気候テックスタートアップの米Windfall Bioが、シリーズA(資金調達ラウンド)で2800万ドル(約42億円)を調達したと発表した(*1)。メタンを回収して有機肥料に変えるソリューションの提供拡大を目指す。
今回の投資ラウンドは、気候変動を緩和する可能性が最も高いアーリーステージ(企業前後)の新興企業に投資するベンチャーキャピタルのプレリュード・ベンチャーズが主導した。アマゾンのクライメート・プレッジ・ファンド、グローバル・ブレイン(農林中金イノベーションファンドを通じ)の他、ビル・ゲイツ氏が立ち上げたブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズなど既存株主も加わった。
Windfallは今回調達した資金を元手に、農業、石油・ガス、廃棄物管理など、メタン排出量の多い産業でのパイロットプロジェクト実施を拡大することができる。また、メタン削減ソリューションに対する世界的な顧客需要の高まりに対応するため、組織、製造能力、サプライチェーンの構築に向けた投資を行う方針だ。
メタンは強力な温室効果ガス(GHG)であり、20年間で二酸化炭素(CO2)の86倍の温暖化をもたらす(*1)。大気中のメタン濃度は産業革命以前から2倍以上に増加しており、人工および自然発生源からの排出は加速し続けている。
また、メタンは地球温暖化の30%に寄与しており、これらの排出を回収することは、特に市場の需要や規制の圧力が高まる中、世界の排出を迅速かつ大幅に削減するまたとない機会となる。Windfallのソリューションは、低コストのメタン回収と、オンサイトで高品質の肥料を生産し、顧客が使用または販売することで、この問題に対処している。
メタン排出に対処することは、近い将来の気候変動に対処するために現在利用可能な最もインパクトのある戦略になり得る。しかし、メタン排出削減は致命的に過小評価され、資金不足のままであり、最近になってようやく気候に関する議論で大きな注目を集めるようになった。
Windfallの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)であるジョシュ・シルヴァーマン氏は「メタンは重要な資源であり、適切なツールが与えられれば、顧客に大きな価値を生み出すことができる」と述べた(*1)。
Windfallは2022年に設立され、カリフォルニア州を拠点とする気候スタートアップだ。同社の自然を基盤とした解決策(NbS)は、メタンを食べる微生物(メタン酸化菌)を利用し、あらゆる発生源からのメタンを回収すると同時に、空気中の窒素も回収し、顧客の敷地内で有機肥料を生産する。
農業や工業の顧客にとっては、土壌の健全性を改善し、排出量の追跡と報告を可能にするとともに、資源効率を高め、有機肥料の販売から新たな収入源を生み出すことを期待できる。
Windfallは、ファスト・カンパニー誌の最も革新的な製品を表彰する「Next Big Things in Tech」の1社に選出されている。
【参照記事】*1 Windfall Bio「Windfall Bio Raises $28 Million Series A to Scale Methane Capture & Transformation Solution」
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