米ワイオミング州が、自律分散型組織(DAO:Decentralized Autonomous Organization)を法人として認める法案を4月21日に可決した。DAOによる決定が法的な根拠を持つようになる。
本法案は、2月3日に州内のブロックチェーン技術などを専門とするイノベーションワーキンググループより提出されていた。スマートコントラクトで契約が自動執行される分散型組織を法人として認めることになる。
今回、ワイオミング州知事のMark Gordon氏が法案に署名し、当初の予定通り7月21日の施行に向けた準備が進められるという。
DAOは今後、株式会社における「Inc.」や「Ltd.」といった表記と同様、「DAO」や「LLC」が用いられることになる。特徴としては、設立時に定義したスマートコントラクトに変更が生じる場合には、定款も合わせて変更する必要がある点だ。
DAOは基本的に全てスマートコントラクトによって制御されるため、法人として認めるのであれば定款を連動させようとするのは自然なことだと言えるだろう。
今回の法案は先進的である一方で不確実な要素も多く、不正な解釈を生まないよう予めいくつかの考慮がされている。例えば、ワイオミング州が不適切だと判断したDAOに関しては法的な保護の対象から外すことができるという。
通常、有限責任会社には負うべき責任に制限が設けられており、会社の代表などは一定以上の責任を負う必要がない。今回のDAO法案では、ケースによってはワイオミング州がこの制限を撤廃できるのだ。
これにより、DAOの代表者が不正に法案を利用しないよう動機づけることができるという。
DAOの歴史は2016年の「The DAO」事件に端を発する。The DAOのスマートコントラクトがハッキングされ、結果的にイーサリアムがハードフォークを行う事態となっていた。
Mark Gordon知事は、「有限責任会社のスキームが初めて誕生して以降、他の全ての会社がそれにならうように続きました。今回のDAO法案も、歴史を作る最初の取り組みになることを願っています。」とコメントしている。
【参照記事】SF0038 – Decentralized autonomous organizations.
株式会社techtec リサーチチーム
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