米飲料・食品大手ペプシコ(ティッカーシンボル:PEP)と米穀物メジャーのアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)は9月14日、7年半におよぶ戦略的提携を締結したと発表した(*1)。北米でリジェネラティブ農業(環境再生農業)を大幅拡大して炭素強度(#1)の低減につなげる。
提携を通して、2030年までに最大200万エーカーにおよぶ農地でリジェネラティブ農業への移行を後押し、農家の気候変動への強じん性を構築する。これにより、27万5,000世帯の電力使用をまかなうのに相当する140万トンの温室効果ガス(GHG)を削減できる見込みだ。
まずは、カンザス州、ミネソタ州、アイオワ州、イリノイ州、インディアナ州、ネブラスカ州において、トウモロコシ、大豆、小麦農家と取り組む。将来的に、減反、栄養管理、多様な輪作、責任ある農薬使用といったリジェネラティブ農業の取り組みも推進する。
両社はリジェネラティブ農業プラグラムに参加する農家向けの技術的・経済的支援、リジェネラティブ農業ネットワークへのアクセス提供などを計画する。さらに、フィールドデーの主催、サードパーティーの測定システムを活用した成果のトラッキングなどを行い、サプライチェーン全体で価値を創造すべく経営資源の共有および協働する方針だ。
ペプシコは、エンドツーエンドの戦略的な事業変革である「ペプシコポジティブ(PepsiCo Positive, pep+)」を推進する。その一環として、30年までに700万エーカーにおよぶ農地で炭素排出量の削減をはかるリジェネラティブ農業を拡大し、40年までにネットゼロエミッション(温室効果ガス(GHG)排出量の実質ゼロ)の達成をめざす。
ADMはサステナビリティ目標「Strive 35」で、35年までにGHG排出量の絶対量を19年比25%減、エネルギー原単位(#2)を15%減、水原単位(#3)を10%減、転換率(#4)を90%にする計画だ。21年には、35年までにスコープ3(#5)の排出量を25%削減する目標をかかげたほか、森林破壊ゼロのサプライチェーンを構築する目標年を30年から25年に前倒しした。
その他の企業のリジェネラティブ農業関連の取り組みとしては、ビール世界大手、デンマークのカールスバーグ(CARL-B)が、40年ネットゼロエミッションの達成をめざす取り組みの一環として、リジェネラティブ農業を推進する(*2)。
(#1)炭素強度…エネルギー消費量に対するCO2排出量。
(#2)エネルギー原単位…一定量の生産物をつくるのに必要なエネルギー使用量。
(#3)水原単位…一定量の生産物をつくるのに必要な水使用量。
(#4)転換率…埋立処分される廃棄物の量をリサイクルやエネルギー回収などにより削減する考え方。
(#5)スコープ3…事業者の活動に関連する取引先の排出。
【参照記事】*1 ペプシコ「PepsiCo, ADM Announce Groundbreaking Agreement Aiming to Reduce Carbon Intensity by Supporting Regenerative Agriculture Practices on Up to 2 Million Acres of Farmland」
【関連記事】*2 カールスバーグ、40年までにネットゼロエミッション達成目指す。責任ある飲酒やリジェネラティブ農業推進
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