米エネルギー省(DOE)、米財務省(DOT)、内国歳入庁(IRS)は3月29日、35州で100件以上のプロジェクトに40億ドル(約6,000億円)の税額控除を適用すると発表した(*1)。国内のクリーンエネルギー製造を促進するとともに、産業施設の温室効果ガス(GHG)排出削減につなげる。
今回の税額控除の適用を受ける、適格先端エネルギープロジェクトへの投資税額控除(48C)の対象に選ばれたプロジェクトには、大手から中堅中小企業、州・地方公共団体が含まれている。バイデン政権が成立された気候変動対策のインフレ抑制法(IRA)より資金を拠出する。ただし、30%の投資税額控除を受けるためには、全てのプロジェクトが実勢賃金と見習い雇用要件を満たさなければならない。
40億ドルの税額控除のうち、15億ドルは歴史的な背景を持つエネルギーコミュニティのプロジェクトに充てる。これらのプロジェクトは、高賃金の雇用を創出し、エネルギーコストを下げ、バイデン政権が掲げる「米国への投資(Investing in America)」アジェンダの気候、サプライチェーン、エネルギー安全保障の目標達成を支援する。
ジェニファー・M・グランホルムDOE長官は「大統領のアジェンダは、何世代にもわたって伝統的に我が国の電力を供給してきたコミュニティに重点を置く。これらのコミュニティがクリーンエネルギー転換の経済的利益を享受し、次世代エネルギーの供給構築において主導的な役割を果たし続けることを支援するものだ」と述べた(*1)。
2009年に成立した「米国再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment Act )」で、先端エネルギー施設への投資を行なう事業に関する投資税額控除として48Cが創設された。48Cは、クリーンで安全、安価で強靭なエネルギーシステムへの公平な移行を促進するとともに、GHGの排出を削減し、質の高い雇用を創出するものである。
その後の2022年、IRAにより新たに100億ドルの支援枠が追加された。100億ドルのうち少なくとも40億ドルは、IRS通知で指定されたエネルギーコミュニティ(炭鉱または石炭工場を閉鎖した地域)のプロジェクトに割り当てられる。
48Cのラウンド1(1回目の税額控除配分)では、クリーンエネルギー製造・リサイクルに27億ドル、クリティカルマテリアルのリサイクル、加工、精製に8 億ドル、産業の脱炭素化に5億ドルの税額控除を適用する。
DOTとIRSは、今後数か月以内に48Cのラウンド2の通知を行い、各社は今夏にプロジェクトについてのコンセプトペーパーを提出する予定である。
【参照記事】*1 米エネルギー省「Biden-Harris Administration Announces $4 Billion in Tax Credits to Build Clean Energy Supply Chain, Drive Investments, and Lower Costs in Energy Communities」
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