食品・飲料世界大手ネスレ(ティッカーシンボル:NESN)は10月2日、3日、主力菓子ブランド「キットカット」の包装材料に80%再生プラスチックを使用するとともに、「クオリティストリート」のひねり包装にFSC認証材の紙パッケージを導入すると発表した(*1、2)。これらの取り組みにより、サプライチェーンから30億個以上の包装材を削減し、サーキュラーエコノミー(循環経済)を推進する。
「キットカット」で80%再生プラスチックを使用した包装材を用いることで、英国の5,000ヶ所以上のスーパーマーケットおよびアイルランドの家庭において、使用したプラスチック包装材をリサイクルできるようになる。2024年までに「キットカット」ブランドの全製品に採用する。この取り組みにより、ネスレは環境インパクトの低減とサーキュラーエコノミーを後押しする方針だ。
「クオリティストリート」の包装材を再生可能な紙パッケージへ移行することで、世界のサプライチェーン全体で約25億個の包装材を削減できる見込みである。数ヶ月以内に「クオリティストリート」ブランドの全製品で紙パッケージを導入する。これは、ネスレが21年に初めて「スマーティ」ブランドで再生可能な紙パッケージを採用したのに続く取り組みとなる。同社は25年までに100%再生可能なパッケージの達成にコミットする。
ネスレ英国・アイルランドは、10年以上にわたり、菓子事業およびサプライチェーンの持続可能性の向上にむけた取り組みを推進している。チョコレートの原料となるカカオ豆については、15年末以来、100%認証取得の持続可能な調達を達成。牛乳については、26年までにカーボンフットプリント(#1)の半減を目指す。
菓子メーカー各社はカカオ豆の持続可能な調達を急ぐ。背景として、「ミレニアル世代」、「Z世代」といった持続可能な開発目標(SDGs)ネイティブな若年層が、環境や人権に配慮した食品を求めるニーズが高まっているからだ。また、カカオ豆農園の労働者の低収入、児童労働などが問題視されており、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資を重視する投資家からの圧力も強まっている。そのようななか、ネスレはカカオ豆の持続可能な調達に向け、30年までに13億スイスフラン(約1,900億円)を投じる計画。
ネスレはESG・サステナビリティ分野の先進企業だ。7月には、メキシコに100%水を再循環させ、グリーンエネルギーを活用する持続可能なコーヒー工場を開設した(*2)。コーヒー豆については、25年までに100%責任ある調達を行うことにコミットする。
(#1)カーボンフットプリント…商品やサービスの原材料の調達から製造、輸送、消費後の廃棄、再利用に至るまでのライフサイクル全体で排出されたGHGを二酸化炭素(CO2)排出量に換算すること。
【参照記事】*1 ネスレ「Nestlé Confectionery announces major packaging innovations for Quality Street and KitKat」
【参照記事】*2 ネスレ「Quality Street announces move to recyclable paper wrappers」
【関連記事】*3 ネスレ メキシコに100%水再循環・グリーン電力利用のサステナブルコーヒー工場開設
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