メッセージングアプリLINEとブロックチェーンスタートアップICONが共同で設立したジョイントベンチャー「Unchain」は7月22日、ソウルで開催されたイベントで、同社が独自に開発したブロックチェーンネットワーク「LINK Chain」の戦略について明らかにした。
LINK Chainはプライペートネットワークで展開するコンソーシアムブロックチェーンで、2018年8月にメインネットを公開、LINE Tech Plusが運営している海外の仮想通貨取引所BITBOXでトークンが販売開始されている。一方、日本では現在、金融庁による仮想通貨交換業者登録審査中であることから、日本住居者がトークンを購入できない。そのため、LINEは同プロジェクトを正式にリリースさせるにあたり、日本で本格的に仮想通貨交換業を開始する必要がある。
日本ではLINK Chainのトークンは購入できないが、その代わりにLINK Chainを活用した知識共有コミュニティ「wizball」やイベントやスポーツの試合に対する勝敗を予想するLINEのDAppsサービス「4CAST」などにおけるサービスへの貢献度に対し、「LINKポイント」がインセンティブとして付与される。このLINKポイントはLINEポイントに交換することができる。
しかしこのほど、wizballが2019年9月30日に、4CASTは8月26日にサービスが終了することが発表された。また、同社CEOのLee氏は、LINK Chainは脱中央型金融を視野に入れたDeFi(Decentralized Finance:分散型金融サービス)に焦点を当てていることを明らかにした。同サービスはすでに毎月8,000万人の利用者がいる日本を対象にするという。
Lee氏は、11月にLINK Chainのホワイトペーパー2.0をリリースするとしており、2020年には公開されたテストネットを立ち上げるという。地元メディアではLINEが新しいDAppsサービスのリリースを計画しており、ゲームやショッピング、支払いなどのサービスや、既存のLINEメッセンジャーサービスにブロックチェーンを導入することで、社会に自然と適応させたい目的がある。
FacebookによるLibraが話題となっている裏側では、LINEをはじめとする各社も独自通貨のリリースに向けて動いている。ユーザー数こそLibraの掲げるユーザー数に及ばないものの、LINEはアジアを巻き込む巨大な通貨となりうる可能性もなくはない。今後の同行に注目だ。
【参照記事】LINK CHAIN’S SLOW FORAY INTO DECENTRALIZED FINANCE
立花 佑
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