三菱UFJ信託銀行が、2023年春頃に独自のデジタル通貨を発行する計画を立てていることがわかった。2月7日に日本経済新聞が報じている。
今回のデジタル通貨発行の背景には、証券取引の時間短縮が挙げられる。デジタル証券の現行制度では、証券取引から資金決済まで2日ほどかかるという。デジタル通貨による決済で、デジタル証券の普及を促進すると共に証券取引の利便性を高めたいという狙いがある。
デジタル通貨は2023年春頃に発行される予定だ。デジタル通貨の名称は「プログマコイン」で、1プログマコイン=1円で交換できる日本円連動型のステーブルコインである。
プログマコインは、法的には暗号資産ではなく、受益証券発行信託を使った「電子的支払手段」と呼ばれる種類に入る。受益証券発行信託とは、有価証券を発行する信託のことで、委託者の信託財産を受託者が管理して、信託財産からの収益や財産を受領する権利を受益証券として発行するものを指す。
ただし、現行の資金決済法ではプログマコインの発行・導入を行うことができないため、金融庁が近日中に改正予定である資金決済法で法律内容を一部変更する必要があるとのことだ。
デジタル通貨による即時決済は、証券取引額の最大1%のコストを削減できるとされている。現在証券取引全体で年間数百億円のコストが発生しているため、デジタル通貨の即時決済により、将来的に数億円のコストを削減できる可能性が期待されている。
また三菱UFJ信託銀行は、SBIが中心となって2023年中に立ち上げるデジタル証券取引所にも参画する予定だ。同取引所には、野村証券や大和証券、SMBC日興証券、SBI証券などの大手証券取引所も参加し、証券取引の決済にはプログマコインを利用する。
今回、プログマコインはデジタル証券の決済手段として位置付けられている。ただし、プログマコインは、日銀が発行を検討するデジタル通貨(CBDC)や、ディーカレットらの企業が発行を計画する日本円デジタル通貨などとも交換可能となるようだ。
さらに異なる種類のブロックチェーンで取引されている暗号資産や、NFTに対応できるようにも設計されているため、今後も幅広い活用が検討される。
【参照記事】三菱UFJ信託、デジタル証券を即時決済 独自に電子通貨
宮﨑 龍三
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