今回は、チェーンリンク(LINK)について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- チェーンリンクとは?
1-1. チェーンリンクの概要
1-2. プロジェクトの目的
1-3. チェーンリンクの特徴、メリット - LINKトークン
2-1. トークンの概要
2-2. ユースケース
2-2. ユースケース - 投資判断のポイント
3-1. 本質的に価値を判断するポイント
3-2. 技術面でのメリット、デメリット
3-3. 将来性 - まとめ
日本の暗号資産(仮想通貨)取引所でも新規取り扱いのスピードが早くなる中、Coinbase Japanが9月15日にチェーンリンク(LINK)の取扱いを開始しました。今回は、チェーンリンクの概要や特徴、投資にあたっての検討ポイントを解説していきます。
①チェーンリンクとは?
1-1.チェーンリンクの概要
チェーンリンクは現実世界におけるデータとブロックチェーンを繋ぐことを目的とする、分散型オラクルネットワークです。
チェーンリンク(LINK)トークンは2017年9月に発行され、2019年5月にメインネットで正式にローンチされました。
チェーンリンクの誕生で、ブロックチェーンと外部の情報が接続できるようになり、仮想通貨の技術と既存の金融サービスなどが接続出来るようになりました。2016年に国際銀行間通信協会SWIFTとの提携を発表した際には業界で大変話題になりました。
1-2.プロジェクトの目的
チェーンリンクは、スマートコントラクトが外部(オフチェーン)データに安全に接続することを可能にする、最初の分散型オラクルネットワークです。
オラクルとは、外部データをスマートコントラクトが理解できる言語に翻訳する(逆もまた然り)ソフトウェアの一部です。
ワークフローを簡略化すると、チェーンリンクは、そのサービスを購入する人が、(1)クエリーと(2)そのクエリーを満たすために必要なオラクルの数、その他の詳細を指定することができます。これをSLA(Service Level Agreement)にまとめ、オーダーマッチングによりSLAに書かれたサービスを実行するために必要なオラクルを選択します。現在、仮想通貨の価格データなどのデータフィードがリクエストの大部分を占めており、情報は定期的に更新されています。
1-3.チェーンリンクの特徴、メリット
特徴は主に2つあります。
1つ目は分散型ネットワークであること。スマートコントラクトに外部情報を提供するプロバイダーが単一ソースに依存する場合、これは大きな問題を提起します。もし、その1つのオラクルが誤ったデータを提供したらどうなるでしょうか?それに依存するすべてのシステムが失敗することになります。これはしばしば「オラクル問題」と呼ばれ、チェーンリンクが解決しようとしているものです。
チェーンリンクは、スマートコントラクトに提供されるデータを可能な限り信頼性の高いものにするために、複数ノードのネットワークを形成します。さらにチェーンリンクでは、オラクル提供者の実績を評価し、有効なデータを確保するために情報を集約しています。
良い行動をした方は評価され、LINKが報酬として受け取れます。反対に不正をした場合は罰則を科され報酬が没収される仕組みになっています。その結果、チェーンリンクの分散型オラクルは分散性が保たれセキュリティや信頼性が担保された上で、ブロックチェーンと外部のデータを取り入れられるということです。
2つ目は提携している機関、企業、団体、その他プロジェクトが優れている点です。Google、SWIFT、Oracle社がチェーンリンクと協業しています。Google Cloudは 2019 年からチェーンリンクと協力して Google Cloud から分散型気象データを取り込めるようにしています。Oracle社は2019年にチェーンリンクと提携して、スタートアップ企業のデータ販売を支援しています。そして、銀行間メッセージングサービスのSWIFTは、チェーンリンクと、クロスチェーンの相互運用性に関する実証実験プロジェクトで連携していくと発表しました。
信頼性の高い企業が提携しているため、今後も他の大手企業が参入してくる可能性も十二分にあるでしょう。
②LINKトークン
2-1.トークンの概要
プロトコル名 | Chainlink |
ブロックチェーン | Ethereum blockchain |
ティッカーシンボル | LINK |
時価総額 | ¥545,749,126,044(2022年9月27日現在) |
総供給量 | 1,000,000,000 LINK |
現在時価総額ランキング(2022年9月27日)は、20位で非常に人気のあるトークンであり、需要があるのが伺えます。
プロジェクト名はチェーンリンクですが、そのネイティブトークンはLINKになります。LINKトークンは、ネットワーク上のサービスに対する支払いに使用されるデジタルアセットトークンです。
2-2.ユースケース
チェーンリンクは多くのユースケースが存在し、全て書ききれないため今回はその中でも主要の3つのユースケースに絞ってまとめていきます。
1つ目は分散型金融(DeFi)です。DeFiは、チェーンリンクとそのネイティブトークンLINKにとって非常に重要なユースケースの1つです。チェーンリンクの価格フィードは、多くのブロックチェーンとレイヤー2ネットワーク上で、ローン市場(Aave、Compound)やデリバティブ市場(dYdX、Synthetixn)を含む数百種類のDeFiアプリケーションに使用されています。チェーンリンクの価格フィードを使用するアプリケーションのTVLの総額は22年11月1日時点に約900兆円(643億ドル)に上ります。
2つ目は、チェーンリンクのオラクルネットワークにおけるサービスの支払いです。オラクルを要求する契約者は、LINKを使ってチェーンリンクノードオペレーターに仕事の対価を支払います。価格は、データの需要に基づいてノードオペレータによって設定されます。ノードオペレータはまた、より高額なデータコントラクトにサービスを提供するために、より多くのトークンをステークします。もしノードオペレーターがルールを破ると、結果としてLINKトークンを徴収されることになります。
3つ目はネイティブトークンLINK自体のDeFi運用です。LINKは取引手数料、ステーキング、オラクルノードの報酬など、多岐に渡り使用されます。最近はNFTやゲームなどのプロジェクトも出て来ており、エコシステム拡大とともにLINKの活用先も増えていくでしょう。
③投資判断のポイント
3-1. 本質的に価値を判断するポイント
ポイントはチェーンリンクだけにとどまらず、他のブロックチェーンにサービスを提供することができ、課題解決出来る点になるでしょう。また、既存のブロックチェーンだけではなく、その先にいる企業などのサービス改善に繋げることが出来ることに将来性があると言われています。
3-2. 技術面でのメリット、デメリット
メリットは分散型オラクルを提供できることです。既存のブロックチェーンは、中央集権的仕組みのオラクルが多く、ハッキングや不正が起こるリスクがあります。今後ユーザーが増え、企業などが参入してくることを考えるとセキュリティや信頼性という部分は外せないでしょう。チェーンリンクはこのような課題を解決し、仮想通貨業界の発展に貢献します。
デメリットは、チェーンリンクの技術やサービスの内容を理解することが難しく、チェーンリンクの良さが広まりにくい点です。仮想通貨に触れてる人でさえ一度で理解することは難しく、これから参入するユーザーや企業などはより理解するのは難しくなります。チェーンリンクの良さをどのように分かりやすく世の中に広めていくのかが今後の課題になることは間違いないでしょう。
3-3.将来性
チェーンリンクは現在時価総額20位と非常に高いランクに位置しています。分散型オラクルを提供するチェーンリンクですが、仮想通貨業界に革新を起こしたことは間違い無く今後も注目、期待される銘柄の1つでしょう。また、企業や機関などがChailnlinkのメリットに気づき、業務提携や投資を行うことになれば再度価格が上昇する可能性があります。
④まとめ
これまでチェーンリンクについて解説してきました。日本ではまだ取り扱いが少ない中でCoinbase Japanなどいくつかの取引所で取り扱いが開始されたので、これを機に口座開設を済ませてチェーンリンク (LINK)への投資を検討してみてはいかがでしょうか?
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中島 翔
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