炭素除去(CDR)スタートアップのスタンダード・バイオカーボン(Standard Biocarbon)は2023年12月21日、500万ドル(約7億2,000万円)の資金を調達したと発表した(*1)。調達した資金を元手に、米国でバイオ炭製造施設を立ち上げる。
スタンダード・カーボンは、メイン州エンフィールドにある同社施設を増強し、炭素回収とバイオ炭の需要増への対応を目指す。2024年第1四半期には、高品質のバイオ炭の製造を開始し、年間16,000立方ヤード(約14,630メートル)のバイオ炭の生産と3,000トンの炭素回収を見込む。
スタンダード・カーボンは20年、北米でスケーラビリティのあるバイオ炭の商用生産を目指し、サステナビリティ分野で経験豊富なフレッド・ホートンとトム・ホートンが設立した。
バイオ炭は、低酸素環境下で有機物を超高温に加熱することによって生成される炭のような物質である。バイオ炭は数千年もの間、炭素を貯蔵することができる。バイオ炭を土に戻すことで炭素は永久に除去されるため、最も直接的でスケーラブルな炭素除去の手法の1つとなる。既に確立された複数の農業用途に加え、有害廃棄物汚染地域の浄化、雨水管理、低炭素セメント、舗装、ポリマーなどにも利用することができる。
最近では、バイオ炭がCDRの有力なソリューションとして台頭してきた。国際バイオ炭イニシアティブ(IBI)の調査によると、バイオ炭は年間30億トンの二酸化炭素(CO2)を回収し、世界の排出量を最大6%削減する可能性があるという(*2)。
スタンダード・バイオカーボンのバイオ炭製造工場は、一貫した高品質のバイオ炭を効率的に製造し、最も価値の高いCDRクレジットを創出するために最先端の技術を駆使する。このネガティブエミッション技術(NETs)は、重金属と永遠の化学物質(PFAS)を取り除くための水や土壌の修復(リメディエーション)、メタン排出削減、水のろ過能力の向上といった環境ベネフィットをもたらす。
今回は、持続可能なインフラプロジェクトの開発に特化したネクサス・ディベロップメント・キャピタル(Nexus Development Capital)が出資した。同社は、代替燃料、再生可能エネルギー、廃棄物・水、持続可能な農業などを投資対象領域とする。
【参照記事】*1 PR Newswire「Nexus Development Capital Adds Carbon Removal to Growing Portfolio with a $5M Investment in Maine-based Standard Biocarbon」
【参照記事】*2 国際バイオイニシアティブ「Biochar offers an accelerated pathway to global decarbonization, says new research 」
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