ダイキン工業はグローバルに展開している空調・化学メーカーです。一般家庭用商品には「うるさらX」や「risora」があり、テレビCMで登場するキャラクターの「ぴちょんくん」も知られています。
投資対象としてダイキン工業に興味のある方もいるのではないでしょうか。この記事ではダイキン工業の事業内容、株価推移や業績、ESGの取り組みなどを解説します。投資の参考としてください。
※2022年10月25日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定の銘柄・金融商品への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- ダイキン工業の概要
- ダイキン工業のESGに関する取り組み
2-1.カーボンニュートラル
2-2.冷媒の環境負荷低減
2-3.生産拠点における取水量の削減 - ダイキン工業の10年間の株価推移と業績
3-1.10年間の株価推移
3-2.近年の業績 - ダイキン工業の将来性
- ダイキン工業の配当・優待情報
- まとめ
1.ダイキン工業の概要
銘柄 | ダイキン工業 |
証券コード | 6367 |
株価 | 21,905円 |
PER(会社予想) | 27.88倍 |
PBR | 3.01倍 |
配当利回り(会社予想) | 0.91% |
※2022年10月25日時点
ダイキン工業は「空調」「化学」「フィルタ」の3つの事業を展開する、世界的なメーカーです。特に空調は市販用・業務用ともに知名度が高く、豊富な空調ソリューションを有しています。オフィスや住宅はもちろんのこと、工場や病院といった特殊な環境にも最適な空調機器を提供できる強みがあります。
空調の方式は国や地域ごとに異なりますが、あらゆる多様なニーズに応えるべく、ダイキン工業は多数の製品群を保有。たとえば「ビル用マルチエアコン」は1つの室外機で複数の室内機をコントロールしながら、各部屋のきめ細やかな空調管理が可能です。既存の製品をアレンジしながら新たなニーズに対応する技術力は、グローバル市場で成長するうえでの強みと言えます。
「化学事業」について、ダイキンは日本で初めて「フッ素化学」の取り組みを始めた企業でもあります。フッ素樹脂、ゴム、ガスといった数多くのフッ素化合物をビジネス利用に展開してきました。
フッ素化合物の用途はフライパンやアイロンなど身近なものから、建物の塗装剤やエアコンの冷媒など多岐にわたります。また先端分野である半導体やICTなどの領域においても、フッ素を活用する技術の開発を推進しています。
「フィルタ事業」は空気清浄機向けの集塵フィルタによって清潔で快適な空気づくりを行う事業です。花粉症や大気汚染はもちろんのこと、新型コロナによる影響からも、きれいな空気を求めるニーズは国内外で高まっています。
製品ラインナップの充実化と販路拡大のため、米国・北欧などグローバル規模の企業買収も行いました。空調事業との関連性も深い事業であり、同社はフィルタ事業を今後収益の柱として大きく成長させていくとしています。
2.ダイキン工業のESGに関する取り組み
近年はESGやサステナビリティを重視する機関投資家が増え、企業も積極的な取り組みを求められる傾向です。ダイキン工業もESGを重視する企業であり、複数の取り組みを行っています。
環境省がESG金融の普及・拡大のために2019年に創設した「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」第二回において、環境サステナブル企業部門で「銀賞」を受賞しました(参照:ダイキン「第2回「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」環境サステナブル企業部門において「銀賞」を受賞」)。「2050年に温室効果ガス排出実質ゼロ」という目標にいち早くコミットしたこと、環境負荷の低減に対する気運の高まりをビジネスチャンスとリスクの両面で捉えたことなどが評価された結果です。
2-1.カーボンニュートラル
ダイキン工業は世界的なカーボンニュートラルの潮流をビジネスチャンスとして認識し、戦略経営計画における成長戦略テーマの1つにもカーボンニュートラルを掲げています。
近年はエネルギー価格の高騰が企業に深刻な影響を及ぼしていますが、ダイキン工業は低温暖化冷媒などの環境技術を持つため、環境負荷の軽い製品・サービスを拡販していくチャンスと見ています。空調においては従来の燃焼式の暖房から、空気中の熱を活用したヒートポンプ暖房の普及へと転換するため、欧州市場を中心に新たな投資を行っています。
カーボンニュートラルの具体的な目標として、2019年を基準として、2030年に50%以上のCO2を削減するという内容を掲げました。2021年の実績は、アジアを中心に省エネ機器の拡販に取り組み、10%削減を達成しました。
2-2.冷媒の環境負荷低減
冷媒は、室内機と室外機の間で熱を運ぶための物質で、多くの空調機器で利用されています。現在主力の冷媒であるHFCは、大気に放出されると地球温暖化の要因の1つになります。
ダイキン工業では地球温暖化へのリスクの低い次世代冷媒による空調機器の実用化を推進。冷媒そのものによる温暖化の影響に加え、空調使用時のエネルギー効率など全体の影響も考慮しています。
2-3.生産拠点における取水量の削減
SDGsの目標の1つに「安全な水とトイレを世界中に」があり、水資源もサステナビリティの課題の1つです。ダイキン工業の生産工場では、水の使用も含めた環境マネジメントシステムを構築し、水仕様に関する管理を強化しています。
採算拠点では取水量を把握し、可能な限り排水を再利用することにより、取水量を削減する取り組みを行っています。2021年度には、グループ全体の取水量は、基準値と比較して24%の削減に成功しました。
3.ダイキン工業の10年間の株価推移と業績
ダイキン工業の株価の動き、経営のパフォーマンスについて見ていきましょう。
3-1.10年間の株価推移
10年間の株価推移を見ると、2013年から2021年8月までは、ほぼ右肩上がりで株価が上昇しつづけてきました。2020年3月の新型コロナの影響も比較的軽く、5月にはコロナ前の水準に戻しました。
株価は一時期30,000円近くの最高値を記録しましたが、2022年は軟調傾向となり、現在は21,000円~23,000円で推移しています。下落しそうな雰囲気もあるものの、現在は22,000円前後がサポートラインとなっている様子がうかがえます。
3-2.近年の業績
ダイキン工業の過去5年の業績は下記のとおりです。
項目 | 2017年度 | 2018年度 | 2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度(予定) |
---|---|---|---|---|---|---|
売上 | 22,906 | 24,811 | 25,503 | 24,934 | 31,091 | 34,800 |
営業利益 | 2,537 | 2,763 | 2,655 | 2,386 | 3,164 | 3,500 |
経常利益 | 2,550 | 2,771 | 2,690 | 2,402 | 3,275 | 3,550 |
※単位:億円
売上は2兆5,000億円程度で推移していましたが、2021年度は3兆円を超え、2022年度も3兆5,000億円近くを見込んでいます。営業利益や経常利益は2020年度まで伸びていませんでしたが、2021年度にはいずれも3,000億円を突破しました。
2021年度は過去最高業績となりましたが、売価施策・拡販・コストダウンなどの成果創出により、新型コロナのマイナス影響をカバーしました。事業セグメント別でも空調・化学ともに売上前年比が120%以上をマークしました。
空調事業は住宅用の空調、欧州はヒートポンプ式温水暖房機器が好調で、化学事業は半導体や自動車市場の需要回復を捉える売価施策も功を奏しました。
2022年度の第1四半期は売上高が前年比121%、営業利益は前年比99%となりました。上海のロックダウン、原材料や物流費の高騰など厳しい事業環境でしたが、売上は大幅に拡大、利益は前年並みを維持しました。
4.ダイキン工業の将来性
ダイキン工業の将来性について、ビジネス内容、業績、ESGの取り組みの3点から考察します。主力とするビジネス領域は空気清浄で、B to C、B to Bともに近年需要がますます高まっている領域です。よほどの地球環境の改善がなされない限り、空気清浄の需要が短期・中期的に衰えるとは考えられないでしょう。
業績は新型コロナの影響で一時期足踏み状態になりましたが、2021年度は大きく成長を遂げました。2022年度は原材料高騰などにより厳しさを増す経営環境ですが、売り上げは拡大、利益は前年並みを確保できました。売価施策など、同社を取り巻く環境への対策が一定の効果を創出していると考えられます。
ESGではカーボンニュートラルや水資源の保全など、環境関連の取り組みを多数行っており、実績も公表しています。
以上を踏まえると空気清浄のニーズは今後も衰えず、同社の経営状況も良好なこと、ESGやサステナビリティとの親和性も高いことなどを踏まえると、一定の将来性はあるのではないかと考えられます。
5.ダイキン工業の配当・優待情報
1株あたり配当(2022年3月期実績) | 第2四半期末:90円 期末:110円 |
1株あたり配当(2023年3月期予定) | 第2四半期末:100円 期末:100円 |
主な株主優待 | なし |
1株当たりの配当は前年度が年間で200円、今年度も200円を予定しています。予想される配当利回りは、現在の株価を基にすると0.91%です。
ダイキン工業には株主優待はありませんが、配当金の金額は以下のとおり、年度ごとに徐々に大きくなっています。
2013年3月期 | 36円 |
2014年3月期 | 50円 |
2015年3月期 | 100円 |
2016年3月期 | 120円 |
2017年3月期 | 130円 |
2018年3月期 | 140円 |
2019年3月期 | 160円 |
2020年3月期 | 160円 |
2021年3月期 | 160円 |
2022年3月期 | 200円 |
まとめ
ダイキン工業の業績や将来性、ESGの取り組みなどについて解説してきました。空調や化学の分野で技術力・販売力があり、グローバルで成長している企業です。近年は業績も伸びており、ESGでも技術力を生かして気候変動や水資源などの課題解決に貢献している様子が見られます。
投資に関心のある方は、関連銘柄や業種などの動きも捉えながら、検討を進めてみてはいかがでしょうか。
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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