレード「イーサリアム2.0(現在はコンセンサスレイヤーと呼ばれる)」の一環として、「The Merge(ザ・マージ、融合)」が注目されています。ザ・マージは、取引記録の承認をめぐる合意形成方法のアルゴリズムをPoW(プルーフオブワーク)からPoS(プルーフオブステーク)に変更することを指します。仮想通貨業界の中では今年6月にも移行かという期待の声が出ていましたが、イーサリアムの開発者によりますと、早くて今年の秋にずれ込む見込みです。

ザ・マージで注目度がさらに高まるのが、イーサリアムのステーキングです。ステーキングは、PoS系のブロックチェーン上で仮想通貨を預ける(ロックする)ことで取引記録の生成プロセスに貢献し、対価として報酬を受け取る行為のことです。

今回は、ハードウェアウォレットのLedger(レッジャー)を使ったイーサリアムステーキングについて紹介します。LedgerのアプリであるLedger Liveでは、Lido(ライド)というステーキングサービスを使ってイーサリアムのステーキングを行うことができます。本稿では、Ledger とLidoのコンビネーションがなぜ良いのかを解説します。

イーサリアム2.0の「ザ・マージ」とは?

取引記録の「渋滞」やガス代(手数料)の高騰に悩むイーサリアムは、イーサリアム2.0という大型アップグレードを通してスケーラビリティ(システム規模の拡張性)の改善を目指しています。イーサリアム2.0の柱となるのは、PoSへの移行とシャーディングです。前者は2022年、後者は2023年での実施が予定されています。

現在のイーサリアムは、ビットコインと同様、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)と呼ばれるアルゴリズムを採用しています。このアルゴリズムをPoSに変更しようというのが、イーサリアム2.0の柱の一つである「ザ・マージ」です。

実は、イーサリアムは2020年12月、ビーコンチェーンと呼ばれる現在のイーサリアムのブロックチェーンとは別のチェーンで、すでにPoSの採用を開始しています。イーサリアム2.0におけるPoS移行とは、ビーコンチェーンと現在のイーサリアムのブロックチェーンが、文字通りマージ(融合)することなのです。

もう一つの目玉であるシャーディングは、データベースを分割することで負荷を分散させる技術を指します。イーサリアムの場合、シャーディングによりイーサリアムのネットワークをさらに64の新しいチェーンに分割することで、取引処理能力向上を目指します。PoS移行は、シャーディングの前に実施される予定であり、シャーディング移行に必要なイベントと位置付けられています。

イーサリアムのステーキングとは?

ステーキングは、PoSを採用するブロックチェーンでのみ実行が可能であり、バリデーターとして対象となる仮想通貨を一定量保有(ロック)してブロック生成プロセスに参加することで報酬を得ることを指します。

ステーキングにはいくつかの大きなメリットがあります。

まず投資面では、「インカムゲイン」という新しい仮想通貨への投資手段をもたらすことが期待されています。
これまで仮想通貨は、「キャピタルゲイン」という保有していた資産を売却することによって得られる売却益を目当てにした投資が大半でした。これに対してステーキングは、資産を保有することで安定的・継続的に受け取れる利益である「インカムゲイン」もしくは「不労所得」をもたらします。2022年5月13日執筆時点で、イーサリアムのステーキングの年利(APR)は最大4.4% です。

次に、PoWより電力の消費量が大幅に削減されることが見込まれており、環境面でポジティブと捉えられています。イーサリアム財団は、PoSに移行した場合PoWで使う電力消費量の99.95%を削減できるという試算を公表しました。


さらに、イーサリアムに貢献できることも魅力の一つです。バリデーターとして取引記録をブロックとして処理したり他のバリデーターの作業を検証したりしますが、イーサリアム財団は、ステーキングによってネットワークのセキュリティが保たれると評価しています。

イーサリアムのステーキング、個人だとなぜ大変?

イーサリアムのステーキングを個人で行うことは可能ですが、技術的・金銭的に大きな負担がかかります。ステーキングにバリデーターとして参加するためには、ノードと呼ばれるコンピューターを立ち上げて維持・管理しなければなりません。24時間ノードを稼働させなければならず、停止させてしまうとスラッシング(Slushing)によって罰金を払う必要が出てきます。

また、そもそも個人がバリデーターとして参加するのに最低限必要な32ETH(約1,000万円)という大量の資金が必要になります。そして、ステーキング用に預けた多額のETHは、イーサリアムがPoSに完全に移行するまでロックされたままであり取り出すことはできません。

こうした技術面・金銭面での課題を解決するのが、取引所や代行サービスです。後述するLidoは、代行サービスの一つです。

Lidoとは

Lidoは、ステーキングに対するハードルを下げることを目指した分散型のソリューションです。Lidoを使うことで、わずかな額のETHでステーキングをすることが可能になります。

また、ノード運営など技術に関する深い知識は必要ではなく、24時間稼働させなければいけないといった技術的な心配は無用です。
さらに、Lidoを使えば、ロックアップの問題も解決できます。通常、イーサリアムのステーキング用に預けたETHはアップグレード完了まで動かすことができませんが、LidoはステークしたETHと1対1で連動するstETHという別のERC20規格のトークンを発行します。stETHは、ETHと同じように取引をすることが可能で、Curve(カーブ)などのDeFi(分散型金融)プロトコルで使うことができます。

このようにLidoを使えばイーサリアムのステーキングに簡単に参加可能になり、ロックアップがないことから預けた資金を自由に使うことができます。

Lidoを利用するメリット

イーサリアムのステーキングは、コインベースやバイナンスなどの取引所でも少額で行うことができます。そんな中、Lidoを使うメリットはどこにあるのでしょうか?

取引所では、外部のウォレットへの接続なしで、自社のウォレットで仮想通貨を保管します。この方法は利用者の方にとって便利ではあるかもしれませんが、仮想通貨の本質である「分散」や「オーナーシップ」、「セキュリティ」の観点から問題があります。取引所のような中央集権的なプラットフォームを使うことは、利用者であるあなたが仮想通貨の管理に関する最終的な権限を手放すことを意味します。自分の仮想通貨は自分が管理して自分で守るというのが仮想通貨の本質です。

取引所とLido(Ledger Live経由)の比較

イーサリアムステーキング 取引所 Ledger Live経由
難易度 ◎:かなり簡単 ○:簡単
セキュリティ ×:秘密鍵をコントロールできない ◎:秘密鍵をオフラインで自ら管理できる
手数料 ×:高い ○:適度
必要な機器 ○:なし ○:なし
必要な技術力 ◎:低い ○:適度
流動性 ×:低い(ステークしたETHはロックされる) ◎:高い(ETHと1対1で連動するstETHを取引や送金できる)

 
一方、Lidoのような分散型プラットフォームでは、仮想通貨の管理権限を手放さずにステーキングを行うことができます。

Ledgerを使ったイーサリアムのステーキング方法

Lidoは、ソフトウェアウォレットであるメタマスクやハードウェアウォレットであるLedger Nanoシリーズと接続して使うことができます。ソフトウェアウォレットは、秘密鍵をオンラインで保管する仕組みを採用しているため、サイバー攻撃に晒されやすいなどセキュリティの問題があります。対照的にハードウェアウォレットは、オフラインで秘密鍵を保管する仕組みであるため、セキュリティ面での心配はありません。

LedgerのアプリであるLedger Liveでは、Lidoを直接使うことができます。つまり、Ledgerのエコシステムの外に出る必要がなく、Ledgerという強固なセキュリティを持つ「要塞」の中で、Lidoを使ったステーキングを行うことができるのです。

Ledger LiveとLido

以下がLedger Liveを使ったイーサリアムステーキングの方法です。

  1. Ledger Liveのアプリを開き、「Discover」のセクションをクリックする。
  2. Lidoを探して開く。
  3. ステーキングしたいETHを入力し、Ledger Nanoのデバイスを通して承認する。
Ledger Live上のLidoの操作画面

このようにLedger Liveでは、極めて簡単な操作でイーサリアムのステーキングを行うことができます。イーサリアムを売買せずに今も保有を続けているという方は、このようなステーキングサービスを活用して年利を得ることも検討してみてはいかがでしょうか。

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Ledger

Ledger

2014年に誕生した仮想通貨のハードウェアウォレットの会社。拠点はフランスにあり、現在はLedger Nano XとLedger Nano S+、Ledger Nano Sという3種類のハードウェアウォレットを製造・販売している。Ledger Nano S +は2022年4月4日発売の最新作。Ledger Nanoシリーズに接続して使うソフトウェアであるLedger Liveを、全ての仮想通貨サービスが1箇所に集まるプラットフォーム、いわば「Web3.0のハブ」にすることを目指している。【公式サイト】