いまやキャピタルゲインだけではなくなった仮想通貨の資産運用方法。収益を上げる4つの仕組みをご紹介

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今回は、仮想通貨の資産運用方法について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

  1. 仮想通貨を活用した4つの資産運用
    1-1. ステーキング
    1-2. レンディング
    1-3. イールドファーミング
    1-4. リクイディティマイニング
  2. まとめ

仮想通貨(暗号資産)の運用方法と言えば、これまでは長期保有やトレーディングでキャピタルゲイン(利ざや)を狙う方法が一般的でした。最近ではDeFi(分散型金融)の登場などで新しい運用方法も普及し始めています。今回はそうした新しい仮想通貨の運用方法について解説したいと思います。

仮想通貨市場ではデリバティブ取引やDeFi分野の発展により、今までとは全く異なる資産運用方法が誕生しています。過去数年間に整備されてきた運用方法の代表例として次の四つが挙げられます。

仮想通貨を活用した4つの資産運用

それぞれ順番に解説していきます。

①ステーキング

ステーキングは、簡単に言うと特定の仮想通貨を保有しているだけで報酬を得ることができる仕組みです。保有数量や期間などの条件も比較的自由で、いつでも解除して売却が可能なものもあります。

仮想通貨取引所のステーキングサービスは、最低保有数量以上の仮想通貨を口座に預けておくだけで、一定間隔で報酬が得られるものとなっています。中には利回りが年間5.5%となる仮想通貨もあり、銀行の普通預金口座に比べてかなり良い条件となっています。

ステーキングが可能な仮想通貨は、合意形成方法(コンセンサスアルゴリズム)にPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を採用しています。PoSはコインを持っている割合(Stake)でブロックの承認権を決める仕組みです。

仮想通貨取引所は一括してPoSコインのノード運営を代行し、マイニングに参加することでステーキング報酬を得ています。そして、各ユーザーの保有割合に応じて報酬が分配されています。

日本でステーキングサービスを提供している企業は、コインチェック、GMOコイン、ビットフライヤーなどがありますが、ここではコインチェックを例に利用方法をご説明します。

コインチェックのステーキング運用はLSK(リスク)というトークンを利用します。コインチェックに口座を開き、LSKを購入してコインチェックの口座に入れておくだけで作業は完了です。1日平均で10LSK以上保有することで、期間に応じてステーキング報酬が支払われる仕組みとなっています。コインチェックのLSK報酬は毎週水曜日に付与されます。

②レンディング

続いてレンディングについて解説します レンディングは自分の仮想通貨を貸し出すことにより、その利息を得る方法です。ステーキングとは異なり、一定期間は仮想通貨の引き出しができない状態になります。仮想通貨取引所のレンディングサービスの年間利回りはおよそ1%~5%に設定されています。

レンディングは仮想通貨取引所が借り手と貸し手を仲介しています。借り手は信用取引のユーザーや別の取引所であり、手数料を差し引いて貸し手に金利を支払っています。

なお、仮想通貨のレンディングは貸金業法や銀行法、出資法などの規制が適用されていません。取引所とユーザーは無担保契約である「消費貸借契約」を締結します。つまり、取引所が破綻した場合、ユーザーが貸付けた仮想通貨が返還されないというリスクがある点に注意しておきましょう。

仮想通貨取引所のレンディングサービスは、仮想通貨を購入し、申請をすることで利用できます。コインの貸出枠(貸出期間×年率)を選択するのですが、枠が埋まっている場合があり、空き枠が出来次第利用可能になります。

③イールドファーミング

イールドファーミングは近年急成長を遂げているDeFiの運用方法の一つです。

イールドファーミングもレンディングの1種になりますが、DeFiのレンディングプラットフォームで運用する点が異なります。今までのレンディングは仮想通貨取引所が貸し手と借り手を仲介しました。DeFiではスマートコントラクトにより、借り手と貸し手がほとんどダイレクトに取引できます。

イールドファーミングの仕組みはこうです。貸し手がDeFiプラットフォームのスマートコントラクトにコインを預け(ロック)ます。引き換えに預かり証となるトークンが貸し手に交付されます。貸出期間中の金利が変動料率で蓄積され、コントラクトから資産を引き出す際にまとめて償還されます。

さらに、DeFiプラットフォームが「ガバナンストークン」を発行していれば、金利と併せて獲得できるので特に人気を集めています。代表例はCompound(コンパウンド)です。Compoundはイーサリアム上で稼働しているレンディングサービスであり、ユーザー間のトランザクションは全てスマートコントラクトで処理されます。Compoundで貸し借りを行うとCOMPというトークンが付与されます。Compoundは管理者不在で稼働しており、資料も全て英語です。国内事業者のサポート外なので、興味のある方はご自身で調べた上で、失っても問題ない少額から利用してみましょう。

④リクイディティマイニング

リクイディティマイニングはイールドファーミングと似ています。リクイディティは日本語で言うと「流動性」という意味です。

仮想通貨取引所の板では、マーケットマイカーの「流動性提供」によって注文が並べられています。これが無ければわずかな注文で価格が大きく変動(スリッページ)してしまいます。つまり、流動性を確保することで取引市場が安定しているのです。

一方で、Uniswapのような分散型取引所(DEX)において、マーケットメイカーの役割は「リクイディプロバイダー(流動性提供者)」に置き換えられます。スマートコントラクトに預けられた資金が流動性プールとなって、取引市場を安定化するように機能します。DEXに対する流動性提供者は、報酬として手数料の一部を得ます。これが「リクイディティマイニング」です。実際にはイールドファーミングと同時に行われることが多く、PancakeSwapやSushiswapというDEXへの流動性提供では、CAKEやSUSHIトークンを取得できます。

まとめ

DeFiの登場によって仮想通貨の資産運用手段は多様になってきています。イールドファーミングやリクイディティマイニングの利回りは比較的高い傾向にありますが、高い利回りの背後には相応のリスクが伴います。まずは、国内の仮想通貨取引所が提供するレンディングサービスやステーキングサービスを検討しましょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12