ブロックチェーンゲームにおける「Play to Earn(遊んで稼ぐ)」のコンセプトが一時的に注目を浴びたように、新たな概念「Parent to Earn」が現れています。この「Parent to Earn」は、子育てに取り組む人々に、その貢献への経済的報酬を提供するものとなっており、どのような影響をもたらすのかの調査が進められています。
本記事では、この新しいコンセプトの特徴や背景にある「X to Earn」の考え方を解説いたします。
目次
- ①そもそも「X to Earn」とは
- ②子育てに特化した「Parent to Earn」とは
2-1.プロジェクトの目的
2-2.アニカナ(ANICANA)とは - ③Web3とは?
- ④ブロックチェーンとは?
- ⑤まとめ
①そもそも「X to Earn」とは
「X to Earn」とは、ブロックチェーン技術や暗号通貨を用いて「ある行動(X)」により報酬を獲得するシステムを指します。「Play to Earn」はこのコンセプトの最も代表的な例として知られており、ブロックチェーンゲームが登場した初期からの考え方として存在していました。しかし、スカラーシップというメカニズムが登場し、それが拡散のきっかけとなりました。
特に、ゲーム「Axie Infinity」はスカラーシップの影響で大きく注目されました。このゲームを始めるためには、初期に3匹のAxieを購入する必要があり、当時その初期費用は約15万円ほどかかっていました。そのため、資金面でのハードルが高く、多くの人々が参入することが難しかったのです。
そこで登場したのが「スカラーシップ」です。この取り組みでは、Axieを持つ人がそれを他のプレイヤーに貸し出し、ゲーム内での収益を分け合う仕組みとなっています。これにより、初期投資を抑えた形で多くの人々がゲームに参加することが可能となりました。
このような「X to Earn」の応用例として、「Aglet」というウォーキングやランニングを活用したゲームが存在します。このゲームは、「Move to Earn(動くことで稼ぐ)」のコンセプトを採用しており、実際の歩数に応じてゲーム内の仮想通貨を獲得することができます。
Agletは、初回登録時に「NFTスニーカー」が提供され、無料でゲームスタートできる点です。しかしながら、各シューズには寿命が設定されており、その寿命が尽きるとゲーム内での活動が制限されます。様々なブランドのデジタルシューズNFTが手に入ったり、高価なシューズは1日の稼働時間に制限が少ないなどの特徴があります。
②子育てに特化した「Parent to Earn」とは
「X to Earn」の考え方は、新たに子育ての分野での応用が注目されています。「Parent to Earn」とは文字通り、子育ての行為によって経済的報酬を得る仕組みを意味します。
アニメートアーク株式会社が提供するWeb3.0のプラットフォーム【アニカナ(ANICANA)】は、子どもの生活記録をブロックチェーン技術を利用してNFTに変換する革命的なサービスを提供しています。
このシステムを活用し、株式会社Kidswellは子育てを行う人々が新しい経済的報酬・社会的評価を得る仕組みの効果を検証する実証実験として「Parent to Earn」(育児しながら経済効果を得る)を開始しました。
2-1.プロジェクトの目的
現代社会では子育ては重要な役割でありながら、経済的報酬・社会的評価が直接得られるものではありません。また子育て中の親は社会から孤立しているように感じることがあります。本プロジェクトにおいてKidswellは、アニカナを用いた子育ての貢献を正当に評価し、価値に換算することで社会との繋がりやキャリアとしての道筋を作ることを目的としています。
第一回【Parent to Earn】実証実験の詳細
Parent to Earnは「子育て」に「X to Earn」を適用し、子育てをすることで報酬を得られる仕組みを提案しています。実証実験は、子どもの生活記録を提出することでNFT生成権を獲得し、生成したNFTをWeb3.0プラットフォーム【アニカナ(ANICANA)】を使って、法定通貨(日本円)で売却することで報酬が得られる仕組みとなります。
– 対象者:0ヶ月以上36ヶ月未満のお子様を持つ親。
– 内容:毎日、子どもの生活・健康状態を記録・提出。一定基準を満たした記録からNFT「アルカナ」を生成し、セカンダリーマーケットでの販売が可能。
– 期間:2023年5月8日〜2023年6月5日
– 場所:各参加者の通常の生活環境
2-2.アニカナ(ANICANA)とは
【アニカナ(ANICANA)】は、Web3.0技術を核とする非中央集権モデルの分散型プラットフォームです。高度な匿名性を確保し、民主的な意思に基づくアルゴリズムで自律的に動作。次世代のサービスやプロダクトの開発が可能です。
アニカナでは誰でも気軽に「X to Earn」を構築することが可能。現行の日本法の枠組みの下、法定通貨による「X to Earn」を実現でき、これまで難しかった様々なサービスやプロダクトも実現できます。ブロックチェーンを利用し、ユーザーの体験をデータ化し、メタマスク等の仮想通貨専用ウォレットがなくても、法定通貨(日本円)で価値の還元を可能としています。
③Web3とは?
NFTやメタバースの注目が高まる中、金融や不動産、物流といった分野だけでなく、地方創生を目指す地方自治体でもWeb3技術が導入されています。Web3は、分散型台帳技術の進展を背景に、YouTubeやNetflix、Amazonといった大手企業への依存状態を脱却すべく、次世代のインターネットとして期待されています。
Web1.0の時代は、企業が作成したホームページをユーザーが単に閲覧するだけのものでした。進化したWeb2.0では、YouTubeやFacebook、Twitterなどのプラットフォーム上でユーザー自身がコンテンツを作成し、閲覧だけでなく、アクティブに投稿することが可能となりました。
一方で、Web3.0の特徴として、ユーザーが自分のデータやコンテンツの管理権を得ることができ、プラットフォームに依存しない仕組みが上げられます。データのアクセス権を自身で管理することで、データで生じた収益の一部を享受できる形の実現が期待されています。
このモデルの根底技術が、ブロックチェーンでありNFT(非代替性トークン)などのWeb3の構成要素です。ブロックチェーンにより、データの追跡や確認が容易となり、スマートコントラクトによってデータの管理が可能になります。
つまり、Web3は、現在のWeb2が抱える中央集権化問題に対処する形で、ブロックチェーンを含む分散型台帳技術を活かしたネットワークやアプリケーションを含むコンセプトとなっています。
④ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンは、仮想通貨やNFTなどに使用される技術で、多数のコンピュータ(ノード)がピアツーピア(P2P)ネットワークで情報を分散管理する仕組みを持っています。限定されたサーバーで情報が一元管理される従来のシステムとは異なり、ブロックチェーンは複数のノードが共有する台帳の取引履歴に整合性を保ちながら動作します。
これにより、ハードウェア障害や悪意のある攻撃者からのデータの改ざんを効果的に防ぐことができます。この技術は、仮想通貨をはじめとした「Play to Earn」のブロックチェーンゲームやWeb3プラットフォームなど、多岐にわたる領域で利用されています。
⑤まとめ
生活が育児だけになると社会と切り離されたような感覚になるという声は確かに存在します。アニメートアーク社の「 Parent to Earn」は、そういったパパママでも子育て体験を通じて社会とつながり、新しい経済報酬と社会評価を得られるような仕組みとなっています。
「X to Earn」という概念はブロックチェーンを使い、各サービスによって決められた特定のアクション、ゲームや歩く、育児などを行うことで報酬が得られるように設計できます。これからの新しい働き方にも繋がってくるので、「X to Earn」に興味があるかたは今回のサービスをチェックしてみてください。
立花 佑
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