今回は、2022年の仮想通貨相場について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。
目次
- ファンダメンタルズとは?2022年に気をつけるべきこと
1-1. ファンダメンタルズとは?
1-2. 2022年の注目ファンダメンタル
1-3. ファンダメンタルズとプレイヤー - 2022年の仮想通貨市場で気をつけたいこと
2-1. アメリカの政策金利の利上げ
2-2. イーサリアム2.0の完了
2-3. CBDCの発行に伴う規制 - まとめ
2021年は年間を通じて仮想通貨市場は上げ相場となり、利益を得ることができたことができた方も多いのではないでしょうか?
2022年もこの調子でアップトレンドが続くことを祈りたいところですが、今年はいくつか仮想通貨相場にも大きな影響与える重大なイベントがあります。そこで今回は2022年の仮想通貨相場で気をつけなければならないファンダメンタルズの解説をしたいと思います。
ファンダメンタルズとは?2022年に気をつけるべきこと
まず初めにファンダメンタルズそのものと、今年注目されるファンダメンタルズについて解説します。
1-1. ファンダメンタルズとは?
短期でトレーディングをする形であればあるほど、ファンダメンタルズに関してはあまり意識をされてない方も多いのではないでしょうか?
ファンダメンタルズとは市場に大きな影響与える出来事やニュースをいいます。ファンダメンタルズには短期的な影響を与えるものと長期的な影響を与えるものに分けることができます。長期的な影響を与えるファンダメンタルズは、金融政策やブレジグットなどの政策関連が多く、短期的な影響与えるファンダメンタルズは要人発言などが多いです。
どのような相場であっても長期的にはファンダメンタルズの方向性を見誤らない限りは、中長期的なトレードにおいては勝利を収めることができるでしょう。
1-2. 2022年の注目ファンダメンタル
次に2022年に予定されている注目のファンダメンタルズを3つ挙げたいと思います。
- FRBによるアメリカの政策金利の利上げ
- イーサリアム2.0のアップデートの完了
- CBDCの発行に伴う仮想通貨規制
それぞれの詳細に関しては後述しますが、どれも仮想通貨市場に極めて大きな影響を与えるファンダメンタルズとなります。
特に①のアメリカの利上げに関しては仮想通貨市場のみならず、株式市場や外国為替市場、債券市場にも大きな影響を与えるとみられています。
1-3. ファンダメンタルズとプレイヤー
金融市場におけるプレイヤーとはいわゆる市場参加者と呼ばれるもので、これまで個人が主体であった仮想通貨市場に、2021年は機関投資家の参入が顕著に見られました。
ファンダメンタルズ分析を取り入れている機関投資家が仮想通貨市場に参加をし始めているということは、ファンダメンタルズの要因で仮想通貨市場も動くと考えた方が良さそうです。機関投資家による投資額は2022年も増加するとみられており、機関投資家による投資が増加すれば増加するほど、その傾向は顕著になると言えるでしょう。
2022年の仮想通貨市場で気をつけたいこと
次に前述した3つのファンダメンタルズの詳細についてそれぞれ解説していきたいと思います。
2-1. アメリカの政策金利の利上げ
まずは、アメリカの利上げです。2022年にアメリカは、3回の政策金利の引き上げを予定しており、早くて来年春ごろからそれが始まる見通しとなっています。
政策金利の役割は、通貨の流通量のコントロールです。
金利が低い時は、資金調達コストが下がるため金融機関は資金を借入れやすくなり、結果的に貸出先である顧客に低い金利で資金を提供することができます。金利の低さは顧客にとっても、資金の借りやすさにつながり、通貨の流通量が増える結果となります。
逆に、金利が高いときは資金調達コストが上がり金融機関は資金を借りづらくなると同時に、顧客に対して高い金利で資金を提供せざるを得なくなります。結果的に顧客も資金を借りづらい状況となり、一般に流通する通貨量が減ることとなります。次項で詳細を解説するため省略します。
テーパリングの終了や政策金利の引き上げなど、金融政策が引き締めの方向に動いている時は、リスクアセットからは資金が流出しやすいと考えるのがセオリーです。
以前はビットコインを「リスク回避資産」とみる声も多くありましたが、2021年には国際規制機関であるバーゼル銀行監督委員会により、ビットコインが最もリスクが高い資産に分類する案が出されたこと、現在は株式市場と順相関となっていることなどから「リスクアセット」と見るべきでしょう。
つまり、ビットコインはリスクオン時に変われリスクオフ時に売られるリスクアセットとして取り扱われていると言えそうです。そのため、アメリカの株式市場が下落傾向に入ったタイミングでは仮想通貨も下方向へのバイアスが働いていると見るべきだと言えます。
2-2. イーサリアム2.0の完了
次に現在進行中のイーサリアムの超大型アップデート「イーサリアム2.0」の完了が予定されています。
2021年はSolanaやAvalanche、Cardanoなどのイーサリアムの本名とも言える仮想通貨が脚光を浴びました。これらの仮想通貨に共通して言えることはイーサリアムにおいて非常に高額となる手数料を圧倒的に低く抑えていることです。
そのため、新たな仮想通貨プロジェクトなどは、イーサリアムをベースとせずにこれらのブロックチェーンを使用してプロジェクトを進めることが多くなっています。一方で現在のNFTマーケットプレイスやDAppsの多くがイーサリアムをベースとして構築されています。
仮にこのイーサリアム2.0のアップデートが成功すれば、イーサリアムの寡占状態も当面は続くと考えられますが、失敗、もしくは、成功に終わっても性能的にこれらの仮想通貨に及ばない場合は、それぞれのユースケースにおいてブロックチェーンの交代が起こり、イーサリアムの価値が上がりづらい環境となるでしょう。
いずれにしても、2022年6月以降と見られるアップデートの完了前後には、注意が必要でしょう。2022年もイーサリアムのアップデート状況は、しっかりとキャッチアップしておいたほうがよさそうです。
2-3. CBDCの発行に伴う規制
最後にCBDCの発行に伴う規制についてです。2020年より、いくつかの国で中央銀行によるデジタル通貨の発行が進んでいますが、2022年の最大のCBDC案件は中国政府によるCBDCの発行です。
2月4日から開催される予定の北京オリンピック前後に中国政府によるCBDCの発行がなされるのではないかと言う噂がありますが、トレーダーにとって大切なことは、CBDCの発行に伴い何らかの規制があるか否かという点です。
中国政府は2017年より度々、仮想通貨関連の規制を行ってきています。2021年にはマイニングの規制と海外仮想通貨取引所の使用を禁じる規制を行い、その度に仮想通貨市場は下落しています。
日本人の感覚だと仮想通貨取引所の使用が禁じられれば、当然使用する人はいないと考えるかもしれませんが、実際に中国ではVPNを使用して、海外の仮想通貨取引所で仮想通貨取引を行ったり、OTC取引による取引に関しては依然として行われているようです。
しかし、本格的にCBDCが発行されるようになると、これらの実質的な取引を禁止する可能性もあり、現在のビットコインの保有者の多くが中国人であることを考えると、最悪のケースとしては一斉にビットコインが売られることも考えられます。もちろん大量保有者の場合は、そのまま保有しておいて時期の到来を待つ方もいれば、自由渡航を待って海外で売り捌き、資産に変えるような方も多くいるため、実際にはその時にならなければわからないと言えます。
まとめ
2022年に仮に市場が下落しても、仮想通貨の長期投資を始めるには絶好のタイミングともいえるため、CoincheckやGMOコインなどで、積立投資から始めてみるのもいいかもしれません。
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中島 翔
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