ESG指数の代表例と成績は?関連投資信託・ETFも【2022年10月】

ESG投資が注目される昨今、企業のESG活動の明確な評価方法が模索されています。従来のファンダメンタルズ分析やチャート分析では、目に見える確かな数値を元に評価ができました。しかし、ESG投資では、財務諸表に載らない活動を含めた総合的な評価が必要です。

記事内では、一般投資家や機関投資家がESG活動を評価するための情報となるESG指数の紹介をしています。投資対象を検討するにあたってESG活動の評価を加味したい人など、ご参考としてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ESG指数とは?ESG活動を判定する指標
    1-1.抽象的な評価に具体性をもたせる
    1-2.財務諸表で現れない活動を定量評価
    1-3.グリーン・ウォッシュとは
  2. GPIFも採用している代表的なESG指数
    2-1.総合型指数
    2-2.テーマ指数
  3. ESG指数に連動する投資信託
    3-1.野村インデックスファンド・先進国ESG株式
  4. ESG指数に連動するETF
    4-1.MSCI 気候変動対応-日本株式 ETF
    4-2.MSCI日本株人材設備投資指数
    4-3.MSCI Japan Governance-Quality Index
  5. GPIFが行うESG指数の活用方法とは
    5-1.ESG指数に連動するインデックス運用
    5-2.GPIFによるESG市場の拡大にも期待
    5-3.ESG評価手法の改善が課題
  6. まとめ

1.ESG指数とは?ESG活動を判定する指標

企業のESG活動をはかる物差しとして有効活用できるESG指数について、以下、2つのポイントを紹介します。

  1. 抽象的な評価に具体性をもたせる
  2. 財務諸表で現れない活動を定量評価

1-1.抽象的な評価に具体性をもたせる

ESG投資には、ESGの観点から企業の比較を行うために用いられるデータがありません。そのため、環境に優れている、社会への配慮がなされているなど抽象的な話を、定量的に確認できる状態に仕上げることが求められます。

ESG指数は、企業を環境、社会、企業統治の3つの観点から評価し、高評価を得た企業で構成される指数です。指数はいくつかのテーマごとに分けられており、評価ポイントも指数ごとに異なります。

ESG指数の中から注目テーマを見つけ出し、インデックス運用を行うことで、網羅的なESG投資が可能です。

1-2.財務諸表で現れない活動を定量評価

ESG投資では、財務諸表に現れない企業の取り組みを検証し、持続可能な社会の実現にどの程度実効性があるのか、など総合的な評価が必要です。具体的には環境への配慮や、社会背景を考えた働きやすい職場作り、社会課題への取り組みが挙げられます。

ESG指数を運営する会社の評価の他に、IR情報など、企業発信の情報を自ら収集し、評価する心がけも必要です。

1-3.グリーン・ウォッシュとは

ESG活動は、企業が投資家から関心を集めるための必須課題になりつつあります。そのため、ESG活動に勤しんでいないのに、あたかもESG活動を精力的に行っているように発信するグリーンウォッシュという行為が見られるようになりました。

経営陣と現場の間に温度差があり、企業として掲げたESG方針が現場では十分に実行されていないというケースもあります。グリーンウォッシュを見抜くには、IRや外部評価に加えて、実際の営業活動を自分の目で見ることや現場の社員へのヒアリングを行ってみることなども有効です。

2.GPIFも採用している代表的なESG指数

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)では、ESG指数をいくつかピックアップし、指数に基づくインデックス運用を行っています。

GPIFが採用しているESG指数を総合型とテーマ型の2つに分けて、以下に紹介します。

2-1.総合型指数

FTSE blossom japan index

FTSE blossom japan indexは、業種の比重を平均化したESG総合指数です。銘柄の選出基準はESG格付け3.3以上となっており、2022年3月29日時点の情報では、日本株229銘柄で構成されています。

企業との対話においては、国際基準に沿った明確なESG評価軸を用いることから高い信頼を得ています。

FTSE JAPAN INDEXを親指数として、ESG活動に目立った成果を出している企業を選定。ただし、深刻な不祥事が発生している企業は除くとしています。

FTSE blossom japan sector relative index

先述のFTSE blossom japan indexとは、別の選定基準を設けて、銘柄選定を行う指数です。2022年3月29日時点の情報では、日本株493銘柄で構成されています。

ESG格付け2.0以上の銘柄を選出基準としています。低炭素化への移行のサポートや、気候変動など環境問題への取り組みを評価しています。

MSCIジャパンesgセレクト・リーダーズ指数

モルガン・スタンレーキャピタルインターナショナル(MSCI)のESGリサーチによって選出された企業群による指数です。

多くの機関投資家や運用会社がベンチマークとしており、親指数のMSCIジャパンIMIからの500銘柄の候補の中からESG評価が高い企業を選出します。

MSCI acwi esg ユニバーサル指数

MSCIの主なESG指数の一つです。構成比率を調整の上、ESG評価が高い銘柄を中心に選定しています。

先述のmsciジャパンesgセレクト・リーダーズ指数は、日本国内企業の指数ですが、MSCI acwi esg ユニバーサル指数は世界各国の株式市場に上場している企業を対象としています。

2-2.テーマ指数

S&P/JPXカーボン・エフィシェント指数

TOPIXをベースとして環境情報の開示や、炭素効率性(売上高あたりの炭素排出量)に注目し、構成比率を決める指数です。環境に貢献度が高い企業をピックアップすることで、市場全体の環境意識を高め、情報開示を促す狙いもあります。

MSCI 女性活躍指数

女性活躍推進法によって開示される女性雇用のデータに基づき、さまざまな角度から性別多様性のスコアを算出。各業種から性別多様性のスコアが高い企業を選出の上、指数を構築しています。

持続的な事業継続に女性の活躍は欠かせない要素です。女性が活躍する企業のピックアップは、積極的な女性雇用を促し、市場を活性化させる狙いもあります。

Morningstarジェンダー・ダイバーシティ指数

Equileapジェンダー・スコアカードによる企業のジェンダーギャップ是正への取り組みの評価に基づいて、銘柄をピックアップします。ポイントは、女性管理職の存在や、男女間での賃金格差、性別格差を無くす方針の開示などです。

指数の運営は、米国の独立系大手投資調査会社、Morningstarが行います。

3.ESG指数に連動する投資信託

ESG指数をベンチマークとする投資信託とETFをそれぞれ紹介します。

野村インデックスファンド・先進国ESG株式

基準価額 13,551円
純資産 1,621百万円
信託報酬 0.3%
トータルリターン 7.83%(1年)
設定日 2021年1月21日

組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率 国・地域
1.Apple コンピューター・周辺機器 11.1% アメリカ
2.Microsoft ソフトウェア 10.1% アメリカ
3.アルファベットA インタラクティブ・メディア 3.4% アメリカ
4.アルファベットC インタラクティブ・メディア 3.1% アメリカ
5.ジョンソン&ジョンソン 医薬品 2.5% アメリカ
6.プロクター・アンド・ギャンブル 家庭用品 1.8% アメリカ
7.VISA 情報技術サービス 1.7% アメリカ
8.ネスレ 食品 1.7% スイス
9.エヌビディア 半導体・半導体製造装置 1.7% アメリカ
10.ホームデポ 専門小売 1.7% アメリカ

※数値は2022年10月14日時点の情報です

野村インデックスファンド・先進国ESG株式は、FTSE4Good Developed 100 IndexをベンチマークとしたESG投資関連ファンドです。

世界的に認められるESG評価軸をもとに、100の企業を選定し指数を運用しています。さまざまな要素によって企業の選定が行われますが、タバコの製造や、国際的に使用禁止が議論されている武器の製造を行う企業は除外すると明確にされています。

世界のESG投資を押さえたい場合、候補にあがる投資先です。

4.ESG指数に連動するETF

環境、社会、コーポレート・ガバナンスに関連する指数をベンチマークとしたETFを3銘柄紹介します。

MSCI 気候変動対応-日本株式 ETF

基準価額 1,522.88円(100口あたり)
純資産 218百万円
信託報酬 0.3025%
トータルリターン −5.62%(6ヶ月)
設定日 2022年3月22日

組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.ソニーグループ 電気機器 3.7%
2.東京エレクトロン 電気機器 2.6%
3.キーエンス 電気機器 2.5%
4.三菱UFJフィナンシャル・グループ 銀行 2.2%
5.トヨタ自動車 輸送用機器 2.1%
6.東海旅客鉄道 陸運 1.8%
7.オリックス その他金融 1.7%
8.東日本旅客鉄道 陸運 1.5%
9.KDDI 情報・通信 1.5%
10.リクルートホールディングス サービス 1.7%

※数値は2022年10月22日時点の情報です

ベンチマークとするMSCI Japan Climate Change Indexは、国内の大型、中型株の中から、低炭素化に積極的に取り組み、目立った成果を挙げている企業で構成された指数です。

ピックアップした構成銘柄は、EUが定めた低炭素化の評価軸である、EU CTBと照らし合わせ、要件を満たしていない場合、再度選定が行われます。構成銘柄を見ると、国内大型株の割合が高くなっています。

4-2.MSCI日本株人材設備投資指数

基準価額 236,020円(100口あたり)
純資産 47,785百万円
信託報酬 0.1650%
トータルリターン −7.67%(1年)
設定日 2016年5月18日

組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.ソニーグループ 電気機器 5.0%
2.トヨタ自動車 輸送用機器 4.9%
3.東京エレクトロン 電気機器 4.7%
4.キーエンス 電気機器 4.5%
5.任天堂 その他製造 3.4%
6.リクルートホールディングス サービス 2.9%
7.日立 電気機器 2.6%
8.KDDI 情報通信 2.3%
9.日本電産 電気機器 2.3%
10.オリンパス 精密機器 2.0%

直近5期分の分配金実績

決算期 分配金(円)
2020年7月 2,480
2021年1月 1,940
2021年7月 2,510
2022年1月 2,231
2022年7月 2,960

※数値は2022年10月14日時点の情報です。

MSCI日本株人材設備投資指数は、時価総額や流動性などを勘案のうえ、設備や人材への投資額が多い会社をピックアップし、指数を構成しています。

人材投資への評価軸は、企業から発信される福利厚生や研修制度、インセンティブ報酬などを元にMSCI ESGリサーチがスコアリングを行います。各銘柄の最大構成比率は5%です。

4-3.MSCI Japan Governance-Quality Index

基準価額 247,143円(100口あたり)
純資産 1,666百万円
信託報酬 0.1650%
トータルリターン −14.85%(1年)
設定日 2021年3月29日

組入上位10銘柄

銘柄 業種 構成比率
1.東京エレクトロン 電気機器 5.0%
2.ソニーグループ 電気機器 4.9%
3.任天堂 その他 4.5%
4.キーエンス 電気機器 4.2%
5.HOYA 精密機器 4.2%
6.KDDI 情報通信 3.0%
7.リクルートホールディングス サービス 2.8%
8.日立 電気機器 2.7%
9.オリンパス 精密機器 2.1%
10.富士通 電気機器 2.0%

※数値は2022年10月14日時点の情報です

MSCI Japan Governance-Quality Indexは、MSCI Japan Index構成銘柄のうち、ROE、負債自己資本比率、収益安定性から算出される11のガバナンス評価の合計スコアが高い銘柄で構成されています。銘柄数は125です。銘柄の構成比率は最大5%としています。

より健全な企業運営を行っている銘柄をピックアップしているため、大型株を中心とした構成となっています。

5.GPIFが行うESG指数の活用方法とは

GPIFはESG指数をベンチマークとして、インデックス運用を行っています。GPIFが行うESG投資について以下、3つのポイントを紹介します。

  1. ESG指数に連動するインデックス運用
  2. GPIFによるESG市場の拡大にも期待
  3. ESG評価手法の改善が課題

5-1.ESG指数に連動するインデックス運用

GPIFは、ESG指数に対するインデックス運用を行うことで、ESG投資を行っています。2021年度末時点で8つのESG指数を選定し、総合的、かつテーマごとに包括的なESG投資を実施。運用資産額は合計で約12兆円に達しました。

5-2.GPIFによるESG市場の拡大にも期待

GPIFが率先してESG投資を行うことで、国内市場のESGの意識を高め、環境問題への取り組みや社内ガバナンスなどの情報開示によるESG活動をより進めたい、という狙いがあります。

5-3.ESG評価手法の改善が課題

GPIFによるESG指数の選定基準は明らかにされていますが、ESG指数を運用する会社が銘柄を選定するときの評価軸は明らかにされていません。

GPIFが公開しているESG指数の分析は参考になりますが、一般の投資家向けに分かりやすい評価軸の開示が望まれるところです。

※参照:GPIF「ESG指数の選定について

まとめ

ESG指数は総合型とテーマ型に分かれていて、ESG活動を網羅的にフォローしています。指数を運営する会社の評価軸にて銘柄がピックアップされているため、インデックス運用にて、ESG活動が盛んな企業へ一括投資が可能な点がポイントです。

指数会社の銘柄を選ぶ基準は明らかにされていませんが、ESG指数をベンチマークとしてインデックス運用を行うGPIFでは、ESG投資に関する細かい分析が行われ、結果が公表されています。

ESG投資に興味がある人は、GPIFの公開資料を参考にしてみてはいかがでしょうか。

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sayran

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「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。