テマセク傘下ジェンゼロとトラフィギュラ、コロンビアの炭素除去に150億円投資。CDRプロジェクト規模を倍増

シンガポール政府系ファンドであるテマセク傘下の脱炭素投資に特化した子会社ジェンゼロと資源商社トラフィギュラは11月11日、コロンビアの炭素除去プロジェクトに1億ドル(約153億ドル)超投資すると発表した(*1)。大規模な農業活動や火災により荒廃した土地の再生を通じて、自然由来の高品質な炭素除去(CDR)クレジットの創出を目的としたプロジェクトの規模を倍増させる。

コロンビアのオリノコ川流域に位置するBrújula Verde景観復元プロジェクトは、同国で最も生物多様性に富んだ地域の1つである。プロジェクトの運営パートナーであり、地域最大の民間雇用主でもあるインベルボスケス(Inverbosques)が2,400万本以上の混合種の植林を行っている。

プロジェクトは商業目的の伐採活動は一切行わず、荒廃した土地の新規植林と再植林を行うことで、地域の天然資源を保全しながら、地域社会に多大な利益をもたらしている。

2023年から24年にかけて、プロジェクトは1万ヘクタールの植林に成功し、さらに1万ヘクタールの植林が予定されている。育苗と物流の拡大・発展に向けた多額の投資も、オリノコ川流域における重要なインフラ開発に貢献している。これら取り組みにより、地域社会に700人以上の直接・間接雇用をもたらし、地元の雇用を支えている状況だ。

eDNAなどのツールを使用して生物多様性の評価・モニタリングを行うNature Metrics、 デジタルモニタリング・報告・検証(DMRV)機能とカーボンパフォーマンスのモニタリングを提供するOpus Insightsなどの専門サービスプロバイダーも活用する。

プロジェクトによる最初の炭素クレジット発行は25年後半に予定されており、社会プログラムを支援するための地域コミュニティとのレベニュー・シェアリングの仕組みも採り入れた。

トラフィギュラのカーボン投資部門の責任者を務めるマシュー・ネルソン氏は「プロジェクトの拡大は、投資適格級の炭素除去資産が機関投資家から大規模な資金調達をできることを示した。ジェンゼロとの提携により、Brújula Verdeで環境と生物多様性の利益、および地域に雇用をもたらしながら、自然由来の高品質なCDRクレジットを創出することができるだろう」と述べた(*1)。

【参照記事】*1 トラフィギュラ「GenZero and Trafigura Announce US$100M Expansion of the Brújula Verde Nature-Based Carbon Removals Project in Colombia

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フォルトゥナ

日系・外資系証券会社に15年ほど勤務。リサーチ部門で国内外の投資家様向けに株式レポートを執筆。株式の専門家としてテレビ出演歴あり。現在はフリーランスとして独立し、金融経済やESG・サステナビリティ分野などの記事執筆、翻訳、および資産運用コンサルに従事。企業型DC導入およびiDeco加入者向けプレゼンテーション経験もあり。
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