仮想通貨のマイニング方法と環境問題への関係性について詳しく解説

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テスラ社のCEO、イーロン・マスク氏がビットコインを決済方法として導入した際、多くの注目を集めました。しかし、環境への懸念からビットコインによる決済を一時停止することを発表しました。

現在、SDGsへの関心が高まる中で、ビットコインのマイニングは大量の電力を消費し、これが二酸化炭素の排出量の増加を招くことから、環境問題として注目されています。しかし、再生可能エネルギーを使用するなどの新しい取り組みも進められています。

この記事では、ビットコインやイーサリアムのマイニング方法と、クリーンエネルギーの取り組みについて解説します。

目次

  1. 環境問題の懸念からビットコイン決済停止
  2. ビットコインの取引方法とは
    2-1.計算するのはコンピューターの電力消費問題
    2-2.電力消費による環境への負荷
  3. 電力を消費をしないコンセンサスアルゴリズム
  4. 再生可能エネルギーを利用したFUELHASHのビットコインマイニング
    4-1.FUELHASHの100%再生可能エネルギー活用:水力発電の導入
    4-2.FUELHASHの「FUELSOLAR(フエルソーラー)」とは
  5. まとめ

①環境問題の懸念からビットコイン決済停止

2021年5月、イーロン・マスク氏はX(旧Twitter)で、テスラがビットコインを使った車両購入の決済を停止することを発表しました。彼の投稿では、「ビットコインのマイニングや取引において化石燃料の使用が増加していることに懸念を感じています。特に、多くの二酸化炭素を排出する石炭の使用が気になります」と述べられました。

なお、テスラは、以前に取得したビットコインを長期的に保有する方針を明らかにしています。さらに、マイニングが持続可能なエネルギーに切り替わった際には、ビットコイン決済を再開する可能性も示唆しています。その他のエコフレンドリーな暗号資産の利用についても検討中であるとのことです。

②ビットコインの取引方法とは

ビットコインは「中央の管理者が不在のP2Pネットワークを使用した暗号通貨」として機能しています。このシステム上で、取引の正当性を確保するための方法として「プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work、略してPoW)」が採用されています。このPoWとは、取引を承認する「マイナー」と呼ばれる者たちが、多くの計算を行いながら取引を確認する仕組みです。

取引の情報は、ブロックチェーン技術を用いて維持・管理されます。ブロックチェーンとは、取引の情報がブロックとして連鎖的に格納されるシステムのことを指します。各ブロックは約10分ごとに生成され、マイニングを通じて正当性が確認されると、マイナーには報酬としてビットコインが与えられます。もし不正な取引を行ったり、正当な取引をキャンセルしようとする場合、膨大な計算が必要となります。これにより、不正な行為のコストが高くなり、それを防ぐ働きが強化されています。

2-1.計算するのはコンピューターの電力消費問題

マイニングの作業には多くの計算が必要です。これらの計算は、マイニング専用のコンピュータで実施されます。マイニングの過程で、計算の答えを見つけるために、細かく計算を繰り返す必要があります。専用コンピュータの数が多いほど、マイニングの報酬も増える傾向があります。

その結果、コンピュータが多くの電力を消費します。そのため、大規模なマイニングを行う場合、電力の消費は顕著に増加します。マイニング業者は、電力費用を抑えるために、電力料金が低い地域や再生可能エネルギーが利用されている地域での運営を選ぶ傾向があります。それにも関わらず、採算を取るのが難しくなり撤退する業者も少なくありません。

例として、2019年には、DMMビットコインとGMOインターネットがビットコインのマイニング事業から撤退しました。収益性の低下や、仮想通貨の価格低下、競合との激しい競争などがその理由とされています。

2-2.電力消費による環境への負荷

マイニングには、大量の計算処理が必要で、それに伴って多くのエネルギーを消費します。このエネルギーは、プルーフ・オブ・ワークを行うコンピュータの動作のための電力です。

MITのTechnology Reviewによれば、ビットコインのハッシュレートは、1秒あたり約2500京回と非常に大きく、今後も増加が予想されます。

多くの電力を消費すると、環境への影響も無視できません。Digiconomistの報告によれば、マイニングによるCO2の排出量は、いくつかの国の年間排出量を超えるとされています。また、ハッシュレートの増加は、電力消費およびCO2排出量の増加を意味します。

③電力を消費をしないコンセンサスアルゴリズム

プルーフ・オブ・ワーク(PoW)に代わる、電力を少なく消費するコンセンサスアルゴリズムとして、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)が考えられています。PoSは、仮想通貨の保有量とその保有期間に基づいて報酬が決まるため、PoWよりもエネルギー消費が低いのが特徴です。

PoSは環境への影響が少ないため、環境に優しい承認プロセスとして注目されています。しかし、通貨の保有量に重点を置くため、一部のユーザーに富が集中する可能性が指摘されています。このように、コンセンサスアルゴリズムの選択にはトレードオフが存在し、開発者やコミュニティの間で議論が続いています。

例として、イーサリアムはPoWからPoSへの移行を選択しました。電力消費は抑えられる一方、多くのプロジェクトやNFTがイーサリアム上で行われるため、取引が増加するとネットワークが混雑し、手数料が高騰する問題が発生しています。

④再生可能エネルギーを利用したFUELHASHのビットコインマイニング

仮想通貨のマイニングは新規発行のための重要なメカニズムですが、その大きな課題は膨大な電力消費です。この問題を解決するため、再生可能エネルギーを活用したマイニングが全世界で注目されています。

エルサルバドルでは、2021年9月7日にビットコインを法定通貨として採用した初の国となりました。そして、火山の地熱発電を活用してビットコインのマイニングを実施しています。このように、再生可能エネルギーの活用は世界中で進展しています。

4-1.FUELHASHの100%再生可能エネルギー活用:水力発電の導入

株式会社FUELHASHは、2021年3月に設立され、再生可能エネルギーを利用したビットコインマイニングを手掛ける国内企業です。CEOの紺野勝弥氏を中心とし、「クリプトを、当たり前に。」をモットーに、分散型データセンター、ブロックチェーン、AIソリューションの開発などを行っています。

2022年9月21日、水力発電をベースにしたビットコインマイニングファームの運用を開始すると発表しました。FUELHASHは、このマイニングファームで全消費電力を再生可能エネルギーで供給すると述べています。

カナダのオンタリオ州を選んだ理由は、国の安定性、安定した電力供給、豊富な水力資源、そして比較的安い電気料金です。また、最新の「BITFURY」の5nmチップ搭載マイニングマシンを使用して、ビットコインの採掘を実施する予定です。

4-2.FUELHASHの「FUELSOLAR(フエルソーラー)」とは

「FUELSOLAR」は、FUELHASHが開発した再生可能エネルギー活用のマイニングシステムです。このシステムでは、日本国内の太陽光パネルを利用して仮想通貨のマイニングを実行します。FUELSOLARを利用すると、マイニング機器の設置から運用までFUELHASHがサポートし、節税効果や補助金の受取も期待できます。

FUELHASHは、このシステムを通じて、太陽光発電を活用した新しいマイニング市場を創出する考えです。

⑤まとめ

仮想通貨はまだ多くの可能性が広がっていますが、その背後にあるマイニングは欠かせない要素です。しかし、高い電力消費という問題があります。このため、水力、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーを利用したマイニングが注目されています。

SDGs(持続可能な開発目標)が重要視される中、再生可能エネルギーの活用は今後ますます注目されるところになります。またFUELHASHは今後も海外マイニング事業を拡大していく予定だとしているため、引き続きその動向に注目していきたいと思います。

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。