2021年の仮想通貨業界の総振り返り!NFTの台頭でGameFi、Metaverseが本格化へ

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今回は、2021年の仮想通貨業界について、大手暗号資産取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では暗号資産コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に1年の総括をとりまとめていただきました。

目次

  1. 2021年の振り返り
    1-1. 相次ぐNFTプラットフォームの誕生
    1-2. Solanaの台頭
    1-3. Avalancheの登
    1-4. イーサリアム2.0へのアップデート
    1-5. ビットコイン先物ETF
    1-6. 犬コインの急騰
    1-7. GameFiの本格化
    1-8. Metaverseの盛り上がり

2021年は仮想通貨業界にとっても変化が大きく、後から振り返ると未来に向けたターニングポイントになった年となりそうです。そこで今回は2021年の仮想通貨界のトピックスを一気に振り返るとともに2022年の注目案件や展望などについて、解説していきたいと思います。

2021年の振り返り

まずは、2021年の振り返りとして、今年印象的であった出来事をまとめてみます。

1-1. 相次ぐNFTプラットフォームの誕生

仮想通貨全体が2020年の後半からの勢いをそのまま受けて年が明けた2021年ですが、今年前半で最大の注目トピックスとしては、やはりNFTでしょう。

NFTが注目されるきっかけとなったのは、3月下旬に伝統あるイギリスのオークションハウス、クリスティーズでBeepleの「Everydays:The First 5000 Days」 というデジタルアート作品が、クリスティーズで約6,935万ドル(約76億円)もの価格で落札された事でした。

時を同じくして、Coincheckが国内仮想通貨取引所として初のNFTマーケットプレイスをローンチ、GMOインターネットグループも8月にローンチしています。また、BINANCE、FTXなどの海外仮想通貨取引所でも次々NFTマーケットプレイスが誕生しました。

中でも今年注目されたNFTマーケットプレイスとしては、以下のようなものがありました。

  • Cryptopunks
  • BAYC
  • NBA TOP SHOT
  • Sorare

また、NFTマーケットプレイス以外でもルイ・ヴィトン、グッチ、ドルチェ&ガッバーナ、ナイキ、アディダス、コカ・コーラなどの世界的な大手ブランドによるNFTのリリースもNFTの将来性を示唆する展開を見せています。

今年後半にはスクエア・エニックスのNFT領域への参画などもありましたが、来年は楽天やメルカリによるNFT領域への本格進出も予定されており、まだまだ来年も成長しそうな分野と言えるでしょう。

1-2. Solanaの台頭

今年の夏のSolanaの台頭も2020年の記憶に残る出来事です。

8月のSolanaの急騰のきっかけは「Degenerate Ape Academy」というNFTマーケットプレイスのローンチでした。このNFTマーケットプレイスでは、最初の10分間で1万枚の猿のクリプトアートが売れましたが、SOLが決済通貨となっているためNFTの購入をするためにはトークンの購入が必要で、その為に実需が発生しSOLの価格上昇につながりました。その際にSOLの購入者はSolanaのトランザクションの速さと低い取引コストを実体験したことも、その後のSolanaブロックチェーンを採用するプロジェクトに増加に繋がっているようです。

SolanaはもともとDeFi分野(分散型金融)で使用されることを目指し、DApps(分散型アプリケーション)の開発を容易にするように設計されていますが、Solanaブロックチェーンの特徴は、コンセンサスアルゴリズムにあります。これはPoH(プルーフ・オブ・ヒストリー)とPoS(プルーフ・オブ・ステーク)を組み合わせたもので、この仕組みを用いることで、イーサリアムよりも圧倒的に速いトランザクション速度を実現しています。2種類のコンセンサスアルゴリズムを組み合わせることを「ハイブリッドコンセンサスモデル」と呼びますが、この仕組みを用いることで拡張性が高くなると同時に取引コストも低く抑えることが可能となっています。

2020年の3月に発行されたばかりのSolanaですが、その実用性を高く評価され、ユースケースとしてSolanaを採用するプロジェクトが急増しました。2022年もSolana関連プロジェクトからは目が離せそうにありません。

1-3. Avalancheの登場

Solanaの高騰を後追いするかのように、9月に価格が大きく上昇し同じく話題となった仮想通貨がAvalanche(AVAX・アバランチ)です。AvalancheもSolana同様にまだ発行されたばかりの新しい仮想通貨であり、仮想通貨の特徴としてもSolanaとの類似点が多くあります。

Avalancheの最大の特徴もトランザクション処理の速さにあります。ビットコインのTPSは7TPS、イーサリアムは15TPS(イーサリアム2.0でのアップデートで段階的に向上し、最終的に20万TPSを予定)に対して、Avalancheのトランザクション処理速度は、4,500TPSと既にクレジットカードのTPSである4,000-6,000TPSと同等の性能を発揮しています。トランザクション処理の速さは初期型のブロックチェーンの課題でもあり、Solanaをはじめとする最近のブロックチェーンはこのスケーラビリティ問題の解決ができていると言えるでしょう。

Avalanchのトランザクション処理を早める仕組みとしては取引承認を行うノードの数を限定することと用途に応じて三つに役割分担して処理をする方式を取っています。

また、イーサリアムと互換性がある点も大きな特徴の一つです。現在のDeFiアプリケーションは、ほとんどイーサリアムブロックチェーンが基盤となっており、イーサリアムと互換性のあるAvalancheブロックチェーンを使用することで、スケーラビリティ問題の解決とトランザクション処理に関わるコストを低下させることが可能です。

さらにトランザクション処理で発生した取引手数料に関してはバーンする仕組みをとっており、手数料の償却をすることで通貨の供給量をコントロールし、通貨の価値を上げやすい仕組みをとっています。

他にも、Avalancheの専用ウオレットを使用することで誰にでも簡単にNFTを発行でき、発行にかかる手数料も10円以下とイーサリアムで発行する場合の数100分の1の手数料の安さを実現しています。 実際にスシスワップでの手数料は、イーサリアムが最大20ドルであったタイミングにAvalancheは最大0.7ドルなど圧倒的な手数料の安さを実現しています。

また、NFTマーケットプレイスなどの基盤としても採用され、「Polyient Games」のNFTマーケットプレイスなどがAvalancheブロックチェーン上でローンチしています。

1-4. イーサリアム2.0へのアップデート

SolanaやAvalancheなどの猛追をイーサリアムが振り切れるかはイーサリアム2.0のアップデートに大きく左右されそうです。具体的にイーサリアム2.0ではどのようなアップデートが行われるのでしょうか?まずは、現行のイーサリアムが抱えている課題を整理してみます。

イーサリアムの課題には以下のようなものがあります。

  1. スケーラビリティ問題
  2. 環境問題
  3. 51%問題

このうちイーサリアムの最大の弱点は「スケーラビリティ問題」です。

ユースケースにおいては、処理速度の速さとそれに伴うコストの低さが非常に重要となってきますが、スケーラビリティ問題とは、ある一定数以上のトランザクションがあると極端に処理速度が落ちる現象が顕著に発生するという問題です。昨今のようにNFT関連での需要増加で必要な承認作業が増えるとガス代の高騰に繋がります。

実際にイーサリアムの平均取引手数料(ガス代)は2021年5月19日には史上最高値となる$69.922を記録、1年前の同日の$0.448から$69.474高、実に約156倍の異常な高騰をしています。

このように、トランザクション処理が遅くて高いという点がイーサリアムの最大の弱点となります。

課題の②と③に関しては、コンセンサスアルゴリズムがPoWであったことが要因です。しかし、イーサリアム2.0の中でコンセンサスアルゴリズムをPoSへと変更し解決に取り組んでいます。イーサリアム2.0へのアップデートに関しては、2020年12月から複数の段階を経て実行されており、最終的には2022年6月までの完了が予定されています。アップデート後の性能によっては、イーサリアムの価格の大幅な上昇または下落の要因ともなるため、 アップデートの情報に関しては引き続き注意していきたいところです。

1-5. ビットコイン先物ETF

10月19日には、アメリカで初となるプロシェアーズ(ProShares)社のビットコインETF(BITO)がニューヨーク証券取引所(NYSE)のArcaに上場し、初日の出来高が1,000億円を超え、数日で先物建玉制限を突破しそうになるなど大きな話題を集めました。それをきっかけとして、ビットコインの価格も一時4.5%高の6万6,976ドルまで上昇し、史上最高値を更新、年初来では約220%の上昇をしています。

この商品はビットコインETFと便宜的に呼ばれていますが、正確には現物と紐付くものではなく先物価格と連動するものであるため、現物の価格には直接影響を与えないものです。仕組みとしては、BITOが購入され価格が上がると、紐づけられているCME(シカゴマーカンタイル先物取引市場)のビットコイン先物価格が上昇するようになっています。ビットコイン先物価格は、ビットコイン価格の先行指標ともなるため、この情報を見た投資家がビットコイン相場の値上がりを予測し、ビットコインの現物やレバレッジ商品を購入する結果、現物のビットコイン価格が上昇する構造となっています。

また、今回のように大量のETFが買われて、現物とのスプレッド(価格差)が大きくなった際は、先物を売って現物を買うというヘッジを行う事も上昇要因のひとつとなります。

ETF商品が株式市場に上場される意義としては、仮想通貨の保有リスクなどを避けながら仮想通貨投資ができるという点にあり、機関投資家などが仮想通貨に投資をしやすくなるという側面があります。 今後は、ビットコインの現物ETFがSECに承認されるかという点に焦点が映りますが、何度も却下されているため2022年に上場されるかは不透明ではありますが、現物の価格と連動するETFが上場されれば仮想通貨市場への影響も大きくなると予想されます。

1-6. 犬コインの急騰

10月31日の時価総額ライキングに2種類の犬コインが入った事も今年のトピックスに数えられるでしょう。日本でも知名度の高い犬の名を冠したSHIBA INU(SHIB)が9位、10位にはDogecoin(DOGE)がランキング入りをしています。

犬コインの価格上昇の背景ですが、これらはミームコインであるため当然、技術的な優位性の発揮や大企業との提携、大掛かりな資金調達などの背景はありません。この時の価格上昇のに関しては、単純に「人気があり買われているから」というものですが、特にアメリカの個人投資家によって買われているという背景があります。

特にSHIBの上昇はオンライン署名サイト「change.org」においてアメリカ最大のオンライン証券であるロビンフッドにSHIBの上場を求める署名が33万4,500人分集まったことがきっかけであったと言われています。

犬コイン自体が買われている理由に関しては、客観的なデータがないため筆者の推測に過ぎませんが、特にSHIBやDOGEはイーロン・マスク氏などの影響で知名度が高く、1枚あたりの単価も低いため、仮想通貨初心者にとって買いやすいためという理由が最大の理由だと思います。なぜなら仮想通貨初心者にとっては、仮想通貨に興味があっても仮想通貨の数がありすぎて何を買っていいのかわからず、ビットコインやイーサリアムを買いたくても、1枚の単価が高いため多くの枚数を持てません。

仮想通貨に投資をしている方の8割がブロックチェーンについて何も知らないという調査がある事も考慮すると、イーロン・マスク氏が持っている仮想通貨なら間違いない、値段も安く自分でも何十万枚も持て、これが1,000円になったら1億円以上手に入ると考えてしまうのも無理はありません。また、まったくわけのわからない仮想通貨のティッカーコードやトレードマークよりも可愛い犬の方が愛着がわきやすいため買いやすいという側面もあるでしょう。

犬コインの上昇のきっかけはそのような仮想通貨所初心者の購入であっても相場が動けば、 資金力のある機関投資家やトレーダー達も相場に参加します。今後も犬コインは、個人投資家に支えられて上昇傾向は続くとは思いますが、乱高下が激しく動きの読みづらい仮想通貨でもあるため、トレードをする際には十分に注意をする必要があります。

1-7. GameFiの本格化

今年の後半の仮想通貨業界の注目テーマは「GameFi」でした。

GameFiとは、「Game」と「Finance」を組み合わせた造語で、DeFiが「Decentralize」と「Finance」を組み合わせた用語であるのと同じく、「ゲーム」と「金融」を組み合わせたものという意味です。ゲームと金融と言うと一見かけ離れたもののように感じるかもしれませんが、ゲームをすることと経済活動(エコシステム)が組み合わさっているものと考えるとイメージしやすいでしょう。 今までゲームは、基本的に単なる遊びに過ぎなかったものが、ブロックチェーンの登場によって、経済活動の場となりつつあります。

GameFiに関して、厳密な定義や要件は今のところありませんが、GameFiと呼ばれるプロダクトは、いわゆる「NFTブロックチェーンゲーム」と呼ばれるものと同じですが、現段階での一般的なGameFiの特徴をまとめると以下のようなものがあります。

  1. ゲームアイテムがNFTとして取り扱われ、ゲーム内外のNFTマーケットプレイスでの売買も可能
  2. 「Play to Earn」と呼ばれる仕組みがあり、ゲームをプレイすることで、トークンを稼ぐことができる
  3. 複数のFTトークンとNFTトークンが使用される
  4. 土地の概念があるプラットフォームでは、LANDやESTATEなどの土地がNFTアイテムとして取り扱われ、売買など不動産として運用が可能

2021年に最も流行したGameFiが「Axie Infinity」です。べトナム生まれのこのGameFiは、21年8月にはDAU(デイリーアクティブユーザー)が100万人を超えるなど、特に東南アジアや南米などを中心に世界中にユーザーが存在しています。

Axie Infinity人気の最大の理由は、フィリピン、インドネシア、ベネズエラなどの発展途上国のユーザーが同国の1日当たりの平均賃金である30ドルよりも、Axie Infinityをプレイして得られる50ドルの方が多いという要因にあります。

具体的なゲーム内容としては「アクシー」と呼ばれるNFTキャラクターを使用して、他のユーザーと対戦したり、 キャラクターを育成し強化していきます。対戦方法はトレーディングカードゲームに近いもので、 「アクシー」にはスキルカードという能力を定義する機能があり、1つのアクシーはそれぞれ4種類のスキルカードを装備し、プレイヤーそれぞれが3体の「アクシー」を使用して対戦をし、敵を全滅させる事で勝利をします。ゲームで使用される「アクシー」は、一つ一つがNFTトークンで、育成したアクシーをマーケットプレイスで売却することもできます。

また、「Play to Rarn」の仕組みですが、Axie Infinityのプレイ報酬として「SLP」という仮想通貨が得られます。現在のプレイ報酬は以下のようになっています。

  • アドベンチャーモード(対PC)での獲得・・・50SLP/日
  • デイリークエストのクリアボーナス・・・25SLP/日
  • PVP(アリーナ)で5勝(対ユーザー)・・・0~15SLP/日 対戦レートによって変化

つまり、プレイするだけで1日75SLP程度が報酬として受け取れ、対ユーザー戦で勝利することで、それ以上のSLPや大きな大会ではAXSの獲得が可能です。

ゲームに参入するためには3体のアクシーが必要で、ETHでNFTを購入する必要がありますが、およそ10万円弱の参入コストが必要となりますが、その参入コストを払えない方の為にスカラーシップ制度というAxieのレンタル制度が始まっています。これは、スカラーと呼ばれるプレイヤーにマネージャーと呼ばれる投資家がアクシーを貸し出して代わりにプレイをしてもらうことで、スカラーが稼いだSLPやAXSの分配を行うという制度です。分配率に関しては決められたルールはなく、マネージャーとスカラーの交渉次第ですが、マネージャーは稼いだ仮想通貨の50%~70%を受け取ることが相場となっているようです。

また、Axie Infinityでは独自のDEXである「Katana」を立ち上げ、報酬として受け取ったSLPはDEXで日本の仮想通貨取引所で取り扱いのある仮想通貨に交換することで、日本の取引所への送金も可能となります。

1-8. Metaverseの盛り上がり

GameFiとの関連も高く、今年後半のビッグテーマは何と言ってもMeatverseでしょう。とりわけ関心を持たれたきっかけとして、10月28日に旧FacebookがMetaへの社名変更を発表した会見において年間100億ドルの投資をMetaverseに行うことを発表し、ヨーロッパで1万人の雇用も行うとしました事でした。この発表をきっかけにMetaverse関連の仮想通貨は軒並み値上がりし、その後はMetaverseで持ち切りとなっています。

2021年年末時点でブロックチェーンベースのMetaverseの代表格としては、「Decentraland」(デセントラランド)と「The Sandbox」(ザ・サンドボックス)が挙げられます。共に、LANDと呼ばれるMetaverse内の土地区画がNFTトークンとして販売され、1区画当たりの価格もかなり高騰しています。

Decentralandは、現在開発中の段階ですが、イギリスのオークションハウスのサザビーズなどがオープンしています。The Sandboxは、12月にALPHA版がローンチされMetaverseのクオリティの高さから来年の本格ローンチが期待されています。

また、 この二つのMetaverse以外でも多くのMetaverseプロジェクトが始動しており、来年は次々と新しいMetaverseがオープンする予定です。中でも注目すべきは、これまでのイーサリアムベースのMetaverseではなく、Solanaなどの新しいブロックチェーンをベースとしたMetaverseが登場予定である点です。

Metaverseのクオリティはもちろん、GameFiとしてのユーザビリティの高さが大切になってくるためどのようなMetaverseが登場してくるのか来年の大きなテーマとなるでしょう。

2.まとめ

2022年も引き続き仮想通貨業界は目が離せない展開となりそうです。まだ仮想通貨の取引を始められてない方は、年末年始の時間の余裕がある時に、CoincheckやGMOコインなどの仮想通貨サービスが充実している取引所の口座開設をしてみてはいかがでしょうか?

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12