ダイフクのESG・サステナビリティの取り組みは?配当情報も

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企業の財務情報だけではなく、環境・社会・ガバナンス面の要素を考慮して投資銘柄を選択するESG投資に注目している方もいるのではないでしょうか。世界有数のマテリアル・ハンドリング機器(物流業務の効率化に用いられる作業機器)メーカーである株式会社ダイフクは、事業活動の中でESGやサステナビリティにも積極的に取り組んでいる企業であり、代表的なESG指数に組み入れられるなど外部機関からも高く評価されています。

そこでこの記事では、ダイフクのESG・サステナビリティの取り組み内容や外部評価、業績・株価動向、配当推移を解説していきます。ダイフクの企業情報について詳しく知りたい方や興味のある方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2022年12月26日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. ダイフクの特徴
  2. ダイフクのESG・サステナビリティの取り組み
    2-1.スマート社会への貢献
    2-2.製品・サービス品質の維持向上
    2-3.経営基盤の強化
    2-4.人間尊重
    2-5.事業を通じた環境貢献
    2-6.ダイフクのESG・サステナビリティに関する外部評価
  3. ダイフクの業績・株価動向
  4. ダイフクの配当推移
  5. まとめ

1 ダイフクの特徴

株式会社ダイフクは、大阪市西淀川区に本社を置くマテリアルハンドリングの企業メーカーで、1937年に「株式会社坂口機械製作所」という社名で設立されました。創業後は、原材料・仕掛け品・製品などの運搬・管理を効果的に行うための技術や方法など、モノの移動に関わる取り扱い全般作業の「マテリアル・ハンドリング」に関する事業を行っています。

具体的には、「一般製造業・流通業向けシステム(イントラロジスティクス)」「半導体・液晶生産ライン向けシステム(クリーンルーム)」「自動車生産ライン向けシステム(オートモーティブ)」「空港向けシステム(エアポート)」「洗車機・関連商品(オートウォッシュ)」「電子機器(エレクトロニクス)」がダイフクの主要事業になります。また、事業領域も自動車工場、半導体工場、物流センター、ガソリンスタンド、病院、空港など多岐にわたります。

ダイフクは、様々な分野において保管・搬送・仕分け・ピッキング・情報システムなどマテリアルハンドリングの要素を最適な形に組み合わせてサービスを提供しています。また、「コンサルティング」「企画エンジニアリング」「設計」「製作」「施工稼働」「アフターサービス」を含めたトータルサービスを提供しているのも特徴です。

2 ダイフクのESG・サステナビリティの取り組み

ダイフクを含むダイフクグループは、2014年以降、利益追求だけではなく社会的責任も考慮して事業を行うCSR活動に取り組んできました。2021年には、ESG・サステナビリティとの両立を実現できるよう活動の根幹となる重要課題の内容を見直し、「サステナビリティアクションプラン(2021~2023年度)」を策定しています。

サステナビリティアクションプラン(2021~2023年度)では、重点的に取り組む以下のテーマが掲げられています。

テーマ 2030年に目指す姿
スマート社会への貢献 社会の課題を解決できる新たな技術開発と製品・サービスの提供ができるようにする
製品・サービス品質の維持向上 安心安全で高品質な製品提供体制・システムの構築・維持ができるようにする
経営基盤の強化 事業運営と社会的責任を両立できるようにする
人間尊重 人々の安心と快適を追及できるようにする
事業を通じた環境貢献 すべての職場、地域において地球環境への負担低減につながる取り組みを実践できるようにする

2-1 スマート社会への貢献

2021年度における取り組みテーマの「スマート社会への貢献」に対する主な目標と活動実績は、以下の通りです。

重要課題 主な目標(2021年度) 主な実績(2021年度)
革新的技術開発、発明促進 1.イノベーション投資額150億円
2.特許登録累計件数3,600件
1.130億円
2.3,726件
新規領域の創出 1.大学企業との共同研究、協業開発
2.新たな自動化ソリューションの提供
3.新規顧客の開拓、グローバルでのビジネスエリア拡大
1.複数の大学、外部研究機関とのオープンイノベーションによる新製品開発を推進
2.ピースピッキングロボットの提供開始
3.AFT Industries AG(ドイツ自動車製造企業)との業務提携
スマート・ロジスティックによる客ニースへの対応 無線・5G技術、二次電池の活用
2.AI技術を活用した高効率なシステム、予知保全システム導入
1.無線・5G技術の導入検討、二次電池の評価実施
2.AIを活用した高効率搬送システムを開発、導入

革新的技術開発、発明促進の重要課題において、イノベーション投資額は目標未達成でしたが、特許登録累計件数は目標値以上の実績を上げています。また、新規領域の創出の重要課題においては、新たな自動化ソリューションの提供と新規顧客の開拓、グローバルでのビジネスエリア拡大の目標を達成しています。

スマート・ロジスティックによる客ニースへの対応の重要課題においては、AI技術を活用した高効率なシステム、予知保全システムの導入を実現しています。

2-2 製品・サービス品質の維持向上

2021年度における取り組みテーマの「製品・サービス品質の維持向上」に対する主な目標と活動実績は、以下の通りです。

重要課題 主な目標(2021年度) 主な実績(2021年度)
グローバル化による生産の最適地化 1.集約・内製化による最適分散生産
2.グローバルでの調達ネットワークの構築、生産技術の共有、海外子会社における対応力の強化
1.製品ごとに最適地生産のための集約・内製化を行い、新工場の建設を実施
2.生産技術を海外子会社へ展開
製品の品質と安全の追及 1.製品・システムの安全に関する重大事故発生件数0件
2.生産拠点におけるISO9001統一認証取得比率60%
3.セーフティアセッサ資格取得者数160名
1.0件
2.62%
3.178名

グローバル化による生産の最適地化の重要課題においては、集約・内製化による最適分散生産と生産技術の共有に関する作業が進んでいます。製品の品質と安全の追及の重要課題においては、2021年度に掲げた目標を全て達成しています。

2-3 経営基盤の強化

2021年度における取り組みテーマの「経営基盤の強化」に対する主な目標と活動実績は、以下の通りです。

主な重要課題 主な目標(2021年度) 主な実績(2021年度)
リスクマネジメント 定期的なリスクアセスメント、リスク対応のトレーニングの実施 国内外の49名の役員を対象にリスクアセスメントを実施して、五つの重要課題を特定
サプライチェーンでの責任ある調達 CSR調達基準の見直しと新規ガイドライン策定 新規ガイドライン策定前の調査段階
透明性の高い情報開示と戦略的なコミュニケーションの実施 1.株主・投資家との対話件数370件(ESG関連10件)
2.物づくりイベントの実施、社会貢献活動への参加
1.376件(ESG関連16件)
2.物づくりイベント、清掃ボランティア、タイアップイベントなどを実施

経営基盤の強化に関するテーマでは、透明性の高い情報開示と戦略的なコミュニケーションの実施の重要課題につき、目標を達成しています。なお、リスクマネジメントの重要課題においては一部目標を達成し、サプライチェーンでの責任ある調達の重要課題においては目標未達成です。

2-4 人間尊重

2021年度における取り組みテーマとして掲げている「人間尊重」に対する主な目標と活動実績は、以下の通りです。

主な重要課題 主な目標(2021年度) 主な実績(2021年度)
労働安全衛生の徹底 1.度数率 国内0.4、海外0.9
2.強度率 国内0.02、海外0.03
3.労働安全衛生研修受講延べ人数1,500人
4.重篤災害発生件数0件
1.国内0.21、海外0.65
2.国内0.002、海外0.009
3.1,627人
4.0件
ダイバーシティ&インクルージョン 1.女性管理職数19人
2.障がい者雇用率2.3%
3.男性の育児休業取得率5.0%
1.20人
2.2.54%(2021年6月1日付)
3.8.7%

重要課題である労働安全衛生の徹底、ダイバーシティ&インクルージョンにおいては、2021年度の目標をすべて達成しています。

2-5 事業を通じた環境貢献

2021年度における取り組みテーマの「事業を通じた環境貢献」に対する主な目標と活動実績は、以下の通りです。

重要課題 主な目標(2021年度) 主な実績(2021年度)
事業運営における環境配慮 1.自社の二酸化炭素排出総量削減率2.5%削減(2018年度対比)
2.サプライチェーン二酸化炭素削減プログラム参加企業率32%
1.13.8%削減
2.36%
環境配慮製品・サービスの拡充 1.製品・サービスを通じた二酸化炭素削減貢献量30,000t-Co2
2.環境貢献物件売上高比率43%
3.新製品のリサイクル可能率90%
1.69,694t-Co2
2.63%
3.86%

事業運営における環境配慮の重要課題においては、すべて目標を達成しています。また、環境配慮製品・サービスの拡充の重要課題においては、製品・サービスを通じた二酸化炭素削減貢献量、環境貢献物件売上高比率の目標を達成しています。

2-6 ダイフクのESG・サステナビリティに関する外部評価

 
ダイフクのESG・サステナビリティの取り組み内容は、外部からの評価も高く、以下のような複数のESGインデックスにも組み入れられています。

ESGインデックス 内容
MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数 親指数であるMSCIジャパンIMI指数の構成銘柄の中から、ESG評価に優れた企業を選別して構築される指数
MSCI日本株女性活躍指数 MSCIジャパンIMI指数上位700銘柄を対象とし、業種分類の中から、性別多様性に優れた企業を選別して構築される指数
FTSE4Good Index Series ロンドン証券取引所グループのFTSE Russellにより、ESGについて優れた対応を行っている企業のパフォーマンスを測定するために設計された指標

このほか、SOMPOアセットマネジメントが運用する「SOMPOサステナビリティ・インデックス」の構成銘柄にも、10年連続で組み入れられています。

また、日本政策投資銀行が開発した評価認定型融資について健康経営格付を取得したり、経済産業省が実施する2022年度の健康経営優良法人認定制度において、大規模法人部門で認定を受けたりしています。

3 ダイフクの業績・株価動向

2018年3月期から2022年3月期までのダイフクの業績は、以下の通りです。

項目 売上高(百万円) 営業利益(百万円) 営業利益率(%) 経常利益(百万円) 当期純利益(百万円)
2018年3月期 404,925 39,924 9.9 41,105 29,008
2019年3月期 459,486 54,681 11.9 55,842 39,567
2020年3月期 443,694 40,497 9.1 40,976 28,063
2021年3月期 473,902 44,566 9.4 45,846 32,390
2022年3月期 512,268 50,252 9.8 51,253 35,877

直近5年では、2019年3月期の業績が最も良く、2020年3月期以降、新型コロナウィルスの影響により業績は低迷したものの、2021年3月期と2022年3月期の業績はそれぞれ前年期よりも上昇して回復傾向にあります。また、2022年3月期の売上高は5,000億円以上となり、2019年3月期の売上高を上回っています。

次に、ダイフクの株価は、2019年9月2日〜2020年末日まで上昇傾向にありましたが、2021年以降は下落傾向が続いています。2021年1月4日時点の株価は12,820円だったものの、2022年12月26日時点で6,210円まで下落しています。

2021年〜2022年にかけて原材料費の高騰により利益面で苦しい状況が続いたり、2022年8月9日の決算発表で2023年3月期の上半期の連結営業利益の予想が下方修正されたりするなど、株価へのマイナス影響要因が挙げられます。

一方、2021年にAFT Industries AG(ドイツ自動車製造企業)や楽天と業務提携をしたことで、グローバルなビジネスエリアの拡大に繋がったり、EC物流の効率化や持続可能な物流環境を構築したりなど、今後の株価にプラスの影響を与える可能性もあります。

4 ダイフクの配当推移

ダイフクは事業経営において、株主に対する利益還元を最重要課題と位置付け、毎年中間・期末の年2回ずつ株主への配当を行っています。配当額は、連結当期純利益を基準とする業績連動によって決められており、3ヵ年中期経営計画「Value Transformation 2023」では、連結配当性向平均30%以上を目指すことが掲げられています。

2021年の配当金額は、中間が1株あたり35円、期末が1株あたり55円で年間合計90円となっています。2022年の配当金額は、中間が1株あたり40円、期末は1株あたり65円を予定しており、1株あたりの年間配当金額は105円になる見込みです。

まとめ

ダイフクは、社会の課題解決につながる技術開発や製品・サービスの提供、事業経営と社会的責任の両立を図るための経営基盤強化、事業を通じた地球環境の負担低減への貢献、人権尊重などの形でESG・サステナビリティの取り組みを行っています。

ダイフクのESG・サステナビリティの取り組みは、国内の外部評価機関からも高く評価され、国外の複数のESGインデックスにも組み入れられています。また、直近2年の株価は下落傾向にありますが、業績内容と配当金額は上昇傾向にあります。

ダイフクのESGやサステナビリティの取り組み内容に関心のある方は、この記事を参考にご自身でも調査を進めてみてください。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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