SWIFT、自社開発のGPIの優位性を強調。「国際送金へのブロックチェーン採用は困難」

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SWIFT(Society for Worldwide Interbank Financial Telecommunication:国際銀行間金融通信協会)のグローバルバンキング部門トップであるウィム・レイメーカーズ氏が、国際送金におけるブロックチェーンの課題を指摘した。2月11日付でコインテレグラフが報じている

SWIFTは昨今、SWIFTを活用した国際送金にかかる時間が長すぎることや資金のトランスペアレンシーが低いこと、手数料の高さなどが指摘されており、仮想通貨・ブロックチェーンの文脈で国際送金ソリューションを手がけるリップルと比較して語られる機会が多かった。

リップルはブロックチェーンの技術を活用し、現在の国際送金の課題を解決することにより世界中で価値の流動性を高める「価値のインターネット」をミッションに掲げるフィンテック企業だ。リップルのソリューションはさまざまな導入事例が報じられるようになっており、1月18日にはデジタルアセットであるXRPを活用して国際送金のコスト・時間を大幅に削減するxRapidが英国の国際送金サービス会社MercuryFXで実際に利用されたことが報じられていた。報道では、英国からメキシコへの50万円相当の送金において、SWIFTと比較して手数料が約11,200円相当と31時間が節約できたとされている。

しかし、SWIFTはブロックチェーンに対して懐疑的だ。コインテレグラフによると、レイメーカーズ氏は、ブロックチェーンによる送金において2つの問題を指摘しているという。1つ目は法的および規制上の問題、2つ目は透明性が高すぎるという問題だ。銀行同士で送金を行う場合、銀行間の法的、契約的、コンプライアンス的に仲介銀行を介するSWIFTのシステムの利用が適している。また、SWIFTは実際に分散型台帳技術による取引の検証も実施しており、その際に「銀行は他のすべての銀行が見られる口座でいくらのお金を持っているか明らかにしたくない」という意思表示があったという。

その上で、レイメーカーズ氏は「今日の銀行がブロックチェーンを採用するのは極めて困難」とし、SWIFTが開発したGPI(global payments innovation:グローバル・ペイメント・イノベーション)の優位性を主張している。GPIはノストロ口座でのリアルタイムな管理を目指す国際決済サービス開発プロジェクトだ。正確な金額の把握は、余剰な資金の流動性向上に繋がり、潜在的なビジネスチャンスを生むことが期待されている。コインテレグラフによると、GPI は既に国際的な支払いの80%を処理する450行以上が参加しており、毎日3,000億米ドルを超える支払いで利用されていると報じられている。

1973年に設立したSWIFTは、銀行間の国際送金取引に係る事務処理の機械化、合理化および自動処理化を推進するため、参加銀行間の国際金融取引に関するメッセージを伝送するネットワークを提供する企業だ。サービスを提携している金融機関は世界200か国に1万1,000以上あり、現在の国際送金のグローバルスタンダードとなっている。

国際送金は時間がかかり手数料も高いという事実は「常識」になりつつあったが、仮想通貨ひいてはブロックチェーンの登場により、この事実が塗り替えられる可能性が出てきた。しかし、既にスタンダードとなっているSWIFTでさえ安泰とは言えない。GPIの導入により、同日以内の支払いを可能にし、支払いを1時間以内にできるようにしているとはいえ、仮想通貨・ブロックチェーンがもたらす即時性・トランスペアレンシーと比べると見劣りする部分が多いことも事実だ。もちろん、ブロックチェーンにも課題は多い。SWIFTが指摘するようなさまざまな問題も解決しない限り、ブロックチェーンが国際送金分野で覇権を取ることは難しいだろう。両者の今後の進捗について注目していきたい。

【参照記事】SWIFT 国際送金でリップルに対する優位性を主張 |ブロックチェーンや仮想通貨の役割に懐疑的
【参照記事】Is this Swift’s answer to Ripple?

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立花 佑

自身も仮想通貨を保有しているWebライターです。HEDGE GUIDEでは、仮想通貨やブロックチェーン関連の記事を担当。私自身も仮想通貨について勉強しながら記事を書いています。正しい情報を分かりやすく読者の皆様に伝えることを心がけています。