ノーベル経済学賞受賞者が語るビットコイン「ビットコインはかつての住宅バブル以上のバブル」

ノーベル賞を受賞したことで知られる経済学者のポール・クルーグマン氏が、アメリカのニュースサイトBusiness Insiderの記者Josh Barroに対して、ビットコインへの見解を示した

Krugman: 誰もビットコインのことを理解していないのです。そのことが現時点ではプラスに転じています。そして今のこの—

Barro: ビットコインの価格にとってプラスになっていると?

Krugman: ええ、そうです。誰も理解していない技術的なアレコレを導入し、この謎が生み出されました。ビットコインが経済的な取引に使えるとの実証は未だされていません。その価値を支えるものが存在しないのです。従来の紙幣には、それで税を支払うことができるという価値があります。ビットコインにはそれが無い。それにも関わらず価格が上昇するという謎が生まれています。

通常、貨幣の価値を安定させるアンカーは政府の経済力や政治体制といった国のファンダメンタルズであるのに対し、仮想通貨であるビットコインにはアンカーが存在しないとする同氏。

ビットコインはもともとマイナー同士の競争原理から価格決定がされる仕組みをとっており、マイニングにかかる電気代と機材代が価値の源泉とも言われている。ビットコインを生み出すために必要なコストがビットコインの価値を担保しており、マイニングが活発化すれば価格は上昇し、価格が下落すればマイニングするマイナーが少なくなるというように、仕組みとして価格が不安定になるように設計されていることが特徴だ。

マイニング費用がアンカーとなりえるかについては難しい議論ではあるが、経済合理性を優先して行動するマイナーがビットコイン価格を乱高下させて通貨の信用性を担保しきれていないことも事実だ。昨年も頻発したハードフォークやハッシュパワーの不安定さが同氏をはじめとする経済識者からネガティブに捉えられ、不安定でありながら高騰を続ける仮想通貨市場の拡大が「バブル」と揶揄されることも頷ける。

同氏はBusiness Insiderに対して以下のように続ける。

Barro: つまりこれは明らかなバブルであると?

Krugman: ええ、かつての住宅バブル以上に明らかなバブルだと思います。そして、あの住宅バブルも疑う余地のないほどのバブルでした。

Barro: ただ、バブルは時に明らかでありながら長く持続します。(中略)しかし、ここで問題になってくるのは、ではビットコインはいつまでこの状況が続くのか、という点だと思います。

Krugman: ビットコインの場合ポイントとなるのは、現実のものと全く繋がっていないという点です。それはつまり、かなり長く宙に浮いた状態が続くということです。ビットコインには実態が無い・・・例えば住宅の場合は、その価格が異様に高騰すれば次々と家が建てられ、その様子を見ることができます。ビットコインの場合、新たなビットコインを生むコストが著しく高いため、そういったことは起きません。そのため、私たちは崖から落ちる瞬間を待つことになります。(中略)バブルとは自然に発生するポンジ・スキーム(自転車操業)です。そのため、ビットコインを購入した人が稼ぎ続け、それが良さげに見える限りはこの状況が続くでしょう。そして最後には誰かしらが貧乏くじを引くことになります。誰もそれが自分になるとは思ってもいませんが。

仮想通貨マーケットは、昨年にはJPモルガンCEOのジェイムス・ダイモン氏が「ビットコインは詐欺」とする批判的な意見をうけ、仮想通貨の時価総額が大きく下落するなどまだまだ未成熟なマーケットだ。2017年には日本でも多くの投資家が参入をはじめ今や80兆円もの市場に成長しているものの、マーケットの過熱具合に対して注意をうながす識者もいまだに多い。

実際、ビットコインは送金手数料、改ざん性の低さ、スケーラビリティ、非中央集権であるがゆえの資産保存機能性から徐々に注目を集め始めている一方で、成長する仮想通貨マーケットの影響を受けたボラティリティとスケーラビリティの問題を抱えている。

ビットコインは発行当初1BTCは5円程度だった価格が今や185万円にまで高騰しており、価格上昇では他の暗号通貨よりもはるかに高いボラティリティがあるとして通貨には適さないという指摘も多い。また、最近では「送金づまり」と言われる取引の遅延も多い。ビットコインは1日で約60万取引程度が限界とされており、VISAやMasterといった他の決済サービスの1日約4〜5億取引と比較すると決済サービスとしては不完全であることが広く認知されつつもある。

ビットコインは中央集権や既得権益から解放された通貨であるという思想は仮想通貨に投資する投資家であれば理解しておくべき知識だが、ビットコインをはじめとする仮想通貨の経済圏はまだまだ小さく、法定通貨への一切の換金なしで生活していくことは難しい上に国による規制を逃れたりすることはできない。ビットコイン投資に関わる多くの人々は価格の高騰が続くビットコインをバブルとして警戒しているが、仮想通貨投資家は対立するさまざまな意見や批判を正しく解釈し、マーケットを取り巻く環境を理解しながら投資していくことが引き続き求められていくだろう。

【参照サイト】PAUL KRUGMAN: Bitcoin is a more obvious bubble than housing was
【関連ページ】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法(BTC)

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木村つぐみ

木村つぐみ

海外ビジネス情報の翻訳、ライティングを幅広く手掛けており、HEDGE GUIDEでは暗号通貨・仮想通貨関連記事を担当しています。暗号通貨・仮想通貨の特に興味深い点は、貨幣の持つ共同幻想性を明るみに出したことだと思っています。初心者の方にも分かりやすい説明を心掛けていきます。